製作
前回は短くてすみません。
今回は前回よりも長めに書いたんでこれで許してもらえるとうれしいです。
まず、木の棒に針金をぐるぐると巻きつける。
次にその巻きつけた針金を一つ一つ切っていく、すると輪が出来る。
これで下準備完了。
後はひたすら出来た輪を組み合わせて編みこんでいく。
これが鎖帷子の作り方だ。
カチャッカチャッ
「………………………。」
教室の一角でトールが何か作業をしていた。
トールの机の上には小さな金属の輪が大量にある。
金属の輪には切れ込みが入っており、それをトールは指で広げては輪と輪をつなげていく。
単純な作業だが「雑さ」や「荒さ」はなく、実に丁寧に一つ一つの輪をつなげる。
それを見ていたクラスメイトは彼の指先の滑らかさとその繊細さに目を奪われた。
だが、作業をしている本人はそんな周りの目など関係なく、ひたすら作業を続ける。
キンコーンカーンコーン
ピタッ
トールの作業が止まったのは朝のHRの開始の鐘が鳴った時だ。
その時には、手元の輪と輪を繋げたものはかなりの長さになっており、人の頭ぐらいなら包めるほどの物になっていた。
「…この調子なら一週間もかからずに完成しそうだ」
それを見てトールは何かを考えるようにして呟いた。
だが、呟いた次の瞬間
「トールそれ何だ?」「ずいぶんと熱心に作業してたけど…」「素材は銀か?…でも」「あぁ、銀より光沢があるな」「ちょっと触らせて」「あっ私も私も」
周りで作業を遠巻きに見ていたクラスメイトがトールの手が止まったのを見計らって一斉によって来た。
「うおっ」
いきなり声をかけて来たクラスメイト達にちょっとビビッたトールだったが、彼らが自分の持っている物に興味があることがわかると気を取り直して持っている物について説明を始める。
「あぁ、これか?これは鎖帷子だ。」
「「鎖帷子?」」
「そう、まだ作ってる途中だけどな。」
そう言ってトールはまだ製作途中の鎖帷子を一人の男子生徒に手渡した。
「ん?」
受け取った男子生徒は手渡された鎖帷子にちょっとした違和感をもった。
重さを感じなかったのだ。
金属の塊を持った時のあのずっしりとした感触はなく、まるで羽毛の様だった。
思わず鎖帷子を形作っている金属の輪を指で弾けば金属独特の「キン」という音が聞こえる。
これで張りぼての可能性は消えた。つまりこの羽毛のような軽さの鎖帷子は間違いなく本物の金属で出来ており、そんな金属はこの世に一つしかない。
「…嘘だろ」
そこまで考えて男子生徒は顔が引きつった。
その様子を少し離れたところから見ている三人組がいた。
「あー、かわいそうにあいつ固まったぞ」
「アレが何で出来ているか気がついたのか」
「もしかして製造関係の学科の人なのかな?」
ディース、サリア、二アはそれぞれ固まってしまった男子生徒を気の毒そうに見ていった。
「俺も最初は目を疑ったぜ、鎖帷子の素材にミスリルを使うなんてな。どんだけ高性能な物ができるんだってーの」
「羽毛の様な軽さで鋼より頑丈な金属で出来た鎖帷子か、値段をつけるとしたらとんでもない額になるだろうな」
おそらく手間や素材費を考えれば軽く100万以上はするだろう
「そんでそれをお前はタダでもらうわけか」
「ん?」
「あれってお前の祭り用の衣装だろ?」
「いやあれは私の物ではない」
「は?」
「アレは馬用の衣装だ」
放課後
学院の馬小屋にて
「おお、こいつが今回貸してもらう馬ですか。」
トールは目の前の馬を見ていった。
目の前の馬は学院の馬術部が飼っている馬の1頭で今回祭りに参加するトール達の為に貸してもらうことになった。
馬は長い鬣と尾が美しい白馬だった。
よく手入れがされており毛並みも実に艶やかだ。
「いい馬だろう?ちょっと神経質だが大人しくて扱いやすいぞ」
馬術部の部長が自慢げにそう言った。
「いやホントにありがとうございます。こんなにいい馬を貸してくれて」
そんな気前よく馬を貸してくれる部長に感謝するトール。
「いいって、いいって気にするな。それよりもすることがあるんだろ?」
「あっ、そうでした。じゃ、ちょっと手伝ってもらっていいですか?この馬の体の詳細なサイズが知りたいんで」
「お安い御用だ。」
二人はしばらく馬の胴の周りや首周りのサイズを詳しく測った。
「こんな感じで良かったのか?」
「えぇ十分です。」
「そうか。また必要な事があれば何でも言えよ?俺もお前の作る作品には興味があるからな」
「はい!その時はまたよろしくお願いします。」
「おう!頑張れよ。」
「はい!」
トールはそう言って部長に別れの挨拶をした後、馬のサイズを測った紙を持って学院の端にある建物に向かった。
現在鎖帷子はスポーツタオルほどの長さ、目標はバスタオルぐらいの長さです。
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