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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
『かわいい』あの子と『最強』と『最恐』
44/102

第44話『新聞(1)』




「・・・く・・・う~ん・・・」




目が覚める。見覚えのない天井、暫くして僕は宿屋『木の葉亭』に泊まっていたことを思い出す。

昨日は色々なことがあった。ゼイスさんの力、影山君と田中君との再会、3-A緊急会議。3-A緊急会議では、僕がどうやってこの世界に来たのかの新事実の発見、僕がこれから行こうとしている学校に一君も通う事、僕の他にも、たくさんのクラスメイトがこの世界に来ていることが分かった。僕がどうやってこの世界に来たのかが分かった、それが分かっただけでも大きな進展だ。しかも、向こうの世界では『博士』が『異世界航行装置』なる物を製作中、との事。これで、少なくとも一年後には元の世界に帰れることが分かった。

さて、僕がどのようにこの世界に来たのか、皆の話によると、皆は『穴』の様なモノを通って、あるいは落ちて、この世界に来たらしい。それが<召喚>も『迷い込み』も共通している点だった。ただ残念な事は『穴』に詳しいであろう『マンホール』がこの世界に居ない事だ。もし『マンホール』がこの世界に来ていたならば、僕らはもうこの時点で帰れていた事だろう。

一年、向こうの世界では実質三ヶ月程らしいが、十代の僕達にとって、一年は長過ぎる期間だ。それだけの時間があれば、身体も心も、何もかも変わってしまうと言っても過言ではないだろう。だから、と言うか、何よりも、と言うか。・・・とにかく、早く帰るに越した事は無い。そういう事で、皆はこちらでの生活をしながら、向こうの世界に帰る手段を探す。と、言う風に話はまとまった。僕は、と言えば、予定を変えずに王都にある学校へ通い、これまた王都にある図書館で帰り方を探すという事になった。

概ね、これが昨日あった事だ。




「おはよう、カオル」

「ん、おはよう、フェリシア」

「おはよう」

「おはようございます。ゼイスさん」




ゼイスさんは、紅茶を飲みながら、A-4サイズの板を眺めている。一体なんだろうか?イタだけに、なんてことはないとしても。




「ゼイスさん、ソレは?」

「ん?ああ、コレか・・・これは新聞じゃよ」

「新聞?それが?」

「まぁ、普通は新聞と言えば紙じゃがな、これは魔道具じゃよ」

「魔道具?魔法の道具?」

「そうじゃ」

「初めて見た」

「そりゃそうじゃ、カオルが来てから初めて使ったのじゃから、読んでみるかの?」

「はい!!・・・おお!!凄い、○―padみたい!!」

「ほう、使い方が分かるのか、凄いのうカオルは、魔道具科にも進めるじゃろうな」




これは完全に○―padだ、タップ、フリック等お馴染みの操作が今ここに!!どうなってるんだろコレ?見た目はただの薄い鉄板なのに。と、思いながら記事を読む。そこには、「『黒の拳士』今度はワイバーン討伐!!」や「新たなダンジョンが発生!!冒険者ギルドは早急に調査を始めている・・・」等、異世界ならではの記事がある。中には「王城で変死、自殺か?」などといった少し物騒なのもあった。




「二ヶ月で、世の中は変わるもんじゃのう、『黒の拳士』なぞ、初めて聞いたわい」

「もしかしたら、会ってるかもしれませんね」

「そうじゃのう」




と言うか多分、それは影山君であろう事は、胸に閉まっておくことにした。




「それで、今日は何をするんです?」

「今日はギルドに行こうと思っておる」

「ギルド?・・・何故?」




ギルドと言うと、ゲームに良く出て来るアレの事だろう。実際に昔ヨーロッパの方であったらしいけど、現代日本に住んでいる僕にはとても想像がつかない。




「カオルのギルドカード、もとい個人証明を作るためじゃ」

「それを作ると?」

「うむ、コレを作ると様々な事が可能となる。例えば、まぁ、しないじゃろうが、大きな買い物、家や店などじゃな」

「なんで、しなさそうな事を例えとして出すのよ」




と、フェリシアが割り込んできた。




「ギルドカードを作ると、そうね、銀行口座の開設とか、学校に通ったり、後は・・・そうね、家を持ったりできるわね」

「・・・・・・うん、分かった」

「最後のは儂と言ったことがおな・・・・・・いやなに、そうじゃ、その通りじゃ」




あえて、ツッコミはしまい、ゼイスさんも同じ気持ちであろう。アイコンタクトを取る、頷き返された。




「今日は、朝食を食べた後、そのギルドに行こうと思っておる。よいか、カオル?」

「はーい」












朝食を食べに一回のレストランに降りてきた僕たちは、見知った姿を発見した。と言っても、この世界自体に、見知った姿の少ない僕の事だ。その人物は、限られる。




「もうこのセリフ何度目だろうね?一体何故影山君がこんなところに?」

「そりゃ、朝飯を食いに来たからだよ・・・久しぶりに日本風の朝ご飯が食べたくなってな、つっても日本じゃ朝飯はパンだったが」

「僕も・・・良い匂いがするね、味噌汁?」

「そうなんだよ、この味噌汁の匂いに釣られて、とも言えるな」

「ほ~いい香りじゃの~、そういえばサトーも、こんな香りのするスープを作っておったかのう」

「カオル、メニューは?」

「あれ?無いな、どこだろう?」

「昼や晩は知らんが、朝はメニューが無いみたいだぜ。多分、定食でも出すんじゃねーか?」

「そうなのかな?すいま・・・」

「お待たせいたしました、こちら、朝の定食でございます」

「早っ!!」




ウェイトレスさんが持ってきたソレは、まぎれも無く、日本の朝を代表するモノであった。白く輝く白米、こんがりと焼けた焼き魚(見たことも無い魚だが)、漬物(どぎつい赤色だが)、味噌汁、卵(からの色が縞模様だが)、と言ったラインナップだ。五分の三程見た目がおかしいものがあったが、そこは異世界だからと言う理由で妥協しよう。




「それと、使い魔の君にはコレ」

「使い魔?」




はて?使い魔など居たであろうか?と頭に疑問符を浮かべていると。




「キュイ!!」




という鳴き声が足元から聞こえて来た。それで、そういえば、クルトンは使い魔と言う設定だったっけか、と思い出した。断じて、クルトンの存在を忘れていたわけではない。いや、多分、きっと、決して。





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