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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
What is this?
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挿話『ヒフミ流スキル活用術(裏)』


自分の出番終わったからってはっちゃけてるヒフミ君の図。

ここで出たスキルは今後多分使いません。何のために作ったのか・・・

しかも、今までで一番文字数が多いという・・・




自分のギルドカードを見てて思ったことがある。今まで自分はレベルが足りなかったのか、と。なんでこうも突然にそういうのかと言うと、今まで散々説明することなく意識的に無意識に使ってきた自分の『仮面』、ギルドカード風に言うとユニークスキル【仮面】らしいが、それを使ってたくさんの人の顔を借りて、いや仮て生きてきた。だがその能力を発揮出来るのは本人の数分の一程度にとどまっていた。ギルドカードによると、自分のレベルは32だそうだ。そして、自分が顔を仮てきた人たちの殆どは恐らく自分よりもレベルがはるかに高い・・・筈だ。『最強』さんなんてきっと99レベル位あるだろう。いや、もっとあるか。まぁそれはそれとして、要は『装備レベルが足りません』と、そういうことなのだろう。レベルが足りないがゆえに、能力の一部しか真似できなかったのだ。


「そういえばジョン君ってどんなスキル持ってんの?」

「スキル?どうしたの急に」

「さっき、ギルドカードを新しく作って自分のスキルを見て気になったんだよね」

「ふ~ん、スキルか・・・僕は『剣術』と『盾術』と『体術』と『光魔法』を持ってるよ」

「あ、ジョン君<魔法>使えるんだ」

「まぁね、といっても明かりを出すぐらいだけど。・・・そういうヒフミはどうなの?」

「僕はまぁ、『猟理』と『掃除』ぐらいかな」

「『料理』か、確かにヒフミの作った料理美味しかったもんね」

「でさ、結局スキルって何なんだろうね」

「そりゃあ、その人の持ってる技能とか技術とか能力のことでしょ」

「そうなんだろうけど、僕が言いたいのはそこじゃないんだよ」

「うん?」

「どこからがスキルで、どこまでがスキルじゃないんだろう?って事」

「それは・・・そういえば考えたことなかったな」

「例えば、『剣術』はどういうスキル?どうやって覚えて、どうやって使って、どういう効果がある?」

「覚えたのは多分、お父さんから習って、いつ覚えたのかは分からない。どうやって使ってるかは・・・それも分からない、なんとなく・・・かな。効果は・・・ないんじゃないかな?」

「意識して使ってるってわけじゃないんだ、ってことはさぁ意識して使った場合ってどうなるんだろうね?」

「意識して・・・ちょっとやってみる」


下っ端騎士のジョン君にスキルについての話題をふっかけて、ただいま実験中だ。ちなみに『猟理』は誤字ではない。これもまたスキルだ。

ジョン君は腰に凪いでいる剣をスラリと抜き放つ。長も太さも中途半端な妙な剣だ。ジョン君の騎士内での評判はそこそこいい、ジョン君がいい奴なのは当然として、ジョン君の剣の腕についての評判は結構なものだ。ある人に聞けば気持ち悪いだとか、またある人に聞けばえげつないだとか、概ねそんな感じだ。

ジョン君が素振りするのを黙って見ているのだが、確かに気持ち悪い。なんていうかこう、ヌルっとしているのだ。別にジョン君のフォームがおかしい訳でもない。だったら何故そうも気持ち悪いのか?その理由は、あるはずの音がないからだ。今まで音が出たのは、さっき剣を抜いた時のみ、その時点から既に素振りは始められている。だというのに音が全くしない、さらに言うならジョン君は上下甲冑という完全武装をしている。鎧がガチャガチャという音を出すこともない。テレビ画面をミュートで見ているような、『現実』ではありえない、そんな動きをしている。

