クトゥルフ神話TRPGシナリオ「1000年先でも君を待つ」
本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』シリーズの二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」「新クトゥルフ神話TRPG」
【推奨技能】目星、図書館、聞き耳、戦闘技能
【準推奨技能】天文学、日本刀、交渉技能
【推奨人数】KPとPLのタイマン(2人)
【プレイ時間】約6時間
【舞台】日本、田舎、現代
【ストーリーの流れ】
このシナリオはPL2人かKPとのタイマンで行う。PL2は一度このシナリオをプレイした者が好ましい。ストーリーは1日をループするというもの。ループの制限はないが、条件を満たせば終了する。1日で世界は終わりを迎え、ひたすらそれを繰り返すだけ。探索者は世界が終わる原因を探り、脱出することが目的だ。
【PL1】
年齢は10代〜20代まで。恋人はいない。
家族と暮らしており、家族構成は父・母・妹。ごく一般的な家庭で育った日本人。剣道を祖父から習っているので五段持ち。心を許した親友が1人いる。最近はストーカーに悩まされているが、親友が解決してくれようとしているらしい。正直言って、心もとないが…。
【KPC(PL2)】★性別、見た目はPL1に決めてもらおう
クトゥルフの星の落とし子。見た目は人間でAPPは18固定。PL1への好感度は初期値で50。PL1のことが好きで若干ストーカー気味。PL1の死の瞬間を目撃した場合は《SAN値1/1d5》の減少。PL1の周りを付き纏っている。PL1の親友がPL1に馴れ馴れしいので嫌い。
見た目は人間だが、化け物の姿に変化することもできる。変化した場合は戻すのに時間がかかるため、重要な場面以外は使うことを禁止する。PL1に化け物だとばれないように行動しよう。
スズ(PL1の前世)に弱っているところを助けられ、恋に落ちたがスズに先立たれてしまう。しかし、生まれ変わったPL1とあなたは再会する…PL1が植物状態となった病院で。あなたはある経緯でその病院に通っていたが、そこで入院しているPL1を見つけた。人目見て、それが生まれ変わったスズだと気づいたが、話すことができない状態だ。あなたはPL1の脳内に入り込み、夢の中で接触を試みる。だが、PL1はどうやっても目覚められないらしい。あなたはPL1を救う最終手段として、自分の命を使うことにした…。
《好感度について》
PL1への好感度でエンディングが変化する。PL1の好感度は初期値が50。上がる条件はあなたを擁護する、あなたに親切にする、あなたに好意的な態度をとる、あなたとの記憶を思い出す。下がる条件はあなたに冷たい態度をとる、あなたを拒絶する、嘘をつかれる。その他の上がる条件、下がる条件は★のあとに書いている。
【親友】★名前は自由に決めていい
PL2に何かと殺されてしまうNPC。何となくだが、世界がループしていることに気づいている。PL1が脱出するための手助けをしてくれるが、少々抜けている。NPCの性別はPL1の異性にすること。
【導入】
あなたは空を見上げている。星空が綺麗な夜だ。その瞬く星々の中に、ひときわ目立つ流れ星が見えた。それは白い弧を描きながらゆっくりと遠くなっていく。……綺麗だ。
あなたは満点の星空を眺めながら、ぼやけていく目の前の人の手を握った。その人がどんな顔をしているのかは分からない。でも、何を言うべきなのかは分かっていた。…もう、自分が長くないことも。最後にこの人に伝えなければならないことがある。あなたの口が小さく約束の言葉を紡いだ瞬間、視界が暗転して何も見えなくなった。
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループ1回目(朝)】
あなたの耳にピピピというアラーム音が聞こえてくる。もう朝なのだろう。眠たげな頭でアラームを止める。学生なら学校へ、社会人なら会社への準備を。それ以外は外出する予定なので服装などの準備をしよう。
《目星》→スマホの画面には11月22日と表示されている
部屋から出ると、怪訝な顔をした妹と鉢合わせる。妹の名前はリコ。中学2年生で最近は反抗期なのか、ツンとした態度をとっている。リコはあなたに声をかけられても返事をせず立ち去るだろう。ダイニングからは朝食の美味しそうな匂いがする。テーブルには父がおり、キッチンには母がいる。
父は真剣な表情で新聞を読んでいるが、あなたに気がつくと穏やかな顔で挨拶を交わす。母は忙しそうにキッチンで作業している。母もあなたに気がつくと元気よく挨拶を返してくれる。
父「今日は早起きだな、PL1」
父「PL1は好きな人とかできたか?恋人ができたら紹介してくれよ〜」
母「特売で卵が安かったからたくさん買っちゃったわ」
母「あら、寝癖がついているわよPL1。こっちへおいで、直してあげるわ」
ひと通り会話を終えたあと、あなたはテーブルについて食事を始める。その時、テレビにニュースが映る。
ニュースキャスター「今日は流星群が見られる特別な日なんですよ。なんと、1000年に1度の大型流星群らしいです!流星群が見られるのはちょうど日付の変わる24時だとか。皆さんも今夜は流星群を見てみてはいかがしょうか。きっと忘れられない思い出になりますよ!」
《アイデア》→夢の中の流れ星は流星群のようにも見えた
《天文学》→1000年に1度の流星群なんて存在しただろうか?
