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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
『かわいい』あの子と『最強』と『最恐』
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第41話『本当の自分』




どうやら戦闘は全て終わったようだ。蹲り、倒れ、呻いている大勢の男たち、彼等を彼等の持ち物であったであろうベルトで縛り終えた、僕のクラスメイトが戻ってくる。あ、自分であけた穴に躓いた。穴を埋めている、相変わらず見かけや言葉遣いに似合わず、丁寧な性格の様だ。捲たり、穴が開いたところをならし、今度こそ此方に戻ってくる、クラスメイト。




「待たせたな」

「そんなに待ってないよ、っていうか一瞬だったし」

「ならいいか」

「うん、何でこんな事に?」

「あれか?」

「うん、あれ」

「悪い、その前に何か食い物ねぇか?腹減った」

「無いよ、フェリシア何か持ってる?」

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・フェリシア?」

「・・・・・・・・・・・・・え?えぇ、無いわね」

「む、そうか、残念だ・・・・・・あぁっ!!糞っ、暴れるんじゃなかった!!」




そうこうしていると、遠くの方からガチャガチャという、金属と金属がぶつかる音が聞こえて来た。




「警備隊が来たか・・・・・俺は行くわ、また後で会おう」

「うん、じゃあ、また後で・・・・・行こうか、フェリシア」

「え、えぇ」









「お待たせ、ゼイスさん」

「ふむ、もういいのかの?」

「いいんです、影鷹君は『後で』って言ったら、後で絶対会えますから」

「あ奴の名はカゲタカと言うのか、ふむ・・・・・・なら、行くとするかの、ほれ、乗りなさい」

「「はーい」」




馬車に乗り込み、宿に持ち込む荷物の用意を始める。




「ねぇ」




と、何時の間にか僕の鞄の中に入れられていた女性物の服(いつの日かのフリフリの服)を除けている僕に、フェリシアが言ってきた。




「ん~?あれ?服増えてる!!増やしても着ないからね!!」

「ねぇったら!!」

「へっ?うん、ごめん、良く分からないけどゴメン」

「あっ、いやっ!そういうつもりで言ったんじゃないの!」

「そう?・・・じゃあ、どういうつもり?」

「そういえば、カオルの話ってあんまり聞いた事無いな~って思ってね・・・・・ほら、例えば、さっきのカゲタカだっけ?彼の事とか・・・」

「聞きたい?」

「うん」

「長くなるよ?」

「簡潔に、短く頼むわ・・・五文字くらいに」

「無理!!」

「じゃあ、適当に」

「何から言おうかな?・・・・・・やっぱり、僕の体質の事から話そうかな・・・・・・」

「体質?」

「うん、僕は特殊な体質だってこと」

「特殊?カオル、どこも変な所なんか無いじゃない」

「あるハズだよ、他の人とは違う何かが・・・・・・」

「何か?・・・・・・え?可愛さ?男の子なのに可愛い所?」

「それは・・・・・・否定は出来ないけど、もっと他の事だよ」

「他の事?・・・・・・ほか?何があるの?」

「フェリシアが僕に抱き着いて来た時に言ってたよ」

「柔らかい?」

「違うよ」

「良い香り・・・・・は違う「それだよ」え?これ?」

「フェロモン・・・・・ってわかる?異性を引き付けて誘惑する匂い、僕の場合はそれよりももっと強力な・・・人を【魅了】する匂いを出してるんだ」

「【魅了】って・・・・・・『吸血鬼』とかが使う・・・」

「そう、それだよ」

「でもそれは、人の意識を強制的に支配する奴で・・・・・・・」

「いや、僕の場合はもっと性質たちが悪いんだよ」

「・・・・・・もっと?」

「そう、もっと・・・・・・強制的じゃなくて、それぞれ自発的・・・に僕に従うようになる」

「それは、【魅了】じゃないんじゃない?」

「いや、間違いなく【魅了】だよ、例えば僕をフェリシアが見つけた時、どう思った?」

「『助けなきゃ』って思ったわね」

何の疑問も無く・・・・・・・、『助けなきゃ』、って思ったんじゃない?」

「何の・・・疑問も?・・・・・・そんな事・・・・・・」

「否定しきれないでしょ?ソレが僕の【魅了】が効いていた証拠だよ」

「・・・・・・うぅ・・・・・・それじゃあ、今は?」

「今は、抑え込んでるから大丈夫」

「・・・・・・・そう」

「今まで、黙っててゴメン」

「・・・・・・い、いいのよ!!そんな事!!人が死ぬ訳でもないし!!」

