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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
『かわいい』あの子と『最強』と『最恐』
31/102

第31話『のんびり馬車の旅~基本ゼイスさんは空気~』



時は流れ今は夜中である。

僕とフェリシアは、所謂寝ずの番と言うのをしている。

寝ずの番をするのは初めてなので、フェリシアもいる。

ゼイスさんとの交代までは、まだ二時間もある。ゼイスさんは今のうちに寝ている。




「星が綺麗」

「そぉ?」

「うん」




見上げる空には満天の星空と満月。

こんな景色は、日本ではなかなか見れなかった。(見たことが無い訳ではない)




「日本ではね、電気、科学の力で街に光が溢れてたからね、星が見えなかったんだよ」

「いいじゃない、ソレも綺麗なんじゃないの?」

「綺麗っちゃ綺麗なんだけどね、そこにずっと住んでると飽きちゃうよ」

「贅沢な悩みね、こっちなんか夜なんか暗くて勉強できないわよ」

「ごめん」

「まぁ、カオルが古代語を教えてくれて、

 <魔法陣魔法>の新しい使い方を見つけてくれたから、

 これからは夜でも勉強できるけどね」

「そうだ、こっちには街灯とかある?」

「主要な町にはあるわよ」

「ソレはどうやって光ってるの?」

「勇者の魔法」

「え?」

「正確には勇者の魔法の欠片」

「うん?」

「簡単に言うと勇者が莫大な魔力を込めて<発光>の魔法を使ったのを切り分けたの」

「魔法を切り分ける?魔法って切れるの?」

「普通は切れないわね・・・」

「じゃあ、普通じゃなかったら切れるの?魔剣か何か?」

「・・・そうよ、っていうか良く分かったわね」

「僕の友達に、そういうのが居るから」

「魔剣を使えるって、どんな友達よ」

「どんなって、そう言われても・・・・・・幼馴染としか言いようが無いなぁ」

「・・・・・・おさっ!?えぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

「そんな驚かなくても、こっちじゃ魔剣なんかそれなりに在るんじゃないの?」

「在るわよっ!!在るけどっ!!

魔剣って其々が意思を持っていて、選ばれた者しか使うことができないし、

そもそも魔剣に触ること自体が無いに等しいし!!」

「あぁ~~~そうだ、魔剣って危ないでしょ、使用者の登録とかしてる?」

「私のテンションは無視!?・・・そうね、魔剣は殆ど登録されているわ」

「殆どってことは、何本か登録されてないってこと?」

「そうね、遺物としてどちらの大陸も躍起になって探してるわ」

「その中に喋るのってある?」

「ん~~~~~・・・・・あ、あるわ!!」

「黒くて柄に宝石が埋まってる?」

「そうね、っていやいやいやいや!!いくらなんでもソレは無いでしょ!!

 確かに、見つかってないけど、カオルの世界にあるわけないでしょ」

「僕がここに居るのにそれを言うかなぁ?」

「う~~~~、ソレを言われると反論できないわね」




よし、これで僕が元の世界に帰る希望がまた増えた。

あの喋る魔剣がこの世界の物かは分からないけど、

アレがこの世界の物だったとしたら、この世界から魔法を使わないでも、

元の世界に戻る方法があるのかもしれない。

あくまで、かも、だけど。



















とまぁ、何だかんだ話していると、フェリシアが急に黙った。




「どうしたの?」

「魔物よ」

「どこ?」

「そこ」




ナニかが僕に飛びかかってきた。




「わきゃ!?」

「カオル!!」




フェリシアがアタフタと魔力を練り上げている。




「<火・・・」

「待って!!フェリシア、それだと僕も・・・!!」

「球>!!」

「<展開>!!」




僕は咄嗟に<魔法陣>を<展開>した。

僕に、正確には僕の抱えている魔物に向かってくる火球は、

僕にぶつかる前に消え失せた。




「あぁ、カオル!!ってあれ?」

「危なかったぁ~~~、死ぬかと思ったぁ~~~」

「今、何が?ってそれよりも魔物!!」

「この子の事?」

「ソレよ!!早く離しなさいカオル!!魔物よ危ないのよ!!」

「そう?」




僕の手には今、小ぶりなメロンぐらいの大きさの兎がいる。

角が一本生えているから、やっぱり普通の兎ではなく、魔物だ。

それも、今日の午後にフェリシアが倒した一角兎の生き残りだろう。

晩ご飯のシチューになった一角兎は、僕の腰ぐらいの大きさがあったので、

この子はまだまだ子供なんだろう。

なによりも、カワイイ!!もっふもふ、もっふもふだ。

ソレはもう、触っているだけで心が洗われるような、

さわり心地はまさに、天使の産毛とでもいえると思う。

もう逆に、産毛まみれの天使だ。・・・うん、ソレは嫌だ。

もうこの子を離したくない!!




「大丈夫、この子は危なくないよ」

「何故そんなこと言えるのよ」

「ん~?君は危ない事する?」

「キュイ?」

「ほら」

「何がほらよ、魔物に人間の言葉が通じる訳ないじゃない、

 危ないから、カオルその子を離して、お願い」

「イヤ」

「離して」

「どうしても、ダメ?」

「うっ・・・仕方ないわね」

「やったー」

「キュー」

「でも!!」

「にゅ?」

「キュ?」

「カオルが怪我するような事があったら、その時は・・・分かったわね」

「分かった!!よし!君の名前は今日からキュー太郎にしよう」

「キュー!!」

「待って!!いくらなんでもキュー太郎は無いわカオル」

「いーじゃん、可愛いじゃんキュー太郎」

「キュウ!!」

「あなたはソレでいいの?」

「キュ?」

「分かってないみたいね、カオル、この子の名前は私が決める」

「ええー」

「ええー、じゃない!

・・・そうね、キュ、キュ、く、くる・・・・・・クルトンにしましょう!!」

「待って!!それじゃパンを堅く揚げたやつみたいになっちゃうよ」

「いいじゃない、クルトン、可愛いわ」

「それに心なしか美味しそうだよ!!」

「はい、クルトンに決定―!!ワー、パチパチパチー!!」

「僕の拒否権は無いの!?」

「キュイ!!」

「そこで鳴くんだ!!」

「クルトンー、今日から私があなたのママでちゅからねぇ~」

「フェリシアの初めの態度は何所に!?」




クルトンが仲間になった。





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