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牢屋

少し暗いです。

目覚めたとき、俺は全く知らない部屋にいた。


いや、部屋というと少し語弊がある。


その部屋の壁や床はすべて硬い石で出来ており、ドアの替わりには鉄格子が嵌めてあった。


…誰が見ようとそこは立派な牢屋だった。


そして驚く事に、俺の両手にはゴツイ鉄枷が嵌められていた。



「…なんでこんな事になってんだ?」


俺はあまりの事にただ呆然とする。


だが、そんな俺を無視して状況は目まぐるしく変化していった。








突然やってきた看守に牢屋から出されたかと思ったら、今度は狭い個室で二人の一般兵に尋問をされた。


尋問が始まると、驚く事に俺は誘拐犯だと勘違いされていた。


その理由が俺が一緒にいた少女に関係する。


実は俺が「ちびっこ」と呼んでいたあの少女は、この国でもかなり上の身分の貴族だったのだ。


だが、その少女が朝から突然の行方不明。


慌てて街中を捜索すると、少女と一緒にいる不審者をとある騎士が発見。すぐさま追跡し一緒にカフェに入る所を目撃。


不審者が少女をかどわかしていると思った騎士はすぐさま応援を呼び、カフェの周りを包囲をしようとする。


だが、それよりも早く別の騎士がカフェに少女を探しに入ってしまう。


最悪な事に不審者を刺激しまい店内があわただしくなるが、その間にカフェの周りの包囲が完成。


そして、不審者が運よく店内を出た瞬間、魔術で不審者を気絶させた。


以上が俺を尋問している兵から聞いた情報だった。



そして、それを聞いた俺は


「ふざけんなっ!!何で迷子の貴族の子供の面倒見てただけで誘拐犯に間違われるんだよっ!!」


あまりにも酷い濡れ衣に若干キレていた。










「だが、お前はその少女を泣かした挙句に、やってきた騎士に暴行を加えたそうじゃないか」


「だからそれはっ、その子がいきなり泣き出して!」


「…お前が脅したんじゃないのか?それで少女は怖がって泣」


「違うって言ってんだろっ!」


「「……………。」」


「はぁっ、はぁっ、」


俺は何度も続いている問答に疲れて肩で息をする。


さっきから目の前の二人に同じ事を何度も質問されて、それを俺が否定するのを何度も繰り返している。


俺はこのなれない状況と叫び続けて疲れたせいで、どんどん体力を消耗していった。


だが、そんな俺のことを無視して目の前の二人はまた同じ事を聞いてくる。


「…彼女に近づいたのは目的があったからじゃないのか?」


「違う。ただパレードを見ようとしてたのを手伝っただけだ。」


「騎士の剣をへし折ったのは?」


「…あいつが、子供の前で剣を抜いたからだ。」


何度も続いたこの受け答え。


…俺はもう考えるのを止めて、ただ感情のままに答えることにした。


だからだろうか、二人の兵が俺の様子が変わった事に気がついて、しつこくその事を質問してきたのは







「それはあまりにも攻撃的過ぎないか?」


「あぁ?」


俺は兵の一人の質問にかなり乱暴な言葉で答えた。


すでに俺の堪忍袋は我慢の限界で、今すぐ暴れだしたいのをわずかな理性で押さえている状況だ。


だが、そんな事を知らない目の前の兵は俺の神経を逆撫でする。




「『たかが剣』を目の前で抜いたからと言って、そこまで過剰に反応するのは攻撃的過ぎると言ったんだ。」


「………。」


兵はそう言って、俺をまるで諭すかのように上からの目線で話し続ける。




「それでは、まるでやましい事が」




…俺が我慢できたのはそこまでだった。



「…黙れよ。」



目の前の兵の言葉を遮って、俺は静かにそう言った。



「…頼むから、…もう黙ってくれ。」



怒りで我を忘れそうになりながら、目を閉じて、祈るようにそうつぶやいた。


だが、そんな俺の願いは届かない。


目の前の兵は俺がなにやら観念したと思ったようで、さらにしつこく尋問を続けた


「どういう意味だ?なにか聞かれたくないわけでもあるのか?」


「………」


「おい!なんとか言ったらどうなんだ!?」


「………。」


「おいっ!!」


俺が完全に喋らなくなると、先ほどまで俺を尋問していた兵とは別の兵が若干キレ始めた。



俺はそれをすごく冷めた目で見ながら、ゆっくりと喋り始めた。



「……剣って言う物は人を傷つける物だ。」


「おっ、やっと喋る気になったか?」


「…でも剣は守る事も出来る物だと俺は信じてる。」


「??。何を言ってるんだ?」


「剣の使い方は使う人間の心次第だ。剣をただの人斬りの道具にするか、剣を『人を守る』道具にするのかは、剣の持ち主の心次第。」


「…だから何を」


「俺は剣を『人を守る』為に使う奴に剣を作りたい。いや、それだけじゃない。俺が作った剣を見た奴が『ソレ』を見て何かを守りたいと思うような、そんな剣を俺は作りたい。」


「っいい加減にしろっ!!さっきから訳のわからんことをベラベラと」


「…だからむやみに剣を抜く奴や、守んなきゃいけない弱い子供を剣で怯えさせる奴が俺は大嫌いなんだ。」


そこまで喋った後、俺は二人の兵を虫けらを見るような目で見てからこう言った。



「そしてなにより、剣をただの道具だと思ってる奴が俺は反吐が出そうなほど大嫌いだ。」


「「っ!!」」



今度は俺が二人の兵を見下す。



「貴様ぁっ!!!」



ガッ!



すると片方の兵がキレて俺に掴みかかってきた。


そして、兵がいまにも俺を殴ろうとした瞬間、



「おやめなさい!!」



部屋に少女の声が響いた。



…なんだか明るい話より暗い話のほうが書いてて楽しいです。


それにしても主人公よくキレるなぁ。


えーっと、あとなんだか研究室ゲットの話が大分遅れてますが、どうかその辺許してくれるとありがたいです。


最後に誤字脱字の報告と感想をお待ちしてます。


特に感想を読むのが作者は怖いと同時にすごく大好きなので、書いてくれると嬉しいです。



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