ニュースが終わると同時に、リコが家から出ていく。
母「ちょっと、朝ごはんは?」
リコ「いらない」
朝食を食べずに出ていくリコに母はため息をつくだろう。あなたも朝食を食べ終えてそろそろ出かけなければならない。
母「あら、出かけるの?気をつけてね」
父「今日の流星群、見に行かないか?夜空が綺麗に見えるところを知ってるんだよ」
父「1000年に1度なんてすごい奇跡だなぁ!PL1は星空に興味があるんだっけか?星はいいぞぉ、奥が深い!」
父親と流星群を見に行く約束はしてもしなくてもいい。ひと通り家族との会話をしたら出かけよう。家を出る際、母があなたを呼び止める。今日は冷えるからとあなたにマフラーを巻いてくれるだろう。
【ループ1回目(朝)】
あなたは目的の場所へ歩いて向かう。いつもの平穏な町。空も綺麗に澄んでいる。あなたは夢の中のことを思い出し、空を見上げてみるだろう。
《目星》→あなたは空に違和感を感じる。よく分からないが、自分の知っている空だと思えないのだ。
ぼーっと空を見上げていると、突然肩を叩かれた。あなたが驚きながら振り返ると親友がいた。学生、社会人の場合は偶然親友と出会ったことに。それ以外だと今日は親友と一緒に目的の場所へ行く約束をしていたということにしよう。
親友「よっ!おはようPL1!何ぼーっとしてんの?」
親友「え?空がおかしい?何も変じゃないけど…」
親友「あはは!PL1はまだ寝ぼけてるんだな〜?」
親友「そういや、今日はリューセーグン?が見れるらしいぞ!なあ、一緒に見に行かね?綺麗に空が見える場所知ってるから!」
親友と流星群を見に行く約束はしてもしなくてもいい。断られると、親友は「なんだよ〜つれないヤツめ〜」と口を尖らせる。ひと通り会話を終えたら、親友があなたに急がないと電車に乗り遅れると言って走り出す。あなたも慌てて親友の後について行く。
《目星》→電柱の影に何かの気配を感じる。最近付き纏っているストーカーだろうか…?
【ループ1回目(昼)】
学生、社会人は午前中の授業、仕事を終えて自分の席で背伸びをする。すると、親友があなたの所へやってきて一緒にお昼ご飯を食べに行こうと提案するだろう。特に約束もしていなかったので、あなたは親友と共に昼食を食べに行くことにした。
★学生の探索者は学食堂に行くことになる。なので、親友と会話するシーンへスキップしよう。
それ以外だと、目的の場所でひと通り時間を過ごしたあなたたちは既に正午を過ぎていることに気づく。親友はお腹がすいたようで、近くで昼食を食べていこうと提案する。特に他の予定がなかったあなたは、親友と共に昼食を食べに行くだろう。
《アイデア》→この近くに美味しい和食の店があったことを思い出す
《ナビゲート》→商店街に入ってすぐの場所に美味しい和食の店があったことを思い出す
親友「あー、腹減ったなー。PL1はなんか食いたいもんある?」
親友「商店街に入れば定食屋くらいあると思うんだけど…」
親友「お、ここの店いいじゃん!なぁ、ここで食っていこうぜ」
親友「お、PL1いい店知ってんの?さっすがぁ!」
学食堂か店に入ったあなたたちは好きな料理を注文し、席に座る。親友はカレーうどんを食べているようだ。すると、先程までニコニコしていた親友があなたを真剣な顔で真っ直ぐ見た。
親友「なぁ…この前言ってたストーカーってまだいるのか?」
《アイデア》《目星》→あなたは誰か視線を感じている。今もなお見張られているかのような…。
親友「俺で良かったら力になるぞ!安心しろって、絶対お前のこと助けてやるからさ!とりあえずそうだな…ストーカーから何か嫌がらせとかされてねーか?」
あなたはストーカーからは特に嫌がらせはされていない。だが、常に視線を感じるので落ち着かないだろう。かと言って日常生活に支障をきたす程でもない。害はないようにも思える。
親友「お前が気にしてねーならいいけどよ…。でも、俺はお前のことが心配だぜ。今日の朝だってぼんやりしてたし」
親友「まあ、何かあったら俺に言えよな!」
あなたたちはその後も会話を交わしながら食事を終えるだろう。親友はあなたのことを心配してたが、親友を巻き込む訳にはいかないと思ってあなたは気丈に振る舞う。
【ループ1回目(夕)】《1回目限定イベント》
親友と別れ、あなたは帰り道を一人で歩いている。空はすっかり夕暮れに染まり、冷たい風があなたの頬を撫でるだろう。ふと空を見上げると、微かだが星が光っている。そういえば今日は流星群が見えるんだったかな。そんなことを考えながら歩いていると「あの!」と突然声をかけられる。
振り返ってみると、あなたの目の前には驚くほど顔の整った人(PL2/NPC)がいた。年齢はあなたと同じくらいだろうか。
PL2「あの、これ…落としたぞ…」
そういう人の手にはあなたのパスケースが握られている。カバンに付けていた紐が切れて落ちたのだろう。あなたはお礼を言いながらそれを受け取る。
《目星》→彼女(彼)の顔は赤く染まっている。走って追いかけて来てくれたのだろうか。
★ここで軽く会話を交わしてみてもいいだろう。もし、PL1がPL2をストーカーかと疑った場合はPL2の好感度が10下がる。
PL2「今日って流星群が見られるらしいな。…誰かと見に行くのか?」
PL2「私は…好きな人と見に行きたいな。1000年に1度なんだろう?最初で最後に見られる流星群って素敵だと思わないか?」
PL2「あ、すまないな…急に変なこと聞いちゃって」
PL2「私ももう行かなければ……またな」
去り際、PL2はあなたの方を寂しそうな目で見つめるだろう。なぜかその目をあなたは知っている気がする。だが、彼女(彼)はそのまま背を向けて去ってしまった。空は夕暮れから夜空に変わろうとしている。早く家に帰らなければ。あなたは帰路を急ぐだろう。
【ループ1回目(夜)】
家に着き、家族と夕食を食べ終えたあなたは自室でくつろいでいる。
《誰とも出かけない場合》
ふと、そういえば今日は流星群が見える夜だったことを思い出す。星なんて興味なかったが、ベランダからでも見えるのだろうかと気になってしまった。あなたは夜風の吹くベランダに出て、じっと空を見つめてみる。
《目星》→微かに星が流れる姿が見える、これから流星群が始まるのだろう
一人で星を見てみるのもいいものだ。そんなことを思いながらぼんやりしていると、スマホから着信音が鳴る。画面には親友の名前が表示されているようだ。
《電話に出る》→電話に出た瞬間、それはプツリと切れてしまった。親友のことだから寝ぼけて間違い電話をしたのだろう。
《電話に出ない》→何コールか鳴ったあと、それは途切れた。どうやら諦めたらしい。きっと流星群を見に行こうとしつこく連絡してきたのだろう。
ふとスマホを見てみると、時計は23時59分を指している。あと1分で予想されていた大型流星群が始まる。あなたは期待を胸に抱いて空を見上げた。他の家でもベランダから空の様子を伺っているのか、人の姿が見える。日本中がこの瞬間、夜空を見上げているのだと思うと不思議な気持ちになる。
