第35話『回想~海草と海藻は別物である~』
遅くなってすみません。
ヒフミ君視点、なんか最後にヒフミ君は云々書いていますが、特に意味はありません。
「それで?あなたは何故あんな事になってたの?」
「?」
あんな事?何の事だろうか?
それより今の状況を話しておこうか。
誰にだって?ふん、そんな事は分かり切っているだろう。
そう!!君たちにだ!!
(うるさいよ、ヒフミ)
(どういうテンションなの?)
(っていうか知ってるよ、ずっと見てたし、何でそんなこと言うんだ?)
え?そうでもしないと『みんな』の出番が無いかもしれないと思って。
(あ!!本当だ、今まで全然出番なかった!!)
(意外と真面目な答えが返ってきてびっくりしたよ)
(そんな事心配しやがって、俺たちは導入のためのキャラ、もしくは要所要所で出てくるようなキャラ だから、そんなに出なくたっていいんだよ)
まぁ、そんなこと関係なく説明はする。
今、自分は医務室の様な所に居る。さっき、フラフィーさんのアイアンボムによって出来た傷を治療するためだ。それで、治療、魔法―――医者?治療術師?というのだろうか?『<治療>ぉぉぉぉぉぉぉ!!』と叫んでいたので治療術師だろう――――による治療を受けていた。そこには、ここまで自分を運んで来た『お転婆姫』もいる訳で、今はこの部屋に居た治療術師でさえ退出させられ、何故か自分は尋問を受けているわけだ!!
どうだ!!分かったか、この野郎!!
(だから、知ってるって)
(だから何なの?そのテンション・・・)
(もう、面倒臭ぇコイツ)
「あぁ、あなた言葉が分からないんだっけ?」
「ハイ!!」
「そんな自信持って言われても困るわよ」
「ハイ!!」
「ちゃんと言ってること分かってる?・・・そうだ、分かってないんだった、はぁ」
「ハイ!!」
「あなた、ホントは分かってるんじゃないの?」
「ハイ!!」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・ヤバ」
「・・・ヤバって、まさかあなた・・・」
しまった!!ノリと流れで「はい」と言ってしまった!!
(わざとだ)
(ゼッタイにワザとだ)
(お前・・・どうすんだよ・・・俺等なんもできねぇぞ?)
マジで?本当なんか出来ない?記憶の消去とか・・・あの世的特権で、
だって『みんな』ってなんか、お偉いさんでしょ?
(え?そんなこと言ったっけ?)
(何でそのこと知ってるの?)
(まさか・・・バレていたのか、俺が宴会部長だということが)
無理にボケ盛らなくていいから、言ってたじゃん『最強』さんに自己紹介した時に。
(・・・確かに言ってたね)
(でもダメだよ)
(そういう決まりだからな、甘えんなカズ)
出来るには出来るんだ・・・。
うん、分かった、自分でどうにか誤魔化す。
(そもそも自業自得だからね?)
(エンマさんも気のいい人だけど、甘やかしたりしないからね)
(そうそう、可愛い幼女だしな)
そんな情報いらないよ・・・え?幼女?カワイイの?年齢は?
見た目小学校高学年以上は、幼女とは認めないからね?
(めっちゃ食いついた!!)
(食いつかなくていいから!!ひーちゃん、私たちと会ってない間に何があったの!?)
(まさかここまで食いつくとは思ってなかった・・・いや!!今はそれよりも姫さんだ、
変な間が空いてる!!)
う・・・うん分かった、後でどんな子か聞くからね?
「アー、イエース、アイキャンスピーキング」
(なぜに英語)
(しかも、今の英語的にはおかしいしね)
(反応はどうだ?)
これで誤魔化せたか?
「ふざけないで、あなた、言葉、話せるのね?」
「・・・はい」
誤魔化せなかった!!
「それで?何で話せることを隠してたの?」
もう隠せないか・・・仕方ない、話すか!!仕方なくな!!
(うわぁ~~~嬉々としてるよ)
(それでいっつも死にそうになってるのに)
(お前さぁ、いい加減止めろよそういうの)
何を言う!!自分はエムなんかじゃない無い!!ノーマルだ!!
(そんなこと言ってない!!)
