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閑話──執着(仮題名)

トールの一番最初の友人はある時こう言った


 

 「お前、魔王でも目指せば?」


 「はい?」


 トールはこの言葉にとても驚いた。というよりも意味がわからなかった。


 何故自分が魔王にならなければならないのか……。


 一体どういう意味でそんなことを言ったのか……トールは目の前の人物にその理由を尋ねた。


 すると、目の前の人物は飄々とした口調で自分の考えを話し始めた。


 「つまりだな。『こいつらだけは守りたい!』って奴らを最初に決めておいて、次にそいつらを守れるすごい剣を作ればいいんじゃないかって俺は思うわけだ。……まぁ、守るって決めた奴以外は殆どが敵になるがな」


 「あー、なるほど」

 

 言われた内容の意味をトールはここでやっと理解した。


 「彼」はトールに将来の夢に対する助言をしている。


 「どこまでを守り、どこまでは守らないという線引きをすればいいのでは?」と言っているのだ。


 助言をするにしては多少ふざけた態度だが、これが「彼」なりの助言だった。


 しかし、折角「彼」がくれた助言もトールは否定的だ。


 「でも悪いけど、魔王になるつもりはないんで」


 「ふーん」


 トールの言葉を聞いた「彼」は「まぁ、どうだっていいか」というような様子でトールの言葉を流した。


 「…………」


 そのまま「彼」は何事もなかったかのように、今自分とトールがいる自分の書斎で本を読み始めた。


 「…………」


 「彼」のそんな姿は見慣れていたので、トールはそのまましばらく「彼」と一緒になって本を読み始めた。



 ──しかし。


 「……なぁ、トール」

 

 本を読んでいたトールは突然「彼」に話しかけられた。


 「ん?」


 いつもと少し違った声の質にトールは疑問を持ちながら本から顔を上げた。


 「──え?」


 ──顔を上げて先にいつもの飄々とした「彼」はいなかった。


 そこにいたのは今まで見たことがない「彼」の姿だった。

 

 ……とても、とても悲しそうな目で、トールを見ていた。


 同情と哀れみ。


 わかったのはその二つの感情だけだ。


 トールは何故「彼」がそんな目で自分のことを見ているのかわからなかった。


 だが、そんな戸惑うトールに「彼」は言った。



 「……頼むから、『自分』を守りきれよ」


 

 この言葉の意味を「夢をかなえる為には自分の身を大事にしろ」という意味だと考えたトールは言葉に頷き、「わかった」と応えた。


 ……まだこの時のトールは言葉の意味を表面でしか理解していなかった。


 




 人が辛い目、苦しい目にあった時。


 絶対に必要なものがある。


 他人の助けも時としてはとても重要だ。


 だがそれと同じか、もしくはそれ以上に必要な物がある。



 人生全てを使い、作り上げた「自分」という存在。


 その自分に対する強烈な「執着」。


 人が苦難に遭った時、これが必要となる。



 なぜなら苦難に遭えば、「自分」という存在は何度も傷ついていく。


 ボロボロになって動かなくなる。


 それを直すことが出来るのは「自分」を大事と思っている「自分」だけだ。


 「自分」に対する執着がなければ「自分」を直すことはない。


 「自分」が大切でなければ「自分」を慰めることはない。


 だから「自分」を苦難に耐えさせ生かすためには「自分」に対する執着心が必要となるのだ。


 

 

 ──「彼」こと、竜人族の王の一人である風龍ミストラルはトールに「自分」に執着と言うものをもってもらいたかった。


 「……あぁ、頑張れよ」

ドワーフは神話とかだと神様の道具とか作っているので、その関係でトールの養父であるドワーフもすごいのと知り合い。トールとは年の離れた親戚の兄ちゃんみたいな感じです。


後半のアレは活動報告のほうでもう少し説明でもします。



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