《目星》→ふと、ひときわ輝く星が見えた気がした
24時。ついに空が満点の流れ星に包まれた。白い弧を描きながら空の端から端へ流れていく星たち。どこからか感嘆の声が聞こえる。あなたも美しい星空に目を奪われていた。もし、この時間を誰かと過ごせていたら。きっと忘れられない一生の思い出になるだろう。あなたはそう思いながらゆっくりとまばたきをした。
《親友と出かける場合》
★親友を選択している場合、親友はあなたを迎えに来ないだろう。また、親友に連絡をしても返事が返ってこないので強制的に出かけないイベントになる。
《父と出かける場合》
父は車を走らせてあなたをミスミ山へ連れていく。ミスミ山を少し登っていくと、小道が現れる。父はあなたを手引きながら小道を進んでいく。進みづらい木の枝や葉に邪魔されながら進んでいくと、広い場所へ抜けることができた。下には町の姿が広がっており、空はなんの障害物もない開放的な空間だ。
父「どうだ、町が見渡せるうえに空も広いだろう。この場所は穴場なんだぞ!」
ふと、スマホの時計を見てみると23時59分を指していた。あと1分で予想されていた大型流星群が始まる。あなたは期待を胸に抱いて空を見上げた。他の家でもベランダから空の様子を伺っていたりするのだろうか。もしかしたら、日本中がこの瞬間に夜空を見上げているのかもしれないと思うと不思議な気持ちになった。
《目星》→ふと、ひときわ輝く星が見えた気がした
24時。ついに空が満点の流れ星に包まれた。白い弧を描きながら空の端から端へ流れていく星たち。後ろから父の感嘆の声が聞こえる。あなたも美しい星空に目を奪われていた。父と過ごしたこの時間は、きっと忘れられない一生の思い出になるだろう。あなたはそう思いながらゆっくりとまばたきをした。
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【ループ2回目(朝)】
あなたの耳にピピピというアラーム音が聞こえてくる。もう朝なのだろう。眠たげな頭でアラームを止める。学生なら学校へ、社会人なら会社への準備を。それ以外は外出する予定なので服装などの準備をしよう。
《目星》→スマホの画面には11月22日と表示されている
《アイデア》→昨日も22日だった気がするが…寝ぼけているのだろうか?
部屋から出ると、怪訝な顔をした妹と鉢合わせる。リコはあなたにツンとした態度をとっている。
《アイデア》→昨日も同じタイミングで妹と鉢合わせた気がする。妹は覚えていないのだろうか?
妹「……何?こっち見んじゃねーよ気持ち悪い」
妹「はぁ?何言ってんのか分かんないんだけど。朝からウザイからやめてくれる?」
妹「昨日のことなんて覚えてねーし」
リコの返事は反抗的で曖昧だ。釈然としないあなたを無視して、リコは自室の扉を乱暴に閉めて去ってしまう。
ダイニングからは朝食の美味しそうな匂いがする。テーブルには父がおり、キッチンには母がいる。
父は真剣な表情で新聞を読んでいるが、あなたに気がつくと穏やかな顔で挨拶を交わす。母は忙しそうにキッチンで作業している。母もあなたに気がつくと元気よく挨拶を返してくれる。
《目星》→昨日も同じ朝食を食べた気がする
父「今日は早起きだな、PL1」
父「PL1は好きな人とかできたか?恋人ができたら紹介してくれよ〜」
母「特売で卵が安かったからたくさん買っちゃったわ」
母「あら、寝癖がついているわよPL1。こっちへおいで、直してあげるわ」
父と母との会話も既視感がある。あなたはそのことを確認するかもしれないが、2人とも困惑するばかりだ。しかし、あなたも昨日の出来事をハッキリ思い出す事ができていない。何となく、見たことがある気がするだけなのだ。
母「変なPL1ね。疲れているの?今日は休んだ方がいいんじゃないかしら?」
父「そういうのをデジャヴ現象って言うらしいぞ、ははは!」
ひと通り会話を終えたあと、あなたは困惑しながらもテーブルについて食事を始める。その時、テレビにニュースが映った。
ニュースキャスター「今日は流星群が見られる特別な日なんですよ。なんと、1000年に1度の大型流星群らしいです!流星群が見られるのはちょうど日付の変わる24時だとか。皆さんも今夜は流星群を見てみてはいかがしょうか。きっと忘れられない思い出になりますよ!」
《アイデア》→流星群の話を昨日も聞いたことを思い出す、ちょうど流星群が流れ出した時に意識が途絶えたのだ。
なぜかまた昨日と同じ22日が始まっていることに気がつく《SAN値0/1d3》
ニュースが終わると同時に、リコが家から出ていく。
母「ちょっと、朝ごはんは?」
リコ「いらない」
朝食を食べずに出ていくリコに母はため息をつくだろう。あなたも朝食を食べ終えてそろそろ出かけなければならない。
母「あら、出かけるの?気をつけてね」
父「今日の流星群、見に行かないか?夜空が綺麗に見えるところを知ってるんだよ」
父「1000年に1度なんてすごい奇跡だなぁ!PL1は星空に興味があるんだっけか?星はいいぞぉ、奥が深い!」
《アイデア》→昨日父と流星群を見に行ったあなたは、嫌な予感を感じる。ここで選択を変えたらどうなるのだろうか。
《アイデア》→昨日父の誘いを断ったあなたは、嫌な予感を感じる。ここで選択を変えたらどうなるのだろうか。
父親と流星群を見に行く約束はしてもしなくてもいい。ひと通り家族との会話をしたら出かけよう。家を出る際、母があなたを呼び止める。今日は冷えるからとあなたにマフラーを巻いてくれるだろう。
《目星》→マフラーの巻き方も昨日とそっくりそのままな気がする。これは気の所為でないと感じ始めるだろう
【ループ2回目(朝)】
あなたは目的の場所へ歩いて向かう。いつもの平穏な町。空も綺麗に澄んでいる。あなたは昨日のことを思い出し、空を見上げてみるだろう。確かにこの目で流星群を見ていた。あれは何だったのだろうか。
《目星》→昨日と同じような違和感を感じる
《天文学》→月が半月だ、22日なのに半月なのはおかしい
ぼーっと空を見上げていると、突然肩を叩かれた。あなたが驚きながら振り返ると親友がいた。学生、社会人の場合は偶然親友と出会ったことに。それ以外だと今日は親友と一緒に目的の場所へ行く約束をしていたということにしよう。
親友「よっ!おはようPL1!何ぼーっとしてんの?」
親友「え?月がおかしい?……気のせいじゃね?」
親友「あはは!PL1はまだ寝ぼけてるんだな〜?」
親友「そういや、今日はリューセーグン?が見れるらしいぞ!なあ、一緒に見に行かね?綺麗に空が見える場所知ってるから!」
《アイデア》→昨日と違う選択をしたらどうなるのだろう。あなたは嫌な予感を感じる。
親友と流星群を見に行く約束はしてもしなくてもいい。断られると、親友は「なんだよ〜つれないヤツめ〜」と口を尖らせる。ひと通り会話を終えたら、親友があなたに急がないと電車に乗り遅れると言って走り出す。
《目星》→電柱の影に何かの気配を感じる。最近付き纏っているストーカーだろうか…?
