第12話『ゼイスさんの魔法講座~実践編:1~』
「ちょっと、外に出るかの」
一休みの後、僕たちは外に出ている。
外と言っても、家の目の前に広がる森ではなく、少し歩いた所にある原っぱに来ている。
後ろには森、向こうの方には森と山がある。
そして、綺麗な青い空が見える。
「すごーい!!広っ!!見渡す限り緑!!」
「はしゃぎすぎよ、カオルこんなのはこの辺じゃ普通よ」
「でも・・・」
そういいながら振り返る。
「こんな綺麗な景色みたことないもん!」
「・・・」
「・・・」
黙りこくる、ゼイスさんとフェリシア。
「どうしたんですか?」
「絵になるのう」
「ええ、ゼイスさん、でも服がねぇ」
「白のワンピースとかどうじゃ?」
「ソレいいわねゼイスさん!カオル!着替えに戻るわよ!」
「戻りません!!」
「まさか・・・ここで着替えるの?でもここには・・・」
「フェリシアよ、ワンピースならここにあるぞ」
「ナイス!!ゼイスさん!!」
「用意されてる!!」
「さあ、カオル」
「着替えません!!」
「あ、ちゃんと見ないようにするから・・・」
「心配するなカオル、ちゃんと着替え用の衝立とか持って来とるわい」
「用意周到!?って、そういうことじゃなーーーい!」
「じゃあどういうことなのよカオル!!」
「どうもなにもワンピースなんか着ないってこと!!」
「なんで!?ワンピースじゃなかったらいいの?」
「それも違う!!まず、僕、男だからね!!」
「また、そんな小さいことを・・・はぁ」
「呆れられた!?」
その後、十分程度僕の説明や説得が続いた。
「それで?なんで、外に出たんですか?」
「なに、家にずっと籠って話しててもつまらんじゃろうて、
外に出て、魔法の実践も含めて説明しようと思ってのう」
「おお!じゃあ、火がボーーーーッ!!とか、
光が、ピカーーーーッ!!とか、
瞬間移動とかが実際に見れるんですか?」
「そうじゃ、ただ瞬間移動は無理じゃ」
「何でですか?」
「めんどくさいからじゃ」
「そんな理由で!?」
「<詠唱魔法>だったら、ものすごい魔力を使うし、
<魔法陣魔法>でも書くのがとても面倒なんじゃ」
「そうですか・・・」
「まあ、今度教えてやるわい」
「やった!!」
「じゃあまず見ていなさい・・・<灯火>」
ゼイスさんが唱えると、小さな炎がゼイスさんの手の上に現れた。
「おお!!」
「これが、<詠唱魔法>の基本じゃ、
ちょっとやってみなさい」
「はい!!・・・え~と?起こすことを想像して・・・
魔力と一緒に・・・ってゼイスさん!!」
「なんじゃ?」
「魔力ってなに?」
「おお!!そうじゃった、この世界の者は、
小さいころから魔法や魔力に慣れ親しんでおるが・・・
カオルはそんなことが無かったんじゃのう・・・
どれ、手を出してみなさい」
言われた通りに手を出す、ゼイスさんがその手を握り、
「今から、魔力を流すからの」
「はい」
暫くすると、手からピリピリとしたものが流れてきた。
ソレが、体の真ん中の方に流れていく。
(ピリピリして・・・ちょっと痛い・・・)
(・・・でも・・・温かい・・・)
「これが・・・魔力・・・?」
「分かったかの?」
「はい・・・たぶん」
「では・・・ソレを意識してもう一度してみなさい」
「はい!!」
もう一度挑戦する。
(イメージするのはライターの炎・・・)
(ソレを・・・魔力と一緒に・・・)
「<灯火>」
すると、小さな炎が手の上に現れる。
「出来た・・・おぉ・・・」
(なんだろう・・・本当に・・・)
(・・・異世界に来ちゃったのか・・・)
ちょっと、感傷的になっていると、
フェリシアがちょっと興奮しながら
「すごいじゃない!!カオル!!一日で魔法を使えるようになるなんて!!」
と言ってきた。
「え?なんで?この世界の人は、魔法とか魔力に慣れ親しんでるんじゃないの?」
「慣れ親しんでても、すぐに使えるようになるんじゃないの、
よく考えてみて?<詠唱魔法>の使い方を」
「えーと・・・起こすことを想像して魔力と一緒に、
日本語・・・いや、古代語を・・・あ!!」
「そういうことよ、あなたが普通に考え、理解し、使っている、
古代語・・・ニホンゴ?をここの人は知らないの、
カオルが、ここの言葉を知らないのと同じでね」
「・・・じゃあ、もし・・・僕がうっかり日本語で話したりしたら・・・」
「即、捕まる」
「もし捕まったら?」
「監禁される、研究される、愛でられる、のどれかね」
「めっ、愛でられるっ!?・・・この国の法はソレらを認めてるの?」
「法は認めていないけど、抜け道なんていくらでもあるし、
もしかしたら、国に捕まるかもしれないし」
(監禁、研究って宇宙人みたいなことされるのかな・・・)
(それに・・・愛でられるって・・・)
「うぅ~~~・・・どうしよう・・・そんなの・・・イヤだ~~~」
暫く、僕の未来に起こりうるかもしれない事態について悩んでいたら、
「・・・ふふっ、冗談よ」
「・・・本当に?」
「本当よ」
「はぁ~~~よかった~~~解剖されたらどうしようかと思ったよ」
「解剖されたら死んでるんじゃないの?」
「そうかもね・・・でも魔法があるなら・・・」
「・・・まぁ、出来ないこともないわね」
「でしょ?」
「まぁ、そういうのもないから安心しなさい、
でも、今のは冗談でもの凄く大げさに言ったけど、
カオルがニホンゴで話すことはとても重大なことだということよ」
「うん、分かった、だったらちゃんと勉強しないとね、
うっかり、ここの人が知らない言葉でも使ったら、
面倒なことになるだろうしね」
ここでの生活は、なかなか大変そうだ。