表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/87

特性


カーン カーン カーン カーン


 何度も規則正しくハンマーで金属を叩く音が部屋に響いている。


 ハンマーを持つのはくすんだ金髪に赤茶色の瞳が特徴の青年。


 青年の正体は花祭りの出し物の製作の為に「工房」にやってきたトールだった。


 馬術部の部長に協力してもらい詳細な馬のサイズを測ったトールは一直線にこの「工房」にやってきた。


 普段ならばこの「工房」と呼ばれる施設は研究室に所属する生徒が実験の為や研究の為に使う施設だが、来月に控える花祭りの影響で研究室に所属しない生徒もこの施設が使えるようになっている。


 トールはその工房の一角でハンマーを片手に金属の塊を叩いていた。



 だが突然トールはハンマーを叩く手を止めた。


――そして、次の瞬間。


その金属の塊を、素手で掴んだ。


 鍛冶では高温で熱した金属の塊を使う。だから、そんなものに触ってしまえば火傷どころではすまないはずだ。


 だが、トールは熱がる様子もなく金属の塊を両手で掴んでいる。


 何故トールが熱がる様子を見せないのか?


 その理由は実に簡単だった。


 初めからトールはその金属を熱してはいない。


 代わりににトールは「ある事」を掴んだ金属に行っていた。



 それはミスリルという金属の特性が関係する。


 まず、ミスリルは人の魔力の流れをスムーズにする事が出来るほかに人の魔力に同調もするが、それは違う捉え方をすればそれだけミスリルが魔力に「敏感」だということだ。


 そのミスリルがもしも長い時間ずっと強い魔力を流し込まれた場合一体どうなってしまうのか?


 答えは簡単だ。


 壊れる。


 過度の魔力を流し込まれたミスリルは徐々に形が歪んで行き、最後には砕けて砂となる。


 こうなってしまってはもうミスリルの本来の機能は失われてただの砂粒と変わらなくなる。


 これはミスリルのあまり知られていない特性だ。


 そして、この特性を鍛冶に応用して見せた種族がいた。




ドワーフだ。



 彼らは程よく加減して魔力をミスリルに注ぎ込み、加工しやすい「硬さ」にしてから鍛冶の材料として使った。


 これはドワーフが人間とは違い魔力量が豊富な事と、卓越した鍛冶の技術があって初めて出来る芸当だ。


 人間でも魔力の量が多い者はいるが、ドワーフのように卓越した鍛冶の技術を持つ者はいない。


 逆に鍛冶の技術が一流でも、長時間魔力を注ぎ込めるだけの魔力量をもった人間はまずいないだろう。



 だが、ここに例外が一人いた。


「はぁはぁはぁ…」



 母親は魔術師だったため、その魔力量「だけ」を受け継いだ。


 魔力はあるが魔術の使えない魔術師。


 それがトールだ。



 そして魔術の使えない魔術師は今、ミスリルに魔力を注いでいる。


 額や首筋からは滝のように汗をかき、顔からは血の気が失せて今にも倒れそうになりながらも、



「…はぁはぁ、はぁはぁ」



 手からはミスリルの塊を離さずに


 ひたすらに魔力をミスリルに注ぎこんでいる。



「っ!」


そして、何十分もミスリルに魔力を注ぎこんだ後は、ハンマーを片手に持ちミスリルを理想の形へと変えていく。



 気を失わぬようにトールは歯を食いしばる。


 時には唇を噛み、血を流しながらも、


ハンマーを打つ手を、


魔力を注ぐその手を、


トールは止めない。


只ひたすらに、



懸命に、



叩き続ける。




誤字と脱字の報告と感想をお待ちしています。



今回の話は補足が必要だと思うので後で「登場人物紹介」のほうに追加して書く予定です。


他にも書いたほうがわかりやすいと思う事がありましたら感想に書いてくれると助かります。


最後に感想をくれたみなさん本当にありがとうございます。


おかげでやる気が出て予定よりも早く投稿出来ました。


今後もよろしくお願いします。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