図書館にて
今回から新しい話を始めます。
最初の話なんで、すごく短くてすみません。
次はもう少し長めに書きます。
トールは研究室がもらえるまでの間、学院の図書館に入り浸っていた。
彼が図書館に入り浸る理由は、これから本格的に何を作るか考えるためだった。
図書館で過去の研究成果を調べたり、図書館にあった貴重な本を読むなどして、トールは色々と考えた。
自分の理想の剣を作るための参考になる物、竜人族であるキキョウと協力して作れる物。他の研究室に難癖をつけられないような物。
トールは考え、そして悩んだ。
何日も図書館に通い、本との睨めっこする日々が続いた。
「ん?」
だが、そんな日々が続いたある日、トールは間違って棚の蔵書から子供向けの絵本を引っ張ってきてしまった。
(ふーん?)
戻そうとも考えたが、トールは何故か興味が引かれてパラパラと本を捲ってしまった。
内容は実にありふれた冒険活劇だった。
悪い魔法使いに捕まったお姫様を助ける騎士の話。
話の最後は魔法使いを倒してお姫様を助けてのハッピーエンド。
この手の本にはよくある展開。
だが、トールはその本を読んで少し難しい顔をしていた。
その理由は、話の中に出てきた騎士が持っていた剣が原因だ。
本の中に登場する騎士の剣は魔法使いの魔法を斬って無効化していた。
「………。」
トールはこの剣にとても興味が惹かれ、何度も読み直して剣についての詳細を調べた。
しかし所詮は絵本。詳しい事は殆どわからずトールは本を閉じた。
そして、本を閉じた後、一直線に本棚へと向かった。
昔の神話から、伝説と呼ばれる勇者の物語、目に付いた様々な昔話や絵本。
トールはこのような本をかき集め、虱潰しに調べた。
そして何冊もの本を調べた後、トールは「聖剣」や「魔剣」と呼ばれる武器を作ろうと考えた。
伝説の勇者などが持っていた聖剣や魔剣、これらの武器は過去に多くの人を守ってきた。
過去にあった「人を守る剣」
それが自分の思想の剣と重なるのかまだわからないが、これらの研究をすることは自分の理想の剣のヒントになる可能性がある。
トールは本格的にこれら剣を研究、製作することを自分の研究室の「成果」とすることを決めた。