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成果

 俺の質問を聞いたディースはしばらくポカンとした後、呆れた顔で「あのなぁ」と言ってから説明を始めた。


 説明の内容は「なぜ学生が研究室を持てないのか?」だ。


「まず学院を造ったこの国の王家は、学院に資金援助をする代わりに何らかの「成果」を要求してる。まぁ「成果」ってのは育った「人材」や「発明」だな。」


「ここまでは理解できるな?」という顔でディースが俺を見てきたので俺は頷く。


 ここら辺の学院と王家との関係は、故郷から学院に来るまでの道中でダランさんから色々聞いていたのよく知っている。


 あの人は軍人の癖に酒を飲むと酔ってべらべらとよく喋るのだ。


 例えば学院を造った理由が、昔は教会の人間が国の重要な役職に就きすぎていて政治がしにくかったので、学院を造って教会の人間にも負けない優秀な人材を育てて、国の重役に就かせる為だったとか。


 他にも過去の王家の話だとか他国の話を耳に胼胝ができるほど聞かされた。


「問題がないようだから続きを話すぞ。」


 そんなことを思い出しているとディースが続きを話し始めようなので真面目に聞く。


「次に王家からは毎年かなりの額の金が学院に援助されている。学院はそれを止めて欲しくないから、「成果」を出すために、優秀な人材を集めて「研究室」で研究させる。そうすれば何らかの発明ができるだろうし、人材も育つ。ちなみに言っておくと学院は「成果」を出せる見込みのない「研究室」は躊躇なく潰すぞ。…厳しいかもしれないが、それだけ学院も真剣なんだ。…だからトール」


 ディースがそこで話を説明を一旦止めて、真剣な顔で俺を見ながら。


「学院がただの学生に「研究室」をくれるわけがない。ましてや資金なんて寄こすわけがない。…だから諦めろ。」


と、俺に諦めるよう諭した。


 だが、俺は諦めるつもりはない。


 だから俺は。


「絶対に嫌だ。」


と、答えてやった。



放課後の食堂にて──



 放課後、俺は三人を食堂に連れて行って、考えたアイディアを聞いてもらった。


 学生が研究室を持てない理由は学生には「成果」を出せる見込みが全くないと学院が思っているからだ。


 ならば、「成果」を出してそれを認めさせれば、これからも研究して欲しいと研究室をくれるのではないか?



「実は金が欲しい学院と、教会と仲の悪い王家が欲しがる研究「成果」の当てがある。それは道具や資料が殆ど必要ない。まぁ材料に関しては希少なんだけど、俺に当てがある。」


「「………。」」


 俺の台詞に目の前にいるディース、サリア、二アの三人は呆然とした。



「一体その「成果」とは何だ?。」


 最初にそう言ったのはサリアだった。


「この学院には国中から集められた専門家がいるんだ。その彼らを出し抜いて学院に認められる研究「成果」とはなんだ?」


 彼女は真剣な顔で俺に聞く。


 他の二人もジッと真剣な目で俺を見ている。


 俺は真剣な顔をしている三人に「成果」について教える。


「ミスリルって金属は知ってるだろ?」


「あの高価な、聖なる金属とか言われてるミスリルか?」


「そうそれ」


「加工するにはかなり高い技術が必要で、ドワーフじゃないとまともな物ができないって言われているアレか?」


「そうそう、そのミスリルの強度を上げる方法と軽量化が「成果」だ。」


「「は?」」


 三人は俺が言った言葉に驚いて顔を見合わせていた。だが俺はそれを無視して続ける。



「つまり、ミスリルの加工技術の向上が俺の考える研究「成果」だ。」



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