第39話『第一回緊急クラス会議』
遅くなってすみません
「話がそれたな、じゃあ言ってもらおうか」
「分かった、じゃあ・・・・・・」
自分の身に起きた事、こっちに来た状況、今までどう過ごして来たかなどをかいつまんで話した。
「一度死んだってお前・・・」
「正確には二回ね」
「いや、いやいやいやいや!!お前、良くソレでさっきのセリフ言えたなオイ!!」
「ウチの学校じゃそんなに珍しく無いでしょ?」
「ゾンビとかそんな奴のことを言ってんのか?」
「うん」
「言っておくがな、普通人は死ぬとそれまでだ、この世界でも地球でもな」
「・・・え・・・・・・そ、そうなの?」
「ちょっと待て・・・待ってくれ・・・おかしい、主にお前の常識とかが・・・」
「そんな!?常識から疑われるの!?」
「そりゃそうだろう!!お前を育てた奴に会いたいわ」
「今度会う?」
「オウ、会わせろや」
「あの世に居るけど」
「あの世かよ!!無理じゃねーか!!」
「え?」
「何だよ、『え?』って、オイまさか会えるとか言わねーよな」
「逢えるけど?」
「確かに『会える』とは言ってねーが、殆ど字の違いじゃねーか!!」
「良く分かったね?」
「お前は大体そういう奴だからだよ!!っていうかどうやんだよ!!」
「だから、いったん死んで・・・」
「それが普通は無理だっつってんだろ!!」
「そうでもないよ、ほら、こういう感じにナイフを突き刺すんだよ、そしたら楽に死ねる」
「あぁ!!もう、メンドくせぇコイツ!!そう言う事言ってんじゃねよ!!」
とかなんとか、文句を垂れながらも付き合ってくれる田中君であった。
「あ、そういや他の皆は何してんの?てかどこに居んの?」
「いきなりだな」
「それが僕だよ」
「・・・・・・まぁ、いいか、言っても仕方ないし・・・・・・・そうだな、少し待ってくれ」
そういうと、田中君は部屋から出て行った。
「待たせたな」
「待ったよ~」
「・・・正直に言うな」
暫くして戻ってきた田中君は、抱えるようにして何かを持ってきた。
「それは?」
「世界地図だ」
「あれ?地図?こういう所にある地図って、正確じゃないって聞くけど?」
「描いてきた」
「あ、それで」
地図を書いてたら、遅くなることも当然か。
「これがこの世界、この星の世界地図だ」
「おお!!」
その世界地図は、この世界の大陸の形を知らない自分でも分かる程正確な物だった。この世界にある、大陸の形、それは砂時計を真ん中で切り、少し放した位置に置き、間にドングリを置いたような形だ。だが、その見た目はパッと見の、一目見ただけのものだ、よく見れば、大陸の端の凹凸や、曲がりくねった川、それらが合流して大きな一本になる場所や、大小の島々、ヒマラヤの様な大きな山脈、各都市、町、村の位置まで書き込まれている。
「この俺の力をもってすれば、こんなもんよ」
「・・・おぉ」
「反応薄っ!!」
「いや、驚きすぎてね、イマイチ反応が出せないんだよ」
「そう・・・か?それなら、まあ・・・いいんだが」
「いやいや、凄いねー、スゴイスゴイ」
「そこはかとなくムカつくんだが」
「それはまあ置いといて、この薄い色で色分けされてるのは何?」
「大体の人口分布、いや生物分布だ、赤なら人族、黄なら獣人族、緑は妖精族、青は魔族だ」
「ふーん・・・・・・この斜線の部分は?」
「俺が【支配】できてない所だ」
斜線の部分はいくつかあった。鉱山の近くの町、あるいは森の中、あとは大陸と大陸の間にある大きな島。
「この、鉱山の近くにある町と、森の中に居るのは何か大体分かるけど、この大きな島に居るのは何?」
