証明書
今回もかなり短いです。申し訳ないです。
─学院、生徒会室。
「では、ここに責任者としてあなたの名前のサインを」
「はい」
「では次に生徒手帳を出してください。研究室の室員の証明として判子を押します」
「どうぞ」
「失礼します。──はい、これで手続きは終了です」
「どうもです」
俺は学院の生徒会室で、ある手続きをしていた。
手続きの内容は、「研究室」の受け渡しについてだ。
学院長室に行ってからだいぶ時間がたったが、今日ようやく俺に研究室が与えられた。
今、その手続きがすべて終わり、俺の手帳にそれを証明する判子が押された。
「これが証明書代わりになるのか…」
俺は自分の生徒手帳を見て、少し感傷的になった。
これから作ろうと考えている聖剣や魔剣の製作。
この手帳はそのための道具として、とても重要な役割を持つ。
手帳は俺が研究室の人間であることを証明するだけでなく、図書館にある一般生徒が貸し出し不可の本を閲覧可能とする。
この手帳があれば、今までよりも詳しく聖剣や魔剣の情報を知ることが出来るだろう。
「………。」
研究室の受け渡しの手続きが終わると、まっすぐに図書館に向かった。
早速もらった研究員の「特権」を図書館で使うためだ。
──まず、目的の剣が剣がどんな形をしていて何が出来るものなのかを徹底的に調べる。
次に、その作られた地方はどのような金属が産出されていたのかを調べあげ、目的の剣の特徴と照らし合わせて材料に何を使っていたのかを調べ上げる。
そして、調べた剣の材料と伝承に残る話から、その剣の製法について考える。
最後に、自分の知識と調べ上げた情報から剣の実態を知る。
俺は早くこれらのことを調べたくて堪らない。
なぜなら、これから作ろうと考えている「剣」は実に興味深いものだからだ。
─俺が作ろうと思っているのは、図書館で読んだあの絵本に載っていた「魔術を無効化する剣」だ。
魔術師が放つ魔術を「軽減」する鎧や盾はいくつか心当たりがあるが、「無効化」は聞いたことがない。
どれだけ強い呪符やまじないの紋様を貼り付け刻もうが、魔術の無効化は出来ない。
これは例えドワーフの技術でも不可能だ。
だとすれば、一体どのような技術で出来ているのか?
エルフの秘術で剣に神秘の施しをしているのか?
それとも古代の人間たちの失われた技術なのか?
自分の知らない技術で作られた剣。
鍛冶をする者にとって、これほど興味を刺激されるものはない。
(…やばいなぁ。すごく楽しい)
俺はまるで子供のように、胸をわくわくさせながら図書館に向かった。
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