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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
『かわいい』あの子と『最強』と『最恐』
26/102

第26話『のんびり馬車の旅~魔法コンロ~』



さて、王都への旅が始まって、初めての食事だ。

王都へは、三つの村を中継して行くことになる。

始めの村までは、この馬車で四日程かるらしい。

何もなければ、という言葉が冠に着くが。




何はともあれ、食事だ。

きょうの食事当番は僕だ。

前々からしてみようと思っていたことをしよう。




「カオル、何してるの?薪は?」

「魔法があるんだし、どうせなら魔法でできないかなー?って思ってね」

「ほう、魔法を使って料理か」

「うん」




火に関する<魔法陣>を思い浮かべる。

魔法に関してだが、僕は魔力が少ないことが分かった。

魔法の練習をしていて<詠唱魔法>四発撃っただけで、

倒れてしまったからだ。

それにより、直接現象を起こす<詠唱魔法>が僕は余り使えないことになる。

しかし、<詠唱魔法>で頭の中の<魔法陣>を<展開>することで、

魔力の消費を少なく魔法を使える。

<展開>の魔法は<詠唱魔法>ではあるが、

頭の中のイメージを光にして表すだけなので、

魔力の消費がとても少ないのだ。

これは、僕だけに当てはまる事ではなく、魔力が少ない人全般に対する救いになる。

魔力が少ない人は、それだけでいじめを受けたり、

仕事の幅が少なくなったりするそうだ。




「<展開>」

「カオル、何を考えてたの?」

「へ?」

「ほう、<魔法陣>とカオルの魔力に関することと、

カオルが発見した<展開>の魔法の使い方についてか」

「うわ!?全部出てきた!?」

「へぇ~、カオル、いろいろ考えてたのね」

「見ないで~、恥ずかしいから見ないで~」

「ほっほっほっ、まぁこういう事もあるじゃろう」

「うぅ~」











気を取り直して、火に関する<魔法陣>を思い浮かべる。

その<魔法陣>に<弱火>、<中火>、<強火>、<継続>、<切替>

などの文字を追加していく、その時に火のイメージを文字に乗せる。

そして・・・




「<展開>」

「今度はちゃんと出来たみたいね」

「ふぅ、よかった~」

「ほう、見せてご覧なさいカオル」

「どうです?」




ゼイスさんに出来た<魔法陣>を見せる。




「ほう、火の<魔法陣>に色々文字を追加したのか」

「はい、多分それでコンロ・・・日本のっていうか、元の世界の料理道具で、

火の大きさを調整出来る道具があるんですけど、

ソレみたいなことができると思います」

「いいのう、カオルの世界には便利なものがあるんじゃのう、羨ましいわい」

「まぁ、便利になった分、人も怠けますけどね」

「便利になりすぎるのもダメってことね」

「そうだね」

「では、起動させてみなさい」

「はい・・・<起動>」




<魔法陣>が僕の声に応じて、<起動>する。

<魔法陣>より少し浮いた位置に炎が現れる。

小さな炎、いわゆる<弱火>だ。




「ふむ?炎が少し浮いた位置に現れるのは何故じゃ?」

「この<魔法陣>を触ることで火力を調整できるようにしました。

 なので、<魔法陣>から直接炎が出ていると触れないからです」

「ほう、触ってみてもいいかの?」

「はい」




ゼイスさんが、<魔法陣>を触る。

すると炎が<弱火>から<中火>に変わる。




「もう一度触ってみてください」

「分かった」




今度は、<中火>から<強火>変わる。




「もう一度触ると、また<弱火>になります。

 そして、<消火>と唱えると、火が消えます。

 また点けたいときは<着火>と唱えればつきます」

「いいわね、コレ凄いじゃないカオル!!」

「へへぇ~」




誉められるのは、純粋に嬉しい。

ちなみに、普通<魔法陣魔法>は発動し、現象が起きたら<魔法陣>は消え、

もう一度使えないのだが、<継続>や<維持>などの文字を<魔法陣>に

組み込むことで、<魔法陣>が消えずにもう一度使えることができる。

これもまた、僕が発見したことだ。

このような事は勇者だったサトーさんが見つけててもいいような事だが、

サトーさんは勇者だけあって魔力も多く、主に使うのは<詠唱魔法>だったそうだ。

きっと、魔法をバンバン撃ってカッコよく戦っていたんだろう。




「偉い子のカオルには、ご褒美にぎゅーっとしてあげましょう、ほら、おいで!」

「行かないよ!!」

「よし、ならばわしが行こう」

「イヤ!!ゼイスさんは来ないで!!変態!!」

「な!!変態!?・・・い、いや、ちょっとした冗談じゃよ」

「冗談でも、変態は変態です!!」

「ゼイスさん、フェリシアも年頃の女の子なんだよ、そういうのをちゃんと考えて?」

「昔はフェリシアも素直に受け入れてくれたんだがのう」

「子供は成長するものです」

「そんなこと言っても、この中で一番ちっちゃいのはカオルだけどね」

「ゼイスさん!!フェリシアが僕に酷いことを言うよ!!

 僕が一番、気にしていることを言うんだ!!」

「フェリシアよ、人にはそれぞれ個性というものがあっての・・・」

「何ですか?変態」

「カオルよ!!フェリシアがわしに酷いことを言うんじゃ!!

 助けてくれ!!このままではわし、立ち直れないかもしれん!!」

「ゼイスさん!!」

「カオル!!」




ゼイスさんが腕を広げる。

ソレが意味することは・・・すなわち、熱い抱擁。




「いや、ちょっと・・・ごめんなさい」

「カオル!!さぁ!!」

「そういわれても・・・なんか、イヤです」




ゼイスさんの心が折れる音がした。





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