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誇り

「そもそも決闘っていうのは学院側が作った制度で、生徒達があまりに問題を起こしすぎるって言うんで作ったんだ。「そんなに暴れたいのなら暴れる場所を作ってやる。ただしルールには従え」って感じでな」


「ずいぶんと荒っぽいな。ところでそのルールって何だ?」


「さっきも話したが、決闘者同士が戦う勝負の方法だ。これは生徒会の人間が決める。決闘者同士は生徒会の決めた勝負方法に従って勝負をする。勝負方法は両者に公平なように生徒会の人間がそいつらのプロフィールなんかを見て決める。」


「今回は相手も俺も鍛冶に覚えがある者同士だから「鍛えた剣の出来で決める」なんて事になったわけか。」


「そういう事。」


「決闘を拒否するとか出来ないのか?」


「出来るが、ただし学院に在籍中は「決闘から逃げた臆病者」と言われ続けるぞ。」


「…それは男として嫌だな。」


「まぁ明日頑張って勝て。」


 俺は学院寮の自室で学校の帰り道の途中で、ディースに決闘について聞いたことを思い出す。


 そして、わかったことは決闘からは逃げられないという事だった。


 俺は憂鬱な気分のまま、決闘当日を迎えることになった。




決闘当日


 俺は、昨日鍛冶の授業を受けようとした建物の中にいる。そして建物の前には授業が一限にもかかわらず決闘を見ようとするギャラリーが大勢いた。


 さらに、俺の隣には昨日見た金髪の男がこちらを敵意満載で睨んでいる。


 朝のHRが終わると、黒服の生徒がいきなり教室に入ってきて、そして俺は黒服の生徒にここまで連れてこられてしまった。


 俺がげんなりしていると、黒い制服を着た生徒会の人間が喉に指に当てて何かぼそぼそ呟く。


 おそらくギャラリーにも聞こえるように魔術で声を大きくしているのだろう。


 そして、何度か咳払いをしてから生徒会の人間が喋り始める。



『え~、これより二学年一般学部トール=グラノアと四学年一般学部武具鍛冶学科所属クード=フォセスの決闘を始めます。両者にはこちらで用意した材料を使い剣を作ってもらいます。勝負は両名がつくった剣の出来によって決まります。』


