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材料入手候補

「竜人族」について少し説明をする。


「竜人族」は『エルフ』と同じように長命であり長い歴史を持っている。そして、人間が扱えない複雑な魔術や失われた技


術を持っている。


さらに、「竜人族」の体の一部は魔術や錬金術の材料に利用できるため、「竜人族」は人に狙われやすい。


なので、「竜人族」は人間が立ち入らない山の秘境や森の奥地に住むことが多い。


他の種族の争いごとなどには干渉はしない。


しかし、向こうからやってくる場合は違う。


「竜人族」には『龍』と呼ばれる特別な竜人が存在し、「竜人族」の里一つにつき一人だけ存在する。


そして、その里の『龍』が死ぬことは里の滅びに繋がるため、里は『龍』を全力で守る。


『龍』を守るためならどれだけ血を流そうが構わない。


例え、自らがどれほど傷ついても『龍』を守ろうとする。



これが「竜人族」という種族の考えだ。



そして、このような考えを持った種族だからこそ、自分達の体の一部を材料として使うあの魔剣を生み出したのだろう。



「魔術を消す魔剣」



俺は、この剣から『守るためには手段など選ばない』という考えをひしひしと感じた。











※※※



「この剣を作るのに一番重要なのは材料」


俺はキキョウさんから魔剣の詳しい製法を聞き出した後、本を調べてそう結論した。


特に問題なのが、「血液」だ。


竜人族のキキョウさんは魔剣の制作に協力をしてくれるのそうなので、多少の血液は確保したが、やはり量が絶対的に足りない。


普通の人間が血をどれだけ抜いて大丈夫なのかを調べた結果、女性が一度で安全に血を抜いて大丈夫な量は牛乳瓶二本分ほどで、これ以上抜くと危険があるそうだ。


しかも、血を抜いた後は十数週も日を置かなければならず、キキョウさんが教えてくれた「樽いっぱい」の血の量は確保できない。



ならば他から確保しなければいけないのだが、その入手候補があまりよろしくない。



─キキョウさんは学院にやって来るとき、翼竜と呼ばれる下級の竜族に乗ってここ来たそうだ。


そして、その翼竜はキキョウさん達の里に帰るどころか、いつでもキキョウさんの呼び出しに答えられるように近くの森に巣を作って住んでいるそうだ。


この翼竜からならばかなりの血と材料に必要な分の鱗が手に入るのだが、問題があった。


猫や犬を飼っていて病気などをしたときに専門の医者に行った者ならばわかるだろうが、動物に注射などを打つとほぼ間違いなく「暴れる」。


猫などの愛玩動物ですら毛を逆立てて唸るのだ、もしそれが鋭い牙と爪を生やした翼竜ならばどうなるか?


俺は食われそうで怖い。


だが、このことをキキョウさんに話したら「昔、あれだけ翼竜と遊んだのにまだ怖いんですか?」と不思議がられた。


「………。」


俺はあの時ほど「ふざけんなっ!」と叫びたいと思ったことはなかったと思う。


あれは俺が翼竜と遊んでいたのではない。みんなが俺で遊んでいたのだ。


キキョウさんは何か思い違いをしているようだったが、話が先に進まないのでそこは適当に飛ばして、材料の確保に付いて話合った。



その結果、血や鱗の確保はキキョウさんが里のみんなに手紙を書いて、都合がつくかどうかを確認してくれるとのこと。



もしかするとこれで材料の確保はすべて完了するかもしれないが、念の為、俺はもう少し材料の根回しをすることにした。


確かこの学院は「地竜」と呼ばれる小型の竜を研究がされていたはずである。


俺はそのことを思い出して、まずサリアに会いに行った。








※※※




「なぁ、サリア」


「ん? あぁ、トールか。どうかしたか?」


「突然だけど、サリアって上に姉さんがいるだろ? 結構美人な」


「どこでそんなことを聞いた? あまり人には話していないはずだが?」


「あー、それは話すと色々とめんどくさそうだから後で話す」


「?」


「とりあえず、サリアの姉さんにこう言ってくれ『竜の血が欲しいので、都合してくれると、とても助かります』」


「はぁ?」


「よろしく頼んだ。じゃっ!」


「あっ、おい! トール!」



言うだけのことを言って、早々に目の前から消えたトールをサリアは唖然と見送りながら、サリアは何故トールが姉のことを知っているのか不思議に思った。



誤字と脱字の報告と感想を待っています。


一応補足しておきますが、お姫様の傍にいた側近の騎士がサリアの姉です。


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