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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
『かわいい』あの子と『最強』と『最恐』
17/102

第17話『クラスメイツ(2)』



ウチの学校は異常がありすぎる。いや、ありすぎて困る。

特に、自分のクラスとか・・・。










教室のドアを開ける。

目の前を塞ぐ大きな体。




「お、おはよう、五里山君」

「ウホ、おはヨう、ニノシタ、コウガ、カゲヤマ」

「うむ、おはよう」

「おう」




顔を上げる。

そこには、黒い肌、出っ張った額、平たく穴の大きな鼻、突き出た唇、

太い眉、もみあげからおでこへ一つながりに繋がった眉。

そこにあるのは、ゴリラ顔、というか『ゴリラ』の顔そのものだ。

といいか、『ゴリラ』だ。

『ゴリラ』が制服着て、二足歩行して、話している。



「前から気になってたんだけど・・・五里山君ってさ、話すとき

 ウホ、って始めに言わないと話せないんですか?」

「話せるぞ、それにカタコトなのもわざとだし、そもそも・・・」

「やめろ五里山、それ以上やるとキャラが崩れる」

「ウホ、スマン、カゲヤマ」

「うむ、それでこそゴリ君だ」




そんなブレた会話は放っておいて、自分の席に向かう。

いや、『ゴリ君』はないだろ、そのまますぎる。

まぁいいか、人のあだ名なんか。









そこにはすでに先客がいた。

自分の席で気持ちよさそうに、枕まで使って寝ている。




「ほら、起きてください、猫さん」

「うにゃ?・・・あ~・・・お魚~」

「あなたはドラ猫くわえたお魚ですか」

「違うにゃ~そこは、お財布くわえたドラ猫だにゃ~」

「現実的ですね」

「世の中金だからにゃ~」

「猫に小判じゃないんですか?・・・おはようございます」

「おはようにゃ・・・きっとその猫は小判の価値を理解してるにゃ」

「そうですか、じゃあ、何で使わないんですか?・・・どいてください」

「はにゃ?私の席ここじゃなかったかにゃ?・・・きっと使い道が無かったのにゃ」

「それもありえますね・・・違いますよ、隣です」

「んにゃ、ほんとだにゃ、寝ぼけてたにゃ・・・きっとそうだにゃ」

「朝っぱらから寝ぼけないでください」

「朝っぱらだから寝ぼけるのにゃ、猫は夜行性だからにゃ」

「昨日はよく眠れましたか?」

「よく寝たにゃ~、十四時間くらい」

「しっかり、がっつり、寝てますね」

「猫は寝るのが仕事だにゃ」

「そうですか」

「ふわぁ~・・・まだ眠いにゃ、かず君先生が来たら教えて」




寝言から始まり、ボケツッコミへとつながり、話題の二重並行という荒業をなしつつ、

自分の席に座る。

・・・『かず君』がいつのまにか定着している。




『猫』さん。

あだ名の通り、猫のような人物。

常にネコ耳を装着しており、よく眠る。

さらに身体能力も猫並みである。

夜目が効き、高いところに容易に飛び乗り、音もなく走る。

魚好き、動くものに目が無い。









ここまでで良く分かるように、この学校、自分のクラスはおかしい。

はっきり言って異常だ。

『最強』と『最恐』から、『ゴリラ』と『猫』、グレイタイプの『宇宙人』、転生したものの生まれる世界が間違っている『スライム』、『ロボット』であることを必死に隠そうとする者にそれを作ったと公言する『博士』、「お化けなんていない!私はエネルギー生命体だよ!!」と言い張る『幽霊』、出席しているはずなのに姿が見えない『永久欠番』、どんなことがあっても無言を押し通す『完全言語』、そいつに話しかけることを生業とする『数の暴力』、使うのはもっぱら科学的な武器の『魔法少女』etc,,,,

・・・本当に異常だ。




教室を見回す。

隣の席には、気持ちよさそうに眠る『猫』。

楽しそうに話し合っている(?)、『完全言語』と『数の暴力』。

タイムマシンについて熱く語り合う『博士』と『ロボット』と『幽霊』と『魔法少女』。




「というか、出来たよ、タイムマシン」

「「!?」」

「今度乗せて!」

「ダメ」

「え~なんで~」

「乗ったら、タイムパラドックスやバタフライエフェクトとかで世界が変わって大変な事になる」

「う~・・・それなら仕方ないや・・・」




・・・な、なんだと!?

体を使った一発芸をする『スライム』と、それを見て笑う『ゴリラ』と『宇宙人』。




「かおるちゃん、じゃあまた、放課後待ってるからね」

「うん、またね・・・ってまたちゃん付け!ちゃん付けはやめて!」

「バイバーイ」

「行っちゃった・・・おはよう、みんな」

「うむ、おはよう、かーちゃん」

「うっす、さっちゃん」

「ウホ、おはヨう、サクチャン」

「かおるちゃーん、おはよー」

「・・・僕、泣いてもいいかな」




涙目だ、カオルちゃん、可愛い。

みんなの顔がほころんでいるのが分かる。




『美少女』、櫻井 薫。

この学校きっての美少女だ。

本人は、男だと言って、頑なに女であることを否定している。

家が工場で、たまに学校に来るとき、黒い油を顔に着けてくることもある。

当然、それを拭うというイベントが発生し、その『拭ってあげる』という立場をめぐり、

度々大乱闘が行われていたりする。




うん、いつもながら皆仲が良くて、異常で、楽しいクラスだ。





カオルはとんでもない学校に通っていました。

異常事態に見舞われているのに、割と冷静なのはそのせいです。

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