成長
ドワーフのおじちゃんに俺のことを鍛冶師にしてくれ、と頼んでからの最初の数年は俺は何かに憑かれたかのように槌を振ってきた。
まるで悲しみをすべて叩きつけるように槌で金属の塊を叩いてきた。
ドワーフのおじちゃんはそんな俺に厳しく、時には優しく、ドワーフの鍛錬の技術のすべてを教えてくれた。
――人間ではありえない鍛冶の腕。
それが俺が12歳のときに作った護符入りのペンダントをおじちゃんに贈った時のおじちゃんの台詞だった。
おじちゃんの誕生日に贈ったそのペンダントには、俺ができる限りの技術で持ち主を怪我や病気から守るまじないを刻んだ。
それを見たおじちゃんは、次の日から俺にドワーフの技術の真髄を教え込んだ。
それから五年間、俺はひたすら鍛冶の腕を磨いてきた。
すべては『人を守る剣』を作るために。
時は流れ現在――
「トール、お前に客がきておるぞ~!!」
しわがれた声が熱気に包まれた工房に響き渡る。
「ん~? 町の娘の誰かがまたペンダントでも作ってくれと頼んできたのか?」
やれやれといってどこか年寄り臭い掛け声で立ち上がったのは細身だが服の上からでもわかるがっちりとした体格の青年だった。
灰でくすんだ様な金髪と赤茶色の瞳のやさしげな顔立ちをした青年。
彼の名はトール=グラノア。
それが、ドワーフから技術の全てを学んだ人間の鍛冶師の名前であった。
ちょい書きたいところまで書きます。
EGGのほうを待っている人ごめんなさい。
感想と評価待っています。