キンという高い音を立ててジョン君が剣をしまう。


「なんていうか・・・気持ち悪かった。あんだけ音が出ないんだったら暗殺者とか向いてるんじゃない?」

「はは、よく言われるよ。全くなる気はないけど」

「それで、どうだった?」

「うん、いつもよりいい感じがした・・・って言ってもわからないか、なんて言ったらいいのかな」

「いんや、いい感じって分かっただけでも十分だよ」

「何かわかったのか?」

「うん、ちょっとね」


恐らく、『いい感じ』というのはスキルによる補正だと思われる。補正と言うとシステム的な、非現実的な感じがして嫌な感じだが、要はしっかりと意識して剣を振るか振らないかぐらいの小さな、しかし大きな差がそうである。と、自分は思っている。なんとなく、だが。そこから考えられるのは、スキルはもっと漠然としたものである可能性だ。いや、実際は逆だが。自分の持っているスキルが漠然としたものであるからこそその考えに至ったのだ。『50%の真実(ハーフリアリティ)』は、説明すると「真実を半分にするスキル」ということになるのだが、ここで疑問が生じる。何を持って半分にするのか、そもそも真実とは何なのかといった疑問だ。この疑問こそがこのスキルの謎な部分であり、真骨頂でもある。例えば怪我をしたとしよう。刺し傷だ。それをこのスキルを使って治そうとした場合、二つの方法が取れる。まず、傷そのものを半分にする。次に、傷の治る期間の長さを半分にする。まぁ、実際はその二つを同時に、しかも重ね掛けすることですぐに傷を治すことが出来る。傷の深さを半分の半分の半分の半分に、治る期間の長さを半分に、つまり治る早さを二倍のスピードにすることが出来る。そう、数を割っていったら限りなく0に近づくように、傷を限りなく0にすることが出来る。それがこのスキルだ。まぁ、これだけ言うとあまりにもチート過ぎるスキルだが欠点もある。まず、触れている物や自分の体にしか作用しないこと。次に、現在進行形で起こっているものか、もう過ぎたことにしか作用しないこと。最後に、あくまで自分の任意で発動させるスキルのため作用するものを認識しなければならず、発動の際どうしてもタイムラグが生じてしまうこと。特に三つ目が最大の欠点だ。自分の体に触れている物にしか作用しない、しかも自分が認識しているモノにしか作用できないので、見えない攻撃や不意打ちに極端に弱い。この前暗殺者が来ると聞いたときはかなり焦った。まぁ、『最強』さん<防刃>の魔法を掛けてくれていたので事なきを得たが。全く、『最強』さん様々だ。

それは置いておいて、『スキル』を使うと意識した時に『いい感じ』、つまりは補正がかかる。ということは、認識さえすれば今は覚えていない『スキル』でも使えるようになるかもしれないということだ。幸い自分には『仮面』があるので、そこからいくらか持ってこれるだろう。









結論から言うと、実験は成功した。ただ、使えなかったが。正確には、使えるには使えるがそれ程のものでもない程度、だ。要はレベル1程度。やはり、『スキル』に応じた経験や体が必要なようだ。でもまぁ、無いよりはマシか。増し増しだ。おいおい鍛えていくということでいいだろう。

よし、ならば次だ。自分の技術がこの世界の『スキル』にも通用するのか。技術というと、さも立派に聞こえるが、実際は自分の持つ裏技が通用するかどうかの実験だ。『裏技』というのは『仮面』の事ではなく(まぁ、それもない訳ではないのだが)、本当の意味での『裏技』だ。自分の持っている『50%の真実(ハーフリアリティ)』だが、元は『被ダメージを半分にする』程度の力しか持ち合わせていなかった。しかし、今ではそれ以上の力を引き出すことに成功している。半分どころか、条件さえ揃えば二倍にだってできる。で、何故それが出来るようになったのか。さっきも出した疑問点、それを挙げることで『スキル』の名前と効果の内に齟齬が生じ、自分が介入出来るようになった、みたいな感じだ。うん、まぁかなりあやふやだ。いいかげんだ。まぁとにかく、それのおかげで『被ダメージを半分にする』が『□□□□を半分にする』になり効果が拡張された。『裏技』というより『改造』、あぁこれが俗に言う『チート』か。