《アイデア》→このストーカーの正体が気になる。今なら近づけば捕まえられるのではないか?
《分岐》
【ストーカーを捕まえない】→昼へ
【ストーカーを捕まえる】
突然立ち止まったあなたに親友は振り返る。
親友「お〜い!早くしねーと電車逃すぞ〜」
ストーカーを捕まえることを親友に話すと、親友は何をしてくるか分からない相手に無策で対抗するのは危ないと諭してくる。そして、代わりに警察を呼べば解決できると言ってスマホを取り出すだろう。
《警察を呼ばない》→親友にそこまでする必要はないと言っている間に気配が消えた。ハッとして振り返ると、そこにはもうストーカーはいなかった。
《警察を呼ぶ》→親友は警察に連絡をしているようだ。あなたはほっとして電柱を見る。しかし、そこにもうストーカーはいなかった。電話を終えた親友は「相手にされなかった。悪戯だと思われてよぉ〜」と不機嫌そうな顔をしている。
あなたたちは腑に落ちないまま駅へ急ぐだろう。
【ループ1回目】の昼へ進む。
★警察に連絡すると好感度が10下がる。親友はこの周で殺される。
親友に何も言わないか、親友に気づかれないようにストーカーを捕まえる場合は親友に先に電車に乗るように言おう。親友は戸惑いながらも「お、おう?」と行って先に行くだろう。
電柱からはまだストーカーの気配がする。あなたが振り返ると、電柱の人影は慌てて逃げる。
追いかける場合は《DEX×5》→成功で捕まえる
追いかけない、捕まえられなかった場合は昼に進む。
【☆ループ2回目(朝)】
追いかける人をあなたは捕まえた。強く腕を引いたせいか、相手は呻き声を上げながら後ろへ転倒する。PL2のSIZは女性だと10、男性だと16。PL1のSIZを下回るとPL1がPL2を受け止めるが、上回っていると共倒れる。《HPダメージ1d3》
捕まえた相手を見てあなたは驚くだろう。それは昨日、あなたのパスケースを拾ってくれた人だったのだ。彼女(彼)は慌てた顔で動揺している。
PL2「あの…その、違うんだ!お前をつけ回していた…のは事実だが、変な意味はなくて…」
PL2「不快に感じていたならすまない」
PL2「ひとつ、確認したいんだが……お前は何回目なんだ?」
PL2はPL1に何回ループしているのかの確認をするだろう。
★PL2の夢は非常に不安定だ。PL1の記憶が混濁していないか確認している。実際、ループに気がついたのは今回が初めてだ。
あなたはPL2の発言に驚く。ループについて聞くかもしれないが、PL2は落ち着きながら答える。
PL2「やっぱり…お前も繰り返しているんだな」
PL2「実は、私も同じなんだ……私にも何が起こっているのかサッパリで…」
PL2「この世界にはパターンが存在するみたいだ。お前が出会った奴との会話、行動、あとは食事とか。全ては22日に起きたことで固定されている。それが変化することはない。でも、お前だけは違った。」
PL2「私たちはいつもここですれ違う。決まった時間にぴったりとな。それがループによって変わっていたんだ。お前は早くここを通ることもあれば、遅れてくることもあった。だから気になってお前の跡をつけていたんだよ。」
PL2「そう、お前だけはパターン化されていない人間だった。つまり、このループから抜け出すための鍵だと思ったんだ。」
PL2「急にこんなこと言われても困るよな。私も未だに信じられない。でも、これは本当に起きていることで私たちは体験している………もう他人事じゃないだろ?」
★この世界のループについてと、PL1が特別な存在であることの説明をPL2は行う。この世界はPL2が作り出したが、それは伏せておく。自分も不思議な現象に巻き込まれたていで話を進めよう。
PL2「それと、私の名前はPL2だ。よろしくな。」
★自己紹介をする場合は、先にPL1が名乗ると好感度が10上がる。
あなたは何か解決策はないか、他に知っていることはないかなど尋ねてくるかもしれない。だが、PL2は何も知らないらしい。自分も抜け出す方法を探しているが、ずっと抜け出せずにどのくらいここで過ごしているのかも忘れたと。
PL2「考えはある。お前はパターン化されていない人間だった。これはイレギュラーなことで、お前自身もループに気がつけた。だから、その世界のパターンを壊すんだ。例えばこの日に起きる出来事を私たちで変えるとか。そうすれば、ループに皆気づくんじゃないか?」
PL2「確証はないけど…もしかしたら、抜け出せるかもしれない。私に協力してくれないか?」
《分岐》
【PL2に協力しない】→PL2は悲しそうな表情で「そうだよな、信じられないよな」と引き下がる。無理強いはしないだろう。そして、「もし困ったことがあれば連絡してくれ」と言ってあなたに電話番号を書いたメモを手渡して去っていく。あなたはその後、親友と合流するために駅へと急ぐだろう。【ループ1回目】の昼へ進む。
★信じてくれなかったことに対し、PL1への好感度が10下がる
【PL2に協力する】→PL2は嬉しそうな表情であなたの手を取る。
PL2「信じてくれるのか?ありがとう…!」
そして、ハッとした顔をしてあなたの手を離す。
PL2「あ、悪い…つい、嬉しくて…」
《目星》→PL2の顔は赤らんでいる。昨日パスケースを拾ってくれた時と同じだ。恥ずかしがり屋なのだろうか。
【ループ2回目以降(昼)】
★ここからはパターンを変えるため、あなたたちはこの日に起きた出来事を改変していく。まずは22日に何が起こったのかを思い出そう。PL2はこの日に起きたことをふたつ知っている。技能に失敗しても、PL2に頼って進めよう。
PL1はこの先PL2と行動するため、親友には休むことを連絡しておこう。親友はあなたを心配するかもしれないが、上手く誤魔化そう。PL2には、ループに気づいていない人間に無理やりループについての話をしたらどうなるか分からないからしない方がいいと言われる。親友を連れて改変をすることは不可能だということだ。
