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勝敗

「えー、長らくお待たせしました。準備のほうが整いましたので剣の製作者の方はこちらに来てください。」


 その言葉に俺とクードが生徒会の人の所に、剣を持って歩いていく。


 周りには、多くのギャラリーが勝負の行方を見ようと集まっている。


 俺とクードが剣をもって生徒会の人の前まで行くと、生徒会の人が魔術で声を拡大してギャラリーにも聞こえるよう話し始める。


「これより決闘の勝敗を決めるために両者の剣で試し切りを行いたいと思います!」


 生徒会の人がギャラリーに向かってそう宣言すると、ギャラリーからは歓声が上がる。


「それでは製作者は試し切りをする剣士をギャラリーの中から選んでください。」


 俺は生徒会の人間の言葉に驚いた。


 何しろ試し切りも自分がやるものだと思っていたのだ。


 だが、驚いていたのは俺だけでクードはあっさりギャラリーの中から巨漢の男子学生を選ぶ。


 それを見てクードはこうなることがわかっていてギャラリーの中にサクラを紛れ込ませていたのだと理解した。


 おそらく生徒会の中にクードの息のかかった人間がいるのだろう。


 俺は剣を握る指が白くなるほど剣を握り締めた。


 この上さらに勝負まで汚された。


 そのことが、俺をさらに怒らせる。


「おい!トール!」


 俺が激怒しているとギャラリーの中から、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。


 声のほうを向くと、ディースと二アとサリアの三人が何かをいいたそうな顔でこちらを見ていた。


 俺はそんな三人のところに剣を持って歩いていくと、突然サリアが俺の肩を掴んだ。


「トール。それがお前の作った剣か?」


 サリアの目は布で包んだままの俺の剣を見つめる。


 俺はサリアの言葉に頷いて剣に巻いた布を取る。


 布を取るとそこにあったのは、ぱっと見れば普通のロングソードだ。


 だが、目を凝らしてみれば普通のロングソードにはないものがそこにはあった。


「模様」だ。


 剣の刀身に、模様が浮かんでいるのだ。


 まるで切り株に浮かぶ「木目」の様な模様が、剣の刀身にはっきりと浮かんでいる。


「…美しい剣だな。」


 俺の作った剣を見て、サリアは感動したように呟いた。


 だが、次の瞬間サリアは表情を引き締きしめてこう言った。


「私にお前の剣を使わせてくれ。」


 正直言えば、俺は迷った。サリアがどれほどの剣士なのか知らなかったし、彼女がこの剣の「特性」を扱いきれるかわからなかったからだ。


 だが、俺は彼女の瞳に宿る強い感情をみた時には、剣をサリアに渡して彼女に向かって頭を下げていた。


「頼んだ。」


 俺の言葉に彼女は真剣な顔で「任せろ」と頷く。


 試し切りの為に俺は彼女にこの剣の説明をしていくと、説明を聞いていたサリアは徐々に呆然としていった。


 そして、彼女は俺にこう尋ねた。


「…一体この剣は何なのだ?私はこのような剣は聞いたことがない。」


 俺はその疑問に、剣に浮かんだ模様を見ながら答える


「錆びることがなく、鉄を斬っても刃こぼれを起こさない、独特のしなりを持った剣。名前は」


 養父から教わった鍛冶技術で作った、剣の名前を。


「ダマスカス刀」


そして、試し切りは始まる。



「では、両者が選んだ剣士はこちらに来てください。」


生徒会の人間がそういって、サリアと巨漢の男を呼ぶ。


「両者の剣士にはこちらで用意した木材や石材を切っていただきます。」


 今度は台車によって木材や石材が運ばれてくるが俺はそれを見て、もしかしたら細工がしてあるのではないかと疑う。


 だが、それは杞憂で終わる。


 サリアが突然クードの剣を持つ巨漢の男に向かって、突然「剣を構えろ。」と言った。


 巨漢の男はわけがわからなかったが、一応剣を両手に握り構えた。


 サリアはそれを見て頷くと


 全身のバネを使って、俺の剣で相手の剣に斬りつけた。


 観客も巨漢の男も呆然として、その様子を見ていた。


ガランッ


 巨漢の男の手から剣が落ちた。


 だが、巨漢の手は剣の柄をしっかりと持っている。


 先ほどの音はサリアが刀身を「斬り落とした」音だ。



「これで勝負は決まったな?」


 唖然とする生徒会の人間に、斬りおとした相手の剣を指差して聞くサリア。


 生徒会の人間はコクコクと何度も頷いた後、大声で叫んだ。


「勝者は見事相手の剣を斬りおとした剣を作ったトール=グラノアに決まりましたっ!!」


 生徒会の人間の声に、観客の声が爆発した。


短くてすみません。頑張ったけどここが限界のようです。続きはまた明日


ちなみにダマスカスでできたナイフは普通に錆びるそうです。


作中に出てきたのは「伝説の」ダマスカス刀の話です。



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