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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
『かわいい』あの子と『最強』と『最恐』
29/102

第29話『アップダウン』


ネガティブ回

カオル視点に戻ります。






フェリシアの戦闘は凄かった。

女の子なのに、あんなに強いのは余り居ないと思う。

あ、フェリシアが戻ってきた。

あれ、なんか・・・?




「お待たせーカオルー、どうだった?私っカッコよかった?」

「ひっ!!」

「カオル、どうしたの?」




赤い、真っ赤だ。

そうだ、フェリシアは戦闘をしてきたんだ、コレは・・・魔物の血だ。

フェリシアの血という事は無い、フェリシアはこんなにピンピンしてる。

コレは、魔物の血なんだ。人も魔族も襲う魔物の血なんだ。

フェリシアはイイコトをしたんだ。魔物が居たら色んな人が困るんだ。

だから、フェリシアはイイコトをしたんだ。コレはイイコトなんだ。

大丈夫なんだ。大丈夫大丈夫、大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫ダイ・・・・




「元気ないわね?見て!!今日の晩御飯は一角兎のシチューよ!!」

「あ、あぅ・・・」



フェリシアの手には力なくグッタリとしている角の生えた大きな兎が。

いや、兎だったモノが・・・




「ちょっと待っててね、着替えたらご飯の支度し始めるから」

「では、わしらはキャンプの準備をするかの」




分かっていた、分かってたはずだ。

ここは、剣と魔法のある世界、ドラゴンがいる世界、魔物がいる世界、

何故魔法という便利なモノがあるのに、技術がそこまで発展していない?

答えは簡単、発展するほどの暇が無いからだ。

たとえ新しい技術が出来たとしても、隅々まで伝わらないからだ。

なら何故、伝わらないのか?

百年前までは戦争、今は魔物が世界に蔓延っているからだ。

百年前の戦争で人が死んだ原因の一番は、戦争そのものではなく、

戦場に向かうまでに魔物に襲われるか、戦場に魔物が乗り込んでくるか、

戦争のために兵が出はからった村が、魔物の大群に襲われるなどだ。

そう、この世界で何よりも危険な物は魔物なのだ。

この世界は常に戦闘が絶えない。

人と魔族との戦闘はもう無いが、人と魔物、魔族と魔物の戦闘はまだ続いている。

比較的、今は平和らしい、平和と言っても常に死と隣り合わせの平和だ。

常に死と隣り合わせなのは、元の世界だって同じだ。

だけど、こっちの世界は、もっと、もっと簡単に人が、生き物が、

死んでしまう世界なんだ。

それなのに、それなのに僕は、何を楽しそうに、他人事だと思って。




「・・・はい」




声に力が入らない、声だけじゃない、体中に力が入らない。

さっきの兎みたいに・・・




「ではカオルはこの棒を持って立っててくれるかの?」

「はい・・・」




瞳孔が開き切った赤い目、生き残るために必要であっただろうが今は力なく垂れた耳、

力強く素早く動くための手足だがそれも生気を失い力なく伸びている。

そして、赤い一本の筋の入った首。

全く生きている気配が感じられない。死に切ってしまっている。

どうしようもなく死んでしまっている。




「カオル、顔色が悪いのう・・・少し休んでおくかの?」

「・・・はい」

「馬車で休んでなさい、夕食になったら呼ぶわい」

「・・・・・・」
















「あう~~~~気持ち悪~~~~」




まだ目が血の赤い色でチカチカしてる気がする。

フラフラとした足取りで馬車に向かう。




「ちょっと寝よう」




こういう時は寝るに限る。

寝たら夢に出そうだけど・・・。




「はぁ~~~~~」




ガチャリと馬車の扉を開けて、馬車の椅子に倒れ込む。

フカフカ、ではない堅めの椅子ソファーっぽい

置いてあるクッションに顔をうずめる。




「もふもふ」




モフモフするといくらか気が紛れる気がする。

そういえば、無限に出来るプチプチや枝豆があったなぁ。

と思っているのは、ある程度回復したからか。




「もふもふもふもふ」




意味も無くモフモフし続ける。




「何してんの?カオル」

「もふっ!?もふぃふあもふもっ!?(フェリシア居たの!?)」

「何言ってるのか分からないわよ?」

「ていうかなんてカッコしてるの!!」

「ん~?ハダカ?」

「聞かないでよ!?」

「裸よ!!」

「そんな胸張って言わないで!?あぁもぅ!!早く服着て!!」

「別にいいでしょ?どうせ・・・」

「同性じゃないからね!?ねぇ、いつまで引っ張んのこのネタ!?」

「飽きた?」

「飽きたよ!!」

「飽きたなら仕方ないわね・・・どうする?」

「『どうする?』じゃないよ!?僕はそこまで日常にネタは求めてないよ!!」

「ごめんなさい・・・」

「うんうん、さあ早く服を・・・」

「頑張ってツッコむカオルが可愛くてつい」

「そんな理由だったの!?いや、早く服着て!!

 僕だって男だよ!?可愛い女の子が裸で目の前に居たら・・・分かるよね」

「分かったわ・・・」

「じゃあ早く服を・・・」

「来なさい!!カオル」

「どうしてそうなるの!?」

「でも・・・初めてだから優しくシテね?」

「何をするの!?」

「何って、男と女の営みよ」

「な!?なjkそldんfんさ//////」

「カオル!?ちょ、どうしたの!?言語機能が崩壊してる!!

 冗談、冗談だから!!そんなことシないから!!ていうか先に言ったのカオルだし!!

 落ち着いて!!・・・ほら、ひーひーふー」

「ひーひーふー」

「ひーひーひーひーひー」

「ひーひーひーひーひー・・・ぶはぅっ!!えふっ!おふっ!!」

「落ち着いた?」

「酷いよ・・・フェリシア」




なんか色々あって涙目だ。




「・・・ごめん///」

「何で顔赤くしてるの?」




涙をぬぐいながら言う。




「な、何でもないわよ!!」

「・・・?っていうか服!!もうこれでいいから着て!!」




僕の服を脱いで渡す。




「いいの?」

「いいよ?」

「私の裸はダメでカオルの裸はいいの?」

「いいの!!」

「って言う事は・・・私からカオルを襲うのはアリ?」

「ナシ!!冗談だよね!?ソレ冗談だよね!?」

「・・・・・・・・・・・」

「黙らないで!!」

「・・・・・・ふふっ」

「何で笑うの!?もしかして僕襲われるの!?」




身の危険を感じた僕は、荷物から上着を取り出し羽織って逃げるように馬車を出た。













カオルが逃げちゃった、あとちょっとだったのに。

まぁいいか、カオルが元気になったから。







ネガティブは長く続かない。

というか続けれない。文才の無い私には。




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