PL2「まずは何を改変するかだ。多分、小さなことじゃダメだと思う。皆が認識するような、大きな出来事とかはなかったか?」
《アイデア》→流星群のニュースを思い出す。しかし、流星群を変えることはさすがに不可能だろう。
《知識》→昨日見た夕方のニュースを思い出した。ショッピングモールが停電してちょっとした騒ぎになったとか。何が起こったのかの原因は捜査中だった気がする。
→【ショッピングモール停電事件へ】☆
★スマホで調べる場合は《コンピュータ》か《図書館》、新聞の場合は《図書館》で振ろう。
《コンピュータ/図書館》→今日の14時にミスミ資料館でイベントをするらしい。あなたはそのイベントが開始した直後に子どもが怪我をしたというニュースが出ていたことを思い出す。
→【ミスミ資料館イベント事件へ】☆
《PL2に尋ねる》→【ショッピングモール停電事件へ】☆
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【ループn回目(昼)】☆
・ショッピングモール
・ミスミ資料館イベント
・水族館のイルカ
・ミスミ山神社の神主
★改変できる場所は4箇所。昼にひとつ解決できるので、4箇所全て改変できたら最終局面へ進める。
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【ループn回目(昼)】☆ショッピングモール
あなたたちは早速停電が起きるショッピングモールへと赴く。平日の昼間だが、モール内はかなり賑わっているようだ。映画館や屋上観覧車のあるミスミ町の大型ショッピングモールは、家族連れやカップルが多い。PL2は物珍しそうに店を眺めている。
PL2「こんなに人がいる場所に来たのは初めてだよ」
PL2「えっ?私が住んでいるところ?この町だが…まあ、ここに来たばかりだからな。その前住んでいたのは…海外かな」
PL2「私の話はどうでもいいだろう!それよりも、なぜ停電が起きたのか調べなければ」
人混み《目星》→挙動不審な男が大きな鞄を持ってスタッフ専用の扉へ入っていった。
PL2《目星》→タピオカミルクティーを眺めている。珍しいのだろうか。
店《目星》→セール品を宣伝する店員が店前に立っている。特に怪しいところはなさそうだ。
《PL2とのイベント》☆
タピオカミルクティーを眺めているPL2に話しかけると、これはなんの食べ物なのかと尋ねられる。PL2のためにタピオカミルクティーを購入してあげると、好感度が10上がる。RPは自由にしてもらって構わない。
《怪しい男を見つける》☆
怪しい男がいたとPL2に教えると、男の跡をつけてみようと提案される。PL2の提案を断わってもPL2は構わずに男を追っていくだろう。
PL2「でかした!その男が犯人に違いないぞ」
PL2「早く追うぞPL1!なんだ、怖いのか?心配するな私がいざという時は守ってやるぞ」
PL2のあとについていくと、男が照明管理と書かれた部屋の中に入っていくことがわかる。
PL2「怪しいな…しかも照明をいじっているようだぞ。PL1、私がこいつを止めるからお前は人を呼んでこい」
《分岐》
【PL2に任せない】→《男の様子を伺う》
【PL2に任せる】→PL2はあなたに任せたぞ!と言って部屋の中へ入っていく。中からは争う声が聞こえるが…とりあえず人を呼んでこよう。→《失敗イベント①》
《失敗イベント①》
あなたは急いで走った。だが、自分の意識が突然混濁していく。足元がフラフラしておぼつかない。どうして自分は走っているのだろう。とても…眠くてたまらない。自分がどこにいるのかの感覚が消え、そのままあなたの視界は暗転した。
→【ループ3回目以降(朝)】へ進む
《男の様子を伺う》☆
まだ接触するには早い、と思ってあなたはPL2を止める。すると、背後から足音がした。誰かが来たようだ。
《隠れる》→あなたたちは2人分隠れられるスペースを通路に見つけて隠れるだろう。
★PL1への好感度が10上がる
《隠れる》失敗→慌てたPL2があなたを近くの扉へ押し込み、自身も倒れ込んできた《HPダメージ1d3》。
★PL1への好感度が10下がる
こっそり部屋の様子を窺うと、金髪の男とスキンヘッドの男が話していることが分かる。最初に見つけた怪しい男は金髪の方だろう。奥に設置されている機械をいじっている。
男1の声「おい、準備できたか?」
男2の声「あぁ、バッチリさ。停電の隙にマークした店の商品を急いで詰め込め。できるだけ高いやつにしろよ」
男1の声「わかってるよ」
男2「あ、それとライトは使うんじゃねぇぞ。今のうちに暗闇に慣れとけ。俺がスマホで合図を送るからな」
男1「了解」
男たちは強盗の計画を話しているようだ。停電のうちに商品を盗む魂胆らしい。話終えると、スキンヘッドの男が部屋から出てくる。そして、奥の通路へと歩いていくだろう。
PL2「どうする?相手は二人みたいだぞ。どっちを先に対処するべきだろうか。」
スキンヘッドの男《目星》→スキンヘッドの男の腰に拳銃が見えた気がした
金髪の男《目星》→金髪の男は細身で2人がかりなら倒せそうだ
★目星は片方にしか振れないので注意
《分岐》
【スキンヘッドの男を襲う】→《戦闘イベント》に進む
【金髪の男を襲う】→《失敗イベント②》に進む
《失敗イベント②》
あなたたちは不意打ちで男に襲いかかった。すると、手元が狂ったのか突然モール中の電灯が消えてしまった。外からは人々の驚く声や子供の泣き声が聞こえる。
PL2「しまった…!くそ、こいつだけでもどうにかするぞ!」
そう言って金髪の男を取り押さえようとした時、銃声が鳴り響いた。何が起きたのかよく分からなかったが、PL2が呻き声をあげて倒れたことだけは分かった。暗くて見えないが、生温かい液体があなたの足元に広がっていることがわかる。
PL2「…PL1、逃げろ。今回は失敗だ。大丈夫…私は…。」
