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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
『かわいい』あの子と『最強』と『最恐』
30/102

第30話『のんびり馬車の旅~夕食前と夕食中~』


猛烈に話が進まない!!






僕がフェリシアから逃げるように馬車から降りてくると、

もうキャンプの準備は出来ていた。

馬車の屋根から出た布とそれを支える柱でできた日よけ、もう夕方だからいらないけど。

どうやって持ってきたのか煉瓦でできたしっかりとした釜戸。

その上に乗った鍋からは良い匂いがする。

ああ、そういえば一角兎のシチューだったっけ・・・今は食べたくないなぁ。




「おぉカオルか、もう良いのか?」

「・・・うん、なんかもう、どうでも良くなった」

「そうか」

「何であんなだったかとか聞かないんですか?」

「あのタイミングでソレ以外に理由などないじゃろう」

「あぁ、そうですね」

「本当に良いのか?馬車から悲鳴が聞こえておったが?」

「まぁアレは・・・」

「カオルー!!待ってー!!」

「まさか、馬車におったフェリシアが・・・」

「そうなんです・・・」

「カオルに襲われた」

「違います」

「そうなのかの?」

「どちらかと言うと襲われたような・・・」

「カオルー!!なんで逃げるの!?」

「あの状況で逃げない方がおかしいよ・・・

ああいうことは好きな人同士でするもんでしょ」

「私はカオルの事が好きだよ?」

「・・・あ、うん、ありがと」

「なんか反応がよそよそしい!!やめて私が悪かったから!!」

「あ、そういえばゼイスさん、えと、オロンでしたっけ?どんな街なんですか?」

「そうじゃのう・・・」

「無視しないで!!ごめんなさい本当にごめんなさい!!」

「もうしない?」

「もうしない」

「本当に?」

「本当に」

「今度したら、僕はフェリシアの事を軽蔑するよ?」

「にぁっ!?しない絶対しない!!金輪際しない!!約束する!!」

「じゃあ許すん」

「どっち!?」

「ごめん、噛んじゃった。許す」

「良かったぁ~~~!!」




そう言って抱きついて来た。

僕の胸に飛び込んできたフェリシアの頭をなでる。

「計画通り」そんな声が聞こえるが気にしない。

フェリシアの方が背が高いのに、僕の胸に顔をうずめるのはつらくないのだろうか?

「でも軽蔑された眼で見られるのもいいかも・・・」と言うのも聞こえない。

「カオルのこの無い胸もいいわね」・・・




「フェリシア、全部聞こえてる・・・」

「え、嘘!?カオルのニオイがたまらないとか、カオルの体が柔らかいとか全部!?」

「そんなこと思ってたの・・・?」

「はっ!?言っちゃた!!」




なんか壮絶だった。フェリシアが変態になってしまった。

初めて会ったときは、もっとキリッとしてたのに。どうしちゃったの?

これは僕のせい?僕はこの旅の間、安全に過ごせるだろうか。




「前のフェリシアに戻ってよ」

「分かったわ、カオルが言うならね」

「戻った!?」




えぇ~~~?そんなすぐ戻るものなの?
















ご飯を食べながら、気になっていたことを聞く。

もちろん、僕のお皿の一角兎のお肉は除いている。




「そうそう、どんな街なんですか?オロンって」

「まぁ、簡単に言うと温泉街じゃな」

「いつも通るけど、あの臭いには慣れないわね」




温泉街かぁ~、楽しみだな。

こっちに来てお風呂には、毎日(ゼイスさんの家にあったので)入っていた。

だけど、温泉とお風呂は全然違う。

情緒とか効能とか色々あるけど、あの落ち着いた雰囲気が好きだ。




「料理は?料理はどんなのがありますか?」

「うん?料理が気になるのか?」

「そりゃあもう、旅においしいご飯は付き物ですから」

「なにそれ?」

「あれ?そういうの無いの?」

「旅は大変なものよ、疲れるし、長旅だと最後の方はおいしい物なんか食べれないし」

「うむ、勇者との旅で一番辛かったのは、戦闘でなく旅そのものじゃったな」

「わかった?カオル」

「うん」

「でも、私たちはそんな不自由はしないわよ」

「え?なんで?」

「まず、村から村、町から町までの距離がそこまで遠くないから。

 次に、馬車がいいし、食べ物も新鮮に保管できるしから」

「二番目に二つも入ったね」

「いいじゃないそんな事、最後にカオルが可愛いから」

「ソレ、入るんだ?」

「入るわ、むしろコレが一番。ね、ゼイスさん」

「そうじゃのう、カオルを見ておると、心が安らぐしのう」

「えぇ~~~?・・・まぁいいです、それで、オロンのご飯はおいしいんですか?」

「ええ、ちょっと変わってるけどね」

「変わってる?」

「魚を生で食べたり、なんかあんまり味の無い穀物を蒸す?茹でる?

なんか調理したのが出てきたりするの」

「それは、多分・・・」

「そうじゃ、カオルが思っておる通り、カオルの世界の料理、いや、ニホン料理じゃな」

「やっぱり?じゃあ宿も畳、草のマットみたいなのがあったりする?」

「いや、それはないのう」

「そう、なんですか・・・」

「落ち込まないでカオル、草のマットなんかより

綿がいっぱい入ったマットの方が気持ちいいわよ?」

「そうだけど・・・そうじゃないんだよ」

「意味が分からないわよ?」

「むぅ、説明し辛い」




どう説明したらいいんだろう?畳の良さって。

畳の香りとか、ウチの工場の休憩所とかが畳で、

そこで一仕事終えた後に飲むお茶のおいしさとか、

そのまま座布団を枕にしてうたた寝をする気持ちよさとか、

あ、畳関係ない。





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