まぁ何だ、これと同じようなことを他の『スキル』にも試してみようと思う。






結果として、『スキル』の殆どを『改造チート』することが出来た。中でも効果が目覚しかったのは『剣術』や『槍術』などの武器を使った武術系の『スキル』だ。というか、ほとんど繋がった。どういう事かと言うと、例えば剣というものは棒状の刃がついた武器であるので、『棒術』も使える。しかも、西洋の剣というものは実際に使うにあたっては斬るよりも鈍器として使うことのほうが多いので、『槌術』や『棍術』も入る。更に、日本語で刀に関わるもののことを『木剣』や『真剣』と表記する事から、『刀術』の要素も入る。そして『槍』、槍は主に柄と槍頭と呼ばれる刃の部分から出来ている、それは剣も同じなので『槍術』も使える。かなりこじつけ臭い(実際はこじつけ過ぎて焦げ付いてるんじゃないかというほど臭うぐらいだったりする)が、『裏技』とはそんな物だ。(もっと放り込もうとすれば出来たかもしれないがさすがに自重した。『拳術』も放り込めたはず、読みが同じだし。)なんにせよ剣一本さえあれば、今挙げた全てのスキルを使える。更に更に、剣だって大層なものを用意しなくとも良い、せめて包丁程度のものがあれば『スキル』は使える(所謂『ヒノキの棒』でも可能だ)。あくまでも、使えるだけなので戦いにはほぼ使えないが。やはり戦うとなったらしっかりとした剣が必要だ。まぁ、自分はそうそう戦う場面に出ることはないので使うことも少ないだろう。そうだ、この事は『最強』さんや『最恐』くんに教えてあげることにしよう。そうしよう。

副産物として面白いものも出来た。『カウンター』、元は武術系スキル郡に必ず含まれているといってもいい様なごく普通のスキルだったが、機能が『改造チート』され、『カウンター(数える者)』に変化した。文字通り数を数えるのが楽になった。具体的に言うと、今まで多くて5ずつ数えていたのが10ずつ数えられるようになった、しかも正確に。これが地味に便利だ。正確に、というのが結構なミソで時間や長さ、重さすら正確に数えることが出来るようになった。体内時計が正確になり脈や心拍数を取るのが楽になった。目測だけで正確な大きさが分かる。持っただけで重さが分かる。これだけでもかなり『チート』じみているが、これが基本性能、あくまでデータを取る事が出来るだけ。それを応用するのが人の役目であり自分の仕事だ。パッと考えつくのが、人間嘘発見器、地図の作成、人間コピー、軍の偵察、人口調査、レシピ本作成ぐらいという自分の発想力の無さに落胆する。もっとあるはずだ。誰か教えて欲しい。あ、いないか。

まぁ、そんな感じで他には、『現実逃避』が『現実闘避』と若干好戦的に、『闘争本能』が『闘走本能』と若干逃げ腰に、『虚言癖』が『巨言壁』とよく日本人がぶつかっている壁に、『草食系』が『総喰系』に、『拒食症』が『虚飾症』に、『演芸』が『炎芸』に、『方程式』が『砲帝式』に、とまぁ上げればキリがない。(調子に乗りすぎた。正直使えない『スキル』の方が多い。)

なにはともあれ、これでようやく自分の装備が整った訳だ。多分使うことはないだろうがな!!

さて、いっちょ姫様を全力でからかうことにしよう。







ヒフミの使った『裏技』・・・スキルを改造、改良、改竄、改心、改革、改悪、改作、改稿、改修、改称、改新、改正、改組、改装、改測、改替、改題、改築、改訂、改定、改廃、改版、改変、改編、改名、改訳、改悛する技術。『スキル』を新しく作ることはできない。あくまでも『改める』技術、よって元となる『スキル』が必要。あまりにも元の『スキル』から離れすぎると機能しなくなる等の条件がある。ヒフミにしては珍しく『仮面』に頼らない技術。


『スキル(改)』

あくまでも元の『スキル』のバージョンアップなりバージョンダウン版でしかないので、実際は表記が変わることはない。要は気持ちの持ちようの話。


『現実闘避』・・・嫌な現実が目の前に立ち塞がった時に攻撃力が上がるスキル。

『闘走本能』・・・逃走の際、突破力が上がるスキル。

『巨言壁』・・・巨大な言葉の壁を生み出すスキル。掛けられた相手は言葉が通じなくなる。

『総喰系』・・・なんでも食べられるスキル。毒も金属もへっちゃら!!でも、歯とか顎が強くなったわけじゃないから、噛み切れないものは食べらんないよ!!