(もう疲れたよ、ひーちゃん)
(コイツのこういう性格は昔からだ、諦めろ)
「話せるとなると、面倒な事になりそうだからです。
それと、今話せているのも魔法のおかげなので、
魔法なしでも話せるようにと勉強しようと思いまして」
「それが理由?何故面倒な事になると思うの?」
「『最強』、いや『勇者』で通りますか?」
「<召喚>された彼女達の事?」
「そうです。私もその<召喚>で呼ばれたんです」
「知ってるわ」
「なら、大体分かるんじゃないんですか?」
「うん?・・・分からないわ、どう言う事?」
ホントにこの人『お転婆姫』か?なんか凄い大人しいけど。あとちょっとバカっぽいけど。
そういえば名前、聞いてない。ま、いいか後で。
「では、『勇者』の特徴を上げてみてください」
「特徴?綺麗とか、カッコイイとかそんなの?」
「はい」
「綺麗で、カッコよくて、スタイル抜群で、手足が長くて、胸が大きくて、
でも、その胸もただ大きいだけではなくて、形がとてもいいわ、
それに顔も、もし天使と会ったことがある者が居るとすれば、十人中十人、
違うわね、十万人中十二万五千人の人が天使だと言うでしょうね」
「それもそうですが、もっと他の事です(二万五千人どっから出て来た)」
「とても強くて、頭がいい?」
「では、どう強いでしょうか?」
「あなたちょっと、私の事バカにしてない?」
「バカになど(ちょっとしか)してませんよ、どう強いでしょうか?」
「力が強くて、剣術もとても強くて、とても速くて、どんな魔法でも使える」
「そうです、魔法です」
「魔法?それがあなたにどう関係あるの?あなた魔法は使えないんでしょう?」
「ええ確かに、全然使えませんね」
「じゃあ関係ないじゃない」
「それが、そうじゃないんですよ。姫様は、魔法使えますか?」
「そんなの当たり前じゃない」
「では、魔法はどうやって使いますか?」
「<詠唱魔法>なら魔力を練って、起こすことをイメージして、
それに合った古代語を言う。<魔法陣魔法>なら、<魔法陣>を書いて<起動>する」
「その通り!!」
「これくらい、基本中の基本ね。でもこれがどう関係するのよ?」
「そのどちらにも必要なものが在るはずです」
「そんなの、魔力と古代語に決まってるじゃない」
「はい、その通り、正解です。ヒューヒュー!!」
「絶対バカにしてるでしょ!!」
「とまあ、姫様を小馬鹿にするのは止めて・・・」
「やっぱりバカにしてた!!あなた、許さないわよ!!」
「まぁまぁ、そんなこと置いといて、では、私たちの出身は?」
「そんな事!?人を馬鹿にするのがそんな事ですって!?」
「ほら答える!!早く!!」
「えっ、うっ、っとぉ・・・異世界!!」
「もっと細かく!!」
「うぅ・・・に、ニホン?」
「正解!!では、そこで話されてる言葉は?」
「そんなの、分からないわよ・・・・・・ニホン・・・語?」
「正解!!あと一息!最後に、日本語と魔法の関係は?」
「分からない~~~・・・・・・ヒント!!ヒント頂戴!!」
「あげない!!もうちょっとだから!ほんの、もうちょっとだから!良く考えて!!」
「ケチ!!・・・・・・う~~~ん・・・・・魔法・・・魔力・・・古代語・・・
ニホン語・・・語?・・・もしかして、言葉?・・・古代語とニホン語は同じ?」
「さあ?」
「えぇ!?」
「細かい所は分かりませんが、大体同じだと思いますよ?」
「ふ~~~ん・・・・・・で?」
「で?とは?」
「そんな話をしたからには、何かあるんでしょ?」
「いえ、別に」
「えぇ!?・・・もっとなんか、こう、ないの?交渉的なものが!!」
「ちょっと待ってください・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・特にありませんね」
「えぇ!?」
なにも、ないな。・・・・・・・・うん、ない。よし、帰るか!!
(血の)掃除もしないといけないし。
あ、名前聞いてない。まあいいか、フラフィーさんに聞けば。
「では、これにて失礼させていただきます」
「ちょ、ちょっと待って!!」
掛かった!!
「何でしょうか?」
(こうして、また一人、犠牲者が増える訳か)
(ひーちゃん、物凄くいい笑顔してる)
(ホントこえーよな、カズって)