「フェリシア・・・・・・・」

「・・・・・・それで?・・・・・・その体質と彼がどう繋がるの?」

「・・・・・・うん、その【魅了】が効かなかったのが、僕の幼馴染と影鷹君ともう一人の師匠なんだ」

「ふ~ん」




ガタリ、と音を立てて止まる馬車。




「フェリシア、カオル、着いたぞ、荷物を用意しなさい」

「あ、はい」

「はい、ゼイスさん」




用意していた荷物を持って馬車から降りる。本来、馬車に荷物を置いて降りる、などという事は治安の都合上出来ない事らしいのだが、この馬車にはサトーさんが直々に<防犯魔法>なる物を掛けているらしいので、荷物を置いていても安心だそうだ。ここはどうやら、今日泊まる宿の駐車場?馬車を止めておくための場所らしい。ここから、表の玄関まで少し歩くみたいだ。











「・・・うわ、すご」

「凄いでしょ?主に匂いが・・・」

「さっさと部屋に荷物を置いて、昼食を食べに行きたいわい」

「匂いだけじゃない・・・」




そう、凄いのだ。なんかもう、色々と。和洋折衷と言ったら聞こえがいいかもしれないが、そんなものじゃないのだ。何と言ったらいいのだろう。なんて言うか・・・・・・ゴチャゴチャなのだ。アンバランスにも程がある。




「「「ようこそ、いらっしゃいませ!!旅館佐藤へ!!」」」




玄関を潜り抜けた先には、数人の従業員。っていうかここまで、佐藤さんなんだ。




「・・・・・・」

「どうしたの?カオル」

「・・・・・・いや、別に」




ある程度、予想は出来ていたのだが・・・・・・。分かっていた、分かっていたさ、ちょっと期待していた僕が悪かったのだ。外観を見て、気付くべきだったのだ。だけど・・・・・だけど、あんまりじゃないか・・・・・・。着物が・・・・・・前衛的過ぎるファッションになっているなんて・・・・・・。




「部屋は空いているかね?」

「はい、三名様ですね。四人部屋でしたら一部屋空いております」

「なら、その部屋で頼む」

「一泊銀貨十二枚になります」

「二泊しよう」

「はい、銀貨二十四枚ですね。では、こちらが鍵になります。部屋は203号です。ご案内致しましょうか?」

「いらぬ」

「では、お食事のご説明をさせて頂きます。お食事は、このロビーと繋がった、そこのレストランで取るか、お部屋で取ることが出来ます」

「うむ、分かった」

「当宿伝統の温泉になりますが、二つ御座います。『岩窟の湯』と『湯花の湯』に御座います。『岩窟の湯』は、かの勇者サトーが掘り、ついに出たその温泉をその日の内に入るために、即行で作った岩風呂になります。『湯花の湯』は、勇者サトーが王に成られてから、この地に訪れた際、せっかくだからしっかりしたのを作ろう、と言われ作られた大風呂になります。入浴は男女別、日毎に入れ替わることになります。例えば今日なら、男湯は『岩窟の湯』、女湯は『湯花の湯』になります。明日になると男湯、女湯が入れ替わり、男湯が『湯花の湯』、女湯が『岩窟の湯』になります。お分かり頂けましたか?」

「うむ」

「温泉に入る時の掟などは、知っておられますか?」

「うむ」

「では、ご説明は以上になります。何かあった場合は、受付にお申し付け下さい」

「うむ」




色々残念な思いはあるけれど、どんな部屋か楽しみだ。








カオルの能力についての説明&補足をここで一つ。


カオルの能力は【魅了】という事になっていますけれど、正確に言うなら【魅了】ではありません。自分も良く分かっていません。【魅了】の様な『何か』である事は確かです。効果範囲は最大約五十メートル、効果が無い相手もいたりします。例を挙げるなら、光賀、影山、カオルの幼馴染である杉崎すぎざき 優奈ゆうななど。光賀は単に『最強』だから、影山は気合と根性で、杉崎は彼女が持っている魔剣で吸収していたり。

効果範囲が五十メートルと狭いものの、その支配力は田中の【支配】よりも強力。すでに田中が【支配】していたとしても、さらに上書きされる。しかし、田中の様に直接体を動かす、記憶を見る、記憶を改ざんする、などといった細やかな操作は出来ない。支配対象は、カオルからの『おねがい』は絶対に従う。実は、第30話の時にフェリシアにこの『おねがい』を使っていたり。

たまに支配対象が暴走することがある。昔、まだこの『力』が抑えられなかった頃のトラウマがある。

カオルはこの『力』を制御しきれていない、興奮したり、動揺したりすると漏れ出してしまう。


ふぅ・・・とまぁ、こんな感じです。あぁ、そろそろ他のクラスメイトを出したい。





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