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悪役令嬢全力でやってみます

作者: 夜麗出ユウ
掲載日:2026/01/30

気軽に楽しんでいただければ幸いです

“悪役令嬢”



一度は聞いたことがあると思う。



では、悪役令嬢になる定義は何か?



ヒロインへの嫌味?

嫉妬?

ビッチ?



確かに、それがなければ悪役令嬢とは言えないかもしれない。




私は悪役令嬢の定義についてこう思う。






ヒロインと良い雰囲気な高貴な男性を横取りしようとして

失敗した、より物語を面白くするための令嬢だと…………(諸説あり)



_____________________


どこにでもいる普通の社会人の私。

…いや、“だった私”の方が今は正しい。


仕事に行って、終電よりも少し先に帰り、ご飯を食べ、好きなドラマやアニメを見て、

明日に備えて寝る。



よくいる普通の、まぁ仮にモブAとしとこう。


そんなモブAの私、












何故か悪役令嬢になりました。



________________________

普段通りの一日を過ごして寝たモブAの私は即座に悪役令嬢になったと理解した。


何故なら、今いる場所は寝ていたはずのベッドではなく、

高級な金の装飾のある縁取りされた鏡の前で、

そこに写っている私は、

少し深みのある赤で統一されたドレス、扇子。

少し吊り目で無表情でも冷徹さを出しながらも気の強そうな顔。

極め付けに今のポーズは爪を噛んでいる。


と言った悪役令嬢特盛パックとなっていたからだ。

(正直自分なんでこんな姿なんだろうと結構引いた)


どうせ今まで

「なんでわたくしはこんなに美しいのに、あの麗しのお方は時代遅れの小娘を選んだのかしら!?」

とでも思っていたんだろう。




さて、どうしたものか





演じてみようか?





ヒロインの友人になろうか?









ひとまず私は悪役令嬢を無事遂行させてみようと思った。



私はよくアニメやドラマを見ていた。


その中でも一番好きだったキャラは悪役令嬢と呼ばれるような役ばかりだった。

理由は単純。

一目惚れだ。


理由とは言えないかもしれないけど、そう感じた。

具体的にはよくわからない。



だから、現実であろうと夢であろうと私は悪役令嬢になりたい。






それから私は自分が描いていたのであろう日記からヒロインとその相手の男について調べた。



この世界のヒロイン、仮にお姫様Bとしておく。

(お姫様ではない)

彼女の生まれた家系は下級貴族。

流行りが少し遅く、鏡の前で古臭いと適当には言ったがあながち間違いではなかった。


そしてその相手。仮に王子様Cとしよう。

彼は正真正銘の王子だった。しかも第二王子。

空の酒樽に手紙を入れあって秘密で文通をしているらしい。




当たり前だ。同じ貴族とは言え、位がだいぶ違う。

堂々と文通しようものなら他の王族や使用人が破り捨てるだろう。

だが、日記を見る限りそれを城に密告し酒樽に近づけさせないようにしたとある。

おそらく、違う方法で今は文通、または会っているのだろう。




そして自分について。モブAならぬ令嬢Aとしよう。

上級貴族でかなり悪名高いと言われているらしい。

これは使用人の愚痴をこっそり聞いて知ったことだ。

日記にはふざけたことしか書いてない。

「私の家は彼女の家と違って位も高く、王家に嫁ぐ可能性が一番あり優しく賢い一族!もちろんわたくしも含めて!」

よほど自信に溢れていたのだと見受けられる。だがそこが良い。


普段から自信に溢れ堂々としている。

謙遜が多いこの国では見ることがあまりない人種なので一つの理由はそこに惚れたのかもしれない。


“コンコン”


改めてそんなことを考えているとドアが叩かれた。


「お嬢様、セレナです。入っても宜しいでしょうか?」


「ええ、入りなさい」


セレナは今の私の生活担当をしているメイドだ。


「どうかしたのかしら?」


「はい、旦那様から伝言を預かりまして」


「お父様?」


父は今のこの家の現当主。イケおじDとしておこう。


さっきから名前が出てこないのはこの世界の人たちの名前を覚えられないからだ。何故かは分からない。


「はい、“明日の舞踏会の準備はできたのか”と」


「ああ…そういえばそんなものあったわね。忘れてたわ」


「………???」


「…何かしら、物珍しそうな顔で。言いたいことがあるなら言えば良いじゃない」


「………いえ、第二王子様もご出席されるとはりきっていらっしゃったので、忘れるのだな…と」


「…少し事情があったのよ。わかったわ。やっておく」


嘘ですそんなものありません。というか舞踏会のこと知りませんでした。でも入って来た途端口調直したのはお手柄だったと思う。


「……そうですか、では、旦那様にはそのように。失礼します」









「舞踏会……………ね」














悪役令嬢、やっていきますか

______

今回の舞踏会は思っていた以上にビッグイベントだった。

上級貴族から下級貴族まで、この国のほとんどの貴族が集まるものだった。

つまりはお姫様Bもいるってこと。

かなり悪役令嬢するには良さそう。





そして、ちょうど良いところにお姫様Bと王子様C。


なんていう都合の良さ。やってやろうじゃない。

そして当たって砕けて引き立ててあげよう。




「ごきげんよう、麗しの王子。本日は舞踏会にお誘いいただき、勝手ではありますが、一族を代表して御礼を申し上げます」



よしよし、ここまでは完璧なはず。

そしてここで王子を一目見てヒロインを邪魔くさそうに………って










何故だか、王子は私の手を握っていた。

ヒロインは目を見開いていた


「……あなたが!!僕の運命の人だ!!」










どうやら私、何故だか悪役令嬢失敗したらしいです。






「………えっ?」

気がつくと私はいつものベッドにいた。

なるほど。夢だったということか、それならば名前を覚えられなかったのも納得がいく。



「…………にしても、何故王子様Cは私の手を…」

本当に疑問だった。何故、私が運命の人だったのだろうか。




「って、あ!!遅刻する!!!!!!」

_____________________

私は、悪役令嬢にはなれなかった。

でも、それで良いと思った。ただのモブAとして生きていた方が私の性に合う。

悪役令嬢というジャンルの「お約束」を少しだけずらしてみたお話でした。


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