 そういって布をかぶせた箱を指差す。


 そこに剣を作るために必要な材料や道具が一式が用意されているようだ。


『それでは両者質問はありますか?』


「ない。」


「ありません。」


 生徒会の人の質問に、俺とクードという上級生が同時に答える。



『わかりました。それでは両者鍛冶を開始してください。』



 そして、決闘は開始された。




「おい。貴様」


「……。」


 開始の合図がされてから、俺とクードは生徒会の人間が持ってきた箱から素材を選んでいた。


 俺が色々と素材を手にとって見ていると、隣から声をかけられた。


「…なんですか先輩?」


「貴様は私に勝てると思っているのか?」


「…どういう意味ですか?」


 言葉の意味がわからなくて彼に聞き返す。


 クードは俺のことを見下したようにしてフンと鼻を鳴らして自慢げに喋り始める。


「決まっている! どこの誰ともわからない馬の骨が、王都でも有数の高級武具店の跡取り息子である俺に鍛冶の技術で勝てるわけがない!」


「そうですか。」


 俺は彼の話を聞き流しながら、次の素材を見ていく。


 そして、彼はさらに大きな声で俺に向かって喋り続ける。


「そもそもだ。ほんの少しだけ鍛冶の腕に覚えがある程度でちやほやされていい気になっている貴様に私が負けるはずがないのだ!だいたい─」



「………。」


 俺は彼の言葉にだんだんと腹が立ってきたが、まだ我慢できる程度だった。


 彼がその後に、続けて言った言葉を聞かなければ、「まだ」我慢できた。


 彼の次に言った言葉を聞いた瞬間。


 トールは、自分の体の血が沸騰するのを感じた。


「田舎で学んだ鍛冶の技術など、お前の髪と瞳のように錆びてくすんでいて役に立つはずがない!」


 死んだ両親からもらった、髪と瞳。


 俺を育ててくれた養父に学んだ鍛冶の技術。


 それら全てを侮辱された。


「………。」


 俺は素材を手に持ったまま、怒りで体が動かなくなった。


 それを見ていたギャラリーは、様子が少しおかしいことに気がつき始めるが、喋り続けるクードは気がつかない。


 だから、クードはさらに俺に向かって暴言を吐く。


「どうせ鍛冶などろくでもない親方に教わったのだろう? 酒びたりの──」



「口を閉じろ。クソ野郎」


 クードの暴言は俺が言った一言によって、それ以上続けられることはなかった。


「なっ!」


 クードは先ほどまで殆ど無反応だった俺が喋ったことと、その口から出た言葉に驚く。



「き、貴様!私を誰だと─」


「うるさい」


「お前はさっき俺の鍛冶の技術を虚仮にしたな?」


 俺はクードの言葉を再び遮る。クードがそんな俺のことを睨むが、俺の雰囲気が先ほどと違うことにそこで初めて気がつく。


「だったら見せてやる。」


 ――そこにいたのは、どこか気の弱そうな男子学生などではなく、


「お前が虚仮にした。俺が学んだ鍛冶の技術を。」


 一人の職人だった。


 俺は呆然とするクードをおいて、建物の中に入る。




 まず、炉に火を入れる。


 炉の燃料は燃石だ。


 これは燃焼時の発熱量が高いので、鍛冶にはなくてはならない。


 燃炭石が十分に熱を持ったら、次に材料である「鉄」と「鋼」を炉に入れる。


 そして、真っ赤になったら二つを取り出す。


 取り出した金属二つに、ホウ砂や鉄粉などを混ぜた鍛接剤を振りかける。


 鍛接剤が熱で溶けたら、ハンマーで二つを叩く。


 鍛接剤が接着剤のような役割を果たしてくれるので、これで鉄と鋼は接合した。


 普通の剣を鍛造で作るのだったら。材料は一つで十分だ。


 だが、俺の作る剣は「普通」ではない。



 接合して倍近くの長さになった金属の塊を、ハンマーで薄く延ばすため叩いていく。


 金属を伸ばしたら、今度は伸ばした金属を折り返す。


 そして、また伸ばしては折り返す。


 これを何度も何度も繰り返して、最後には剣の形にしていく。


 すでに額からは汗が滝のように噴出している。


 腕は鉛のように重い。


 しかし、休むわけにはいかない。


 ここで休んだら剣は、なまくらになる。


 そして、何より


 俺は俺の「誇り」を侮辱された。


 勇敢な両親からもらった「髪」と「瞳」


 命の恩人である養父から学んだ「技術」


 俺は、彼らの名誉を守らなければならない。


 「守る剣」を作るために学院に来た俺は


 今、学院で「誇り」を守る剣を作っている。



ガツンッ


ハンマーを持つ手に力が入り目の前で火花が飛ぶ。








 剣の鍛錬が終わり、先ほどまでの金属の塊は今では殆ど剣の形をしている。


 後はヤスリ等で剣を荒く形成して、次に仕上げとして砥石などで形を徐々に綺麗にしていくだけだ。


 幸い、ここには魔力で動く研ぎ機がある。


 手で行うよりも数倍早く研ぐことの出来る優れものなので、トールはそれを使って剣を研ぐ。


 仕上げの作業をトールは、一人でもくもくと続ける。


 仕上げ作業が終わると、トールの手には一本の剣が出来上がった。


 トールは最後に何かの液体を刀身に振り掛けた後布でふき取り、今度は水に浸してもう一度布で水気をふき取る。



 そして、目を細めて刀身に映る「模様」を見つめる。


「…完成だ。」


 その「模様」を見つめた後トールは出来上がった剣を手にとって建物の外に出る。






 外はすで夕方で周りを見ると、すでに鍛冶の終わっていたクードと生徒会の人間が椅子に座って俺のことを待っていた。


 俺の姿を見た生徒会の人間は、こちらにやってきて「完成しましたか?」と聞いてきたので俺は布を巻いた剣で指で差す。


「わかりました。ではこれよりどちらの剣が優秀なのか試し切りなどを行ない勝敗を決めます。剣の製造者はそのままでお待ちください。」


「わかった。」


 俺は地面の上にじかに座って用意が出来るのを待つ。



やばい疲れた。


剣の性能は明日で。


でも励ましの言葉があれば頑張って深夜に書き上げるかもしれない。


あと感想を読んで剣って一日で出来ないと始めて知った。


殆ど漫画で見た知識しかないのがここで浮き彫りになりました。


今後気をつけるので許してください。

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