表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕達の異世界生活  作者: 真島 真
『かわいい』あの子と『最強』と『最恐』
24/102

第24話『王様への謁見』



衛兵っぽい人が叫ぶ。




「王様!!勇者様がお出でになられました!!」

「うむ、通せ」




無駄に豪奢な扉が開かれる。

その先には真っ赤な絨毯、ものすごくフカフカしそうだ。

更にその先には、これまた豪華な玉座、そこに座る人物が

その玉座の主であり、この国の主である王。

アビヤヌス・ソロモン・サトー。

サトーって!!

と思ったこともあったが、『最強』さんが二代目勇者であったことから、

初代勇者がいることは、分かっていた。

流石に勇者をしてたというサトーさんが、

王様になっていたのには驚いた。

この王は、その初代勇者サトー・イチローの息子らしい。

ちなみにソロモンがサトーさんが付けた名前らしい、

サトーさん・・・遊んでんな。




「王様、勇者光賀 光参上いたしました」




流石だな『最強』さん、様になってる。

自分は、最強さんのまねをして頭を下げている状態で良く見えないが。

多分、様になってる。




「顔を上げよ」

「はっ」




顔を上げる『最強』さん。

自分はまだ顔を上げない。




「此度は何故此処に来た?」

「はい、眠っていたもう一人の<召喚者>が目覚めましたゆえ、ここに来たしだいです」

「ふむ<召喚者>とな」

「はい、こちらに居ますのはニノシタ・ヒフミ、私と同じ学校に通っていた者です」

「そうか、そこの者、顔を上げよ」




まだ顔は上げない。

『最強』さんと打ち合わせをして、自分はまだこちらの言葉が分かっていない、

という設定にしているからだ。




「申し訳ございません王様、この者はまだこちらの言葉が分からないのです」

「そうか、なら勇者殿が伝えてくれ」

「はい」




『最強』さんがこっそり耳打ちしてくる。




「カズ君、こっちの言葉は分かるか?」

「凄いですね、魔法」

「顔を上げて、適当な言葉を言ってくれ」

「はい」




顔を上げる。




「ドウモー、ヒゲダー、モサモサシテルー、

 アッ、ワタシ、コトバ、ワカリマセーン」




棒読みである。




「えー、こちらの者は、『初めまして、これから宜しくお願いたします。

言葉はまだ解りませんが、おいおい勉強します。お髭が立派ですね』

と申しております」




『最強』さん、凄く良く訳したな。




「そうか、この髭の良さが分かるか、

 言葉が分からないのは大変だろうが、早く馴染んでくれ、

 魔王との戦いもある故な」



 

王様、髭が誉められて若干上機嫌だな。

別に自分は誉めてないが。



「そのことですが王様・・・」




『最強』さんが口をはさむ。




「この者は、魔王との戦いには、参加することはできません」

「何だと?」




一気に王様の顔が険しいものになる。




「この者は、私と同様、戦いと無縁の国に生まれた故、戦い方を知りません」

「だが、おぬしともう一人、カゲヤマは騎士隊長を倒すほど強かったではないか」

「それは、ひとえに私とカゲヤマが戦いなれていただけだからです」

「おぬしたちは特別、と言いたいのか?」

「はい、ですから、この者は戦いに加えないでほしいのです」




ナイス!『最強』さん!!

自分は戦いなんかまっぴらだ!!

人が死ぬのはもうたくさんだ。




「戦えない、戦わないでは、ないのだな」

「はい」

「ふん、いいだろう」

「ありがとうございます」

「代わりに、この城で働いてもらうがな」




え?今なんて?




「では、下がれ」

「失礼いたします」












豪奢な扉が閉まる。




「という事で頑張れ、カズ君」

「は?」

「仕事」

「死後と?」

「仕事」

「なに?」

「仕事」

「ええええええぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「何を驚いてる?仕事だ仕事」




そんな!?異世界まで来て仕事するなんて!!

やっとバイトから解放されたと思ったのに!!

あ、でも、帰ったら結局バイトしないといけないのか。

あーーーっ!!バイト無断欠勤だ!!

クビだ!!もう完全にクビになってる!!

結構寝てたからな~~~、あの感じだと最低三日か?




「そういえば、『最強』さん自分、いったいどれぐらい寝てたんです?」

「ああ、そうだな、一週間くらいか」

「くあぁぁぁぁぁ!!帰ったら、食費を切り詰めないといけないか・・・」

「家賃とかの心配をしてるのか?」

「そうです!!自分のアパートボロくて、家賃が安いっていっても、

 あそこら辺では、っていう但し書きが付くんです!!

 高校生のバイトの収入では、結構いっぱいいっぱいなんです」

「あぁ、その辺なら心配することないぞ」

「どうして?」

「こっちとあっちの時間の流れ方が違うからな」

「浦島太郎みたいに?」

「そうだな、ちょうど逆といったところか」

「というと?」

「こっちの一ヶ月が向こうの一週間ぐらいだ」

「どうやって調べたんですか?」

「行ったり来たりを繰り返して、ちょっと計算」

「結構気軽に行ったり来たりするんですね・・・

 そうだ、学校には?」

「ああ、もう連絡してある」

「学校はなんて?」

「『次元の穴はこちらでも確認した。異世界に通じていたのか。

たまにあることだから、頑張れ』」

 「たまにあるんだ・・・」

「『無事に帰ってきたら、ちゃんと単位はやるから、

時間は気にするな、あ、そっちで手に入れた珍しい物は

学校で買い取るから、冒険者なり勇者なり、

好きにやるといい』・・・だと」

「・・・はは」




流石、ウチの高校、異常だ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