そう言い終える前に、また銃声が鳴った。今度はあなたの番だったのだろう。腹に焼けるような痛みを感じる。これが死なのか。あなたはそのまま意識を失っていった。
→【ループ3回目以降(朝)】へ進む
《戦闘イベント》☆
スキンヘッドの男「うわっ!?なんだ、お前ら!」
男は驚きながら拳銃を取り出す。戦闘開始だ。
PL2《キック》→男の拳銃を蹴り飛ばす(不意打ち)
拳銃を蹴り飛ばされた男は丸腰の状態で戦う。
【スキンヘッドの男】
《HP》11《MP》9《SAN値》45
《DEX》10《CON》9《STR》13《SIZ》12
《パンチ》45 《拳銃》50 《回避》45 《ダメボ》+1d4
★戦闘に負けた場合は【ループ3回目以降(朝)】へ進む
戦闘に勝利すると、男の持ち物からスマホが出てくる。確認すると、メッセージから「あと2分で停電する」と送られてきた。急いで金髪を止めないと停電が起こってしまうだろう。
《DEX×5》→《改変完了①》へ進む
《DEX×5》失敗→PL2が成功すればPL1の手を引いて走る、失敗すれば《失敗イベント①》へ進む
《改変完了①》☆
先ほどの部屋に戻ると、あなたたちは勢いよく扉を開けた。金髪の男は驚いた顔で振り向き、「なん!?お前らどこから!?」と言ってナイフを取り出す。だが、それよりも早くPL2が男のナイフを叩き落とした。
PL2「PL1!そこに落ちてるロープを持ってきてくれ!こいつをとっ捕まえるぞ!」
あなたたちは金髪の男を縛り上げ、ついでに通路でのびているスキンヘッドの男も縛り上げた。そして、警察に連絡をするとすぐに駆けつけてきてくれるだろう。
PL2「やったな、PL1。これで22日が変わったはずだ。確認してみよう!」
ある程度のやり取りが終わったら、モール内にある大型モニターを確認してみよう。モニターには相変わらず流星群についてのニュースが映っているが、内容が変化している。
流星群の流れる予想時刻が1時間早くなっているのだ。
《天文学》→流星群の時間が早まったということは、この世界の時間の進み方が変わったということだろうか。しかし、これに対して嫌な予感しかしないのは何故だろう…。
PL2「流星群が早くなっている?これは改変に何か関係あるのだろうか…?」
PL2「嫌な予感だと?大丈夫だ、私がいるから安心しろ」
PL2「とにかく、何か変化が起きたのは大きなことだ。きっと大丈夫さ。もしかしたら明日に行けるかもしれないぞ!」
PL2との会話を終えたら、夕方になってきたので帰ろうという話になる。
《改変が2回目の場合》
その帰りに、カップルの会話が耳に入るだろう。
《聞き耳》→ミスミ水族館のイルカショーが行われなかったらしい。イルカもしばらくは表に出られないとか。
女性「今日はイルカショー見れなくて残念だね。どうしちゃったんだろ?」
男性「イルカの調子が悪いとか言っていたけど…病気かな?でも、全部のイルカがいきなり体調を崩すなんておかしいよな。」
女性「そうだよね。」
あなたが聞いた情報をPL2に話すと、改変できる可能性があるかもしれないと返すだろう。
PL2「何?イルカショーが?……これは改変できるかもしれないな、PL1」
あなたたちは明日の行動について相談しながらショッピングモールを出ていく。
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループn回目(昼)】☆ミスミ資料館イベント
あなたたちはイベントのあるミスミ資料館へ向かう。資料館の近くには子供の姿が多く見える。やはり、子どもが集まるイベントなのだろうか。
《目星》→資料館の近くの掲示板にポスターが張り出されている。地元の小学生たちが楽器を演奏するようだ。
《図書館》→ポスターをよく見ると、会場が書かれている。資料館3階の多目的ホールで演奏が行われるらしい。
PL2「子どもが怪我…という内容だったよな。ニュースになるくらいだから大きな怪我に違いない。」
PL2「なぜ怪我をしたのかの要因が分かればいいが…。」
とりあえず資料館に入ろうと言う話になるだろう。子どもが怪我をした時間は14時だった。1フロアを探索する時間は30分程度とし、14時までには改変を完了させよう。現在の時刻は12時だ。時間オーバーになると失敗イベントへ進む。
《資料館1階》☆
資料館に入ると、数人だけがいることが分かる。まだイベント時間ではないので人がそこまでいないのだろう。1階のフロアは地元の資料が展示されているようで、古い書物や骨董品が並べられている。PL2は真剣な表情でそれらを見つめている。
書物の展示《図書館/歴史学》→古い文字で地元の言い伝えが綴られている。ミスミ山の神子の話のようだ。
骨董品の展示《目星/考古学》→昔の人物が着用していた衣類や装飾品のようだ。装飾品の中には元は金色だったと思われる指輪もある。
古い絵巻《目星/歴史学》→地元の言い伝えである、ミスミ山の神子が描かれている。化け物と戦う姿のようだ。
職員用の扉《目星》→鍵は閉められていて入ることができない。職員に見つかりそうで《鍵開け》は使えないだろう。
PL2《目星》→古い絵巻をじっと見つめている。何を考えているのかは分からない。
《PL2とのイベント》☆
PL2に話しかけると、彼女(彼)は驚いた顔をしてあなたを見る。どうやら没頭して見ていたようだ。
PL2「びっくりした。どうしたんだ、PL1?」
PL2「そうだな、早く手がかりを見つけないといけないな」
PL2「え?いや…変わった絵だと思ってな」
《心理学》→PL2はぼんやりした様子で絵巻を眺めているようだ。その瞳は何かを思い出しているような…そんな感じがする。
★絵巻についてPL2と会話をすると、好感度が10上がる。
《老人との会話》☆
全ての場所を探索すると、別の絵巻を見ていた老人があなたたちに話しかけてくる。老人は白髪で穏やかな表情をした男性だ。