『虚飾症』・・・飾り立てないでいられなくなるスキル。むしろ病気。

『炎芸』・・・炎を操るスキル。どちらかというと、パフォーマンスに近い。

『砲帝式』・・・砲撃系スキル。『砲帝式壱之解』から『砲帝式拾之解』まである。

『病魔大参』・・・免疫力を低下させ、病気にかかりやすくするスキル。

『悪霊隊参』・・・悪霊が大量に寄ってくるスキル。別名、悪霊ホイホイ。

まじないの藁人形』・・・自分が受けたダメージを藁人形に肩代わりさせるスキル。

『心身操換』・・・心的ダメージと身体的ダメージを入れ換えるスキル。

『野球剣』・・・三分の一確率で相手をヒットするスキル。

『必中(Hit☆You)』・・・英語っぽくヒットューと読む。二重に意味を重ねることで、効果が増幅した精密射撃スキル。

『挨殺』・・・様々な挨拶で敵を倒すスキル。奥義は土下座。

『線材一遇』・・・線材ワイヤーやコードを盾にする防御スキル。

『錠剤戦場』・・・極小の兵隊たちが延々と戦い続けている戦場が詰まったカプセルを作るスキル。

『一頭両断』、『一党両断』、『一棟両断』、『一島両断』・・・斬れる規模が馬鹿みたいにデカくなっていったスキル。正確には個人、組織、建物、地形を真っ二つに斬れるスキル。

『意気統合』・・・乱れた心を一つにする精神干渉系スキル。

『改心の一撃』・・・殴った相手を改心させるスキル。

『改天下一』・・・究極の改造スキル、のダウングレード版。

『完全超悪』・・・もはや意味の分からないスキル。

『寒天動地』・・・地面が寒天の様にプルプルになるスキル。

『乾布抹殺』・・・乾いた布を使う殺法を扱うスキル。別名、タオルヌンチャク。

『凶器乱舞』・・・ゲーム好きには説明する必要のないようなスキル。何か凶器を持って(両手に持つのが好ましい)乱舞するスキル。

『盗視』・・・読んで字のごとく盗み視るスキル。相手の視界を盗み見ることができる。別名、シージャック。

『命死交換』・・・命と死、死と命を交換するスキル。1対1でしか成立しないスキルなので、使いどころは限られる。

『解接』・・・バラして接なげるスキル。

『暗中網柵』・・・暗闇の中に網や柵を張り巡らせるスキル。


田中「よくもまぁこんなに『スキル』を覚えたもんで、ていうか何?無双でもすんの?」

ヒフミ「いやいや、そんなつもりはないよ。念のためだよ念のため。でもまぁ、こんな『スキル』持ってても使えないのが現実だよ。現実じゃ『使えない』よ」

田中「そうか?てか、なんか含みのある言い方だな」

ヒフミ「まぁとにかく『剣術』の件・・・あ、ダジャレじゃないよ?」

田中「それを言うのが寒・・・いや分かってる。皆に伝えといたらいいんだろ?っつっても伝わるかねぇこんなモノ」

ヒフミ「皆なら分かるさ・・・絶対に。もしかしたら、『最強』さんや『最恐』くんはもう気付いてるかもしれないね」

田中「流石にそれは・・・ないとも言い切れないのが、アイツ等か」

ヒフミ「でしょ?(・・・ホント、嫌だよねぇ。それをいつか倒さないといけないっていうんだから、救いようがないよ)」

田中「ん?何か言ったか?」

ヒフミ「いんや。何も」




データ

ジョン・スターク

六番騎士隊所属の平騎士。26歳独身。『幻惑』の二つ名を持つ、一流に近い二流騎士。隊長、副長クラスは全員が二つ名を持っている。なので、かなりの実力を持っていることになる。が、平。

二つ名の『幻惑』その由来は、<魔法>を使い多数の分身を出し相手を惑わすことから。本来、幻惑の<魔法>は相手の精神に干渉することで作用する。しかし、それなりに経験を積んだ者たちは精神に干渉してくる<魔法>に耐性を持っていることが多いのでほとんど効かない。しかし、ジョンの場合は<光魔法>を使い光を捻じ曲げる事で分身を見せる。だがその場合分身は像だけなので音が出ることがなくすぐにバレてしまう。そこを気持ち悪いとまで言われる無音の技術で自らの音を消し分身に紛れ込む事でカバーする。変態的な技術の持ち主。でも、平。

そこまでの技術を持っていながら二流止まりなのは、上が化け物じみているから。せっかく『幻惑』したとしても、目をつぶったまま倒されるのだから仕方のない話。だって、剣の風圧でバレるんだよ!?「気配が・・・」で、防がれるんだぜ!?無理じゃんそんなの!!とよく同僚に愚痴っている。だけど、平。

何度も言うが、平。



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