このファンタジーな世界で鉱山の近くに居ると言ったら、『土の民』ドワーフ以外にあるまい。森の中に居ると言ったら、『森の民』エルフ以外にあるまいて。
「ドラゴンだよ」
「え?」
「ドラゴンだよ、ドラゴン、トカゲみたいで、火を吐くアレだよ」
こんな形で、ドラゴンの事を聞くとは思ってもいなかった。ファンタジーには欠かせない『世界最強』『王の中の王』、勇者に倒されたり、ラスボスだったり、勇者の友だったり、話しを盛り上げる要員としては欠かせない、あのドラゴンだ。
「やっぱ、エルフとか、ドワーフとか、ドラゴンって物凄い長命らしいのよな、それだけ『個』も強いって事だ」
「なるほど、それで【支配】率70%なのか」
「そうだ、俺が見つかってない奴がいるかもしれないって言ったのは、そういう【支配】しきれていないところに誰かいる可能性がまだ残ってるからな」
「入れないの?」
「ん?」
「【支配】出来なくても、その町だとか、里だとかに、入ることぐらい出来ないの?」
「それが何故か出来ないんだよ、何故って言うほどでもないか、多分そういう所には、強力な結界みたいなのがあって、外敵を自動的に排除でもしてるんだろうよ」
「その何かで入ろうとしたら弾かれる、と」
「そう言う事だろうな」
「話がそれたな、元に戻すか」
「それ俺のセリフ・・・・まあいいさ、戻そう」
「他の皆は?」
「そうだな、手始めに櫻井、カオルちゃんから言おうか」
「カオルちゃん元気?」
「ああ、元気だ、そして可愛い」
「よかった」
「カオルちゃんは今、温泉の街、オロン、この地図で言うと、王都から北に二つ目の街だな、そこに居る、影山と一緒に」
「なんで?」
「どうもそこで偶然会ったらしい」
「そういえば、影山君って北に向かって旅してたっけ?『賢者』に会いに、そのオロンって街に、カオルちゃんはずっと居たの?」
「いや、カオルちゃんも王都に向けての旅の途中だったって」
「カオルちゃん一人で旅してた訳じゃないよね、今までの期間中襲われることも無く無事だったってことは」
「お、鋭いな、カオルちゃんは、この世界に迷い込んだ時に拾われた人と一緒に旅をしている」
「優しい人もいたもんだね」
「全くだ、悪い人がカオルちゃんなんか見たら真っ先に襲うからな」
「その優しい人ってどんな人?」
「『賢者』だ、どうも『森の賢者』と呼ばれているらしいおじいさんと、獣人族の女の子、それと一角兎って言う魔物、あ、魔物は旅の途中で拾ったから違うか」
「『賢者』!?影山君が探しに言った人!?」
「そうだな、これで影山の目標は一応達成されたわけだ、んでそこで俺の第一回緊急クラス会議が入った訳だ」
「なんかえらくあっさりしてない?それに一応って何?」
「影山の『賢者』に会うっていう目標は達成された、だがその先の帰る方法を見つけるという目標は達成されなかったって事だ」
「なるほど、じゃあこれから影山君はどうすんの?」
「世界を回ってみる、だと」
「ふーん」
「そっちにある、図書館に勇者の日記に何か載ってるかもしれないから見てくれ、だと」
「その情報は?」
「これも『賢者』だ、カオルちゃんもそれを見るために王都に向かってたんだと」
「そうなんだ、じゃあ時間が在れば図書館に言って探してみるよ」
「それと、カオルちゃんは王都にある学校に入るらしい、なにも図書館には学生にしか入れないところがあるだとか」
「カオルちゃん学校に入るの!?なんて学校?」
「それ位、簡単に予想がつくだろう」
「全然」
「お前ワザとだろ?」
「いや?」
「お前が、姫様と行く学校だよ」
早く他のクラスメイト出したい。