老人「若い人がこんな所に来るなんて珍しいね。資料館は初めて来たのかい?難しいものばかりでつまらないだろう。」
老人「ほほ、ここに置いてある展示物はほとんど神子様についての物だよ。」
老人「神子様はミスミ山に閉じこもって村を守護していた方らしいね。不思議な力を使えたらしく、物の怪退治もしていたとか。まあ、昔のお話だからおとぎ話だと思うけどね。でも、神子様は本当にいた人物だよ。ミスミ神社っていうのがミスミ山の頂上にあるのだけれど、そこに神子様の太刀が祀られているんだ。」
老人との会話を追えたら、PL2と情報共有をしよう。
《資料館2階》☆
資料館の2階は小さな図書館になっているらしい。そのほとんどは地元に関する資料だ。図書館の入口には受付カウンターがある。中年の女性が忙しそうに書類をまとめている。
本棚《図書館》→神子についての資料を見つける。
「ミスミ山の神子様」
ミスミ山の神子の末代は千年前に確認されたのが最後だ。村の厄災がきっかけで神子は消滅したという説が有力である。一番最後に作られたと思われる書物には、スズという名の神子が物の怪に倒されたと記されている。
受付カウンター《目星》→女性職員は電話を始めたようだ。
受付カウンター《聞き耳》→電話は演奏イベントに関することのようだ。看板を吊り上げる金具が古いという話が聞こえる。
女性職員は電話で忙しいので話ができない。図書館にはあなたたち以外の人はいないだろう。PL2は様々な資料を見ては本棚に戻して新しい資料を見ている。
PL2「手がかりは見つかったか?」
PL2「看板の金具か…実際に見に行ってみようか。もし本当に古かったら、子供の怪我の原因はそれに違いない。」
PL2「え?何を見ていたかって?資料館について何か情報があればと思ってな…色々と探していたんだ。」
《資料館3階》
多目的ホールの扉は開いているようだ。職員が会場の準備を終えて談笑しており、観客席には何人か座っている。
電話で女性職員の話を聞いていた場合は看板のパーツを調べることができる。職員に金具について話しても、関係者じゃないので相手にされないだろう。
舞台《目星》→子供たちが演奏する楽器が並べられている。舞台に上がろうとすると職員に止められるだろう。
看板《目星》→舞台の天井には「ミスミ小学校秋の演奏発表会」と書かれた看板が吊り下げられている。
看板の金具《目星》→右側の金具が古くなっている。《聞き耳》成功で軋んだ音がすることが分かる。
外階段への扉《目星》→多目的ホールの奥には外階段に出る扉がある。扉には「関係者用通路」と書かれた貼り紙が貼られているようだ。
PL2「多分、演奏中に看板が落ちてくるんだろう。」
PL2「右側の金具が古い?……確かにそうだな。だとすれば、舞台の右側で演奏する予定の子供が危ない。」
PL2「看板をどうにかするのは難しそうだ。流石に2人で看板を下ろすことはできないし、職員も今日起きることを知らないから協力してくれないな。」
《アイデア》→演奏時間を遅めることはできないだろうか。子どもが怪我をしたのはイベントが開始した直後だったはずだ。例えば、子供たちが入ってくる予定の入口を封鎖するとか。
PL2「入口の封鎖だと?名案だな。それなら、そこの外階段らしい。さっきすれちがった女の人が児童を外階段に連れていく時間はいつなのか他の人に聞いていた。」
PL2「封鎖……となれば、鍵を閉めなければならないな。多分、鍵は職員の誰かが持っているか…あるいは、事務室から鍵を持ってくるかだな。」
《分岐》
【職員から鍵を盗む】→《鍵を盗む作戦》へ進む
【事務室から鍵を盗む】→《失敗イベント》へ進む
《失敗イベント》
あなたたちは事務室へ行くことにした。事務室は資料館の1階にあるようだ。そっと事務室を覗き込むと、数名の職員がデスクワークをしている。
PL2「人が多いな…ここに忍び込むのは至難の業だぞ。」
《目星》→鍵は見つからない。職員が保管しているのだろうか。
PL2「まずいな…鍵はここにはないのかもしれない。PL1、ホールに戻って他の作戦を考えよう。」
そうPL2が言った瞬間だった。放送から明るい女性の声が流れ出した。演奏会がもうすぐ開始するのだろう。
「皆さん、こんにちは!14時から子供たちの秋の演奏会が始まります。秋をテーマにした曲を演奏してくれるそうです。是非、聴きに来てくださいね!会場は本館の3階、多目的ホールで行います。」
放送が終わると、PL2は「もう始まる!どうにかして止めるぞ!」と言ってホールの方へ走り出す。あなたも慌てて彼女(彼)について行くだろう。
ホールに入ると、すでに子供たちは演奏の準備を開始していた。《目星/聞き耳》に成功すると、看板が少しずつ下がってきていること/看板を繋ぐ金具から変な音が出ていることが分かるだろう。落下するまで時間は掛からない。
《分岐》
【看板の下にいる子どもを庇う】→《失敗イベント③》
【大きな声で危険を知らせる】→《失敗イベント④》
《失敗イベント③》
あなたは必死に走って舞台に駆け上がる。後ろからはPL2のあなたを引き止める声が聞こえたが、構っていられなかった。周りにいる人は驚いた顔であなたを止めようとするかもしれない。しかし、それよりも早く看板が破裂音をさせて落下した。何か重いものがあなたの上に落ちてくる。あなたは固まっている子どもを思い切り突き飛ばした。
ガシャーン!と大きな音が鳴り響く。強い力によって骨と内臓が潰される感覚がしたあと、圧迫により呼吸ができなくなる。体中が熱くて痺れる。上手く呼吸ができない。誰かがあなたの手に触れるが、感覚が段々と分からなくなってきた。先ほどまで熱かったのに、今はなぜか寒く感じる…。耳からは人々の騒がしい声が聞こえるが…視界にはもう、何も見えない…。
→【ループ3回目以降(朝)】へ進む
《失敗イベント④》
あなたは大きな声で危険を知らせた。だが、周りの人たちが怪訝な顔でこちらを見ただけだった。子どもたちも驚いているだけで動かない。その瞬間、看板が破裂音をさせて落下した。あなたたちが予想した通り、右側にいた子供たちが下敷きになる。すぐに会場は大騒ぎになった。
PL2「……くそ、遅かったか。」
PL2が悔しそうな顔で呟く。すると、あなたたちの元へ警備員が駆けつけてくる。
警備員「君たち、何をしたんだ!」
警備員「君たちがなにか言った瞬間、事故が起きたんだぞ。少し来てもらおうか。」
どうやら怪しまれてしまったらしい。あなたがどうしようかと考えていると、体が急に重くなる。目眩がして、立っていられないほど視界が歪む。PL2に助けを求めようとしたが、PL2が何処にいるのかも分からなかった。何が起きたのか分からない。誰の声も姿も確認できない。何故だ。そう考える前に、視界が暗転した。
→【ループ3回目以降(朝)】へ進む
《鍵を盗む作戦》☆
PL2「そうだな、ここにいる職員が鍵を持っている可能性は高い。舞台の準備をした後だからな。」
《目星》→舞台袖で談笑している男性職員の腰に鍵が見える。
《隠れる》+《目星》→男性職員に近づいて腰の鍵を確認できる。鍵には「外階段」と書かれたプレートがついている。
そっと近寄って盗むには人目が多い。あなたたちのどちらかが気を引いて鍵を盗み出そう。片方は交渉技能で男性の気を引き、片方は《DEX×5》で鍵を盗み出す。
《改変完了②》☆
鍵を盗み出すことに成功したら、外階段の扉に鍵をかけよう。あとは14時になるまで待つだけ。14時になったら子どもたちが外階段からやって来るが、鍵が掛かっているので入ってこられない。それに気づいた職員が扉を開けようとするが、鍵がないことに気づく。放送からは「14時からの演奏会が少し遅れます。皆さん、しばらくお待ちくださいませ。」といった内容が聞こえる。
そして、14時が回った瞬間舞台上の看板は破裂音をさせて落下するだろう。舞台には誰もいなかったので怪我人は出なかった。しかし、看板が落下したので演奏会は中止になったようだ。職員たちは慌てた様子で落下事故の対処を始めるだろう。けが人が誰も出なかったことにあなたたちは安堵するだろう。
PL2「改変は成功だな。看板の落下は阻止できなかったが、子どもが怪我をしたという事実は書き換えられた。この世界のパターンにも影響は出ているはずだ。早速調べてみよう。」
《図書館/コンピュータ》→あなたたちはスマホでネットニュースを調べる。相変わらず流星群についてのニュースが大きく出ているが、予測時刻が1時間早くなっていた。
PL2「やったぞ、PL1!成功だ。やはり世界のパターンが変わっているな。これで明日に進められればいいが…。とりあえず今日はもう遅い。家に帰って安め。」
《改変が2回目の場合》
資料館を出るとき、あなたたちは泣いている子供をあやす母親とすれ違う。子供は駄々を捏ねているようだ。
子供「なんで、イルカさん見に行けないのー?明日行こうって約束したのに!」
母親「ごめんね、イルカさんはしばらくお休みしなくちゃいけないの。我慢してね、水族館には他にもたくさんお魚さんいるからね。」
子供「やだやだ!イルカさんじゃなきゃ嫌だ!ねえ、なんでお休みするの?」
母親「イルカさんは病気になっちゃったの。ハル君だって、風邪をひくでしょう?それと同じよ。」
母親は子供を説得しているが、それでも子供は泣き続けている。どうやら水族館のイルカが病気になってしまったらしい。
PL2「イルカが病気に…?ちょっと調べてみるか。」
PL2「PL1、これは奇妙だぞ。どうやらミスミ水族館のイルカ全員が急に体調を崩したらしい。……誰かの手が加わっている可能性があるな。」
PL2「この現象ももしかしたら改変できるかもしれない。」
あなたたちは明日の行動について話し合いながら資料館を出ていくだろう。
★泣いている子供をPL1が慰めようとすると好感度が10上がる。逆に、PL1が子供の泣き声に対して煩わしそうな態度をとると好感度が10下がる。
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループ2回目以降(夕)】
《改変成功(1回目)》☆
あなたたちは帰り道を共に歩いているが、初めに出会った電柱のある道で分かれる。PL2は「あ、そうだ」と言ってポケットから何かを取り出す。あなたに右手を差し出すようにいうと、金色の指輪をあなたの右手の薬指に着けた。
★この指輪は神子の力を増幅させる作用がある。今はスズの力が微かに残っているだけだが、PL1がつけることで神子の呪力が再び蓄積される。戦う時、PL1の与えるダメージ量が+1増加する。指輪は自力で外すことができない。
PL2「お守りだ。危ないことがあったらお前を守ってくれる。大切にしろよ。」
《知識》→右手の薬指に指輪をつけるのは、心の安定やリラックス効果を得られるようにする意味があるらしい。他にも意味があった気はするが、忘れてしまった。
PL2「私が言うことではないが、あまり無茶するなよ。もし、改変が嫌だったら言ってくれてもいい。私がお前を巻き込んだのは事実だからな。」
★嫌がっていない、無茶していない等のPL2を気遣う発言をした場合は好感度が10上がる。
PL2「ループが終わらなかったら…また明日、ここで会おう。」
あなたたちはそう約束して別れるだろう。
【ループ2回目以降(夜)】
《改変成功(1回目)》☆
家に着き、家族と夕食を食べ終えたあなたは自室でくつろいでいる。その頭の中は今日起きたことでいっぱいだった。彼女(彼)は何者なのだろう。なぜ自分はループに気づけたのだろう。本当にここから抜け出せるのだろうか。明日は果たして、来るのだろうか?
金の指輪《目星》→よく見れば傷のようなものがついている。しかし、指輪はあなたの手によく馴染んでいるように感じる。
窓の外《目星》→流星群が流れる時間は24時から23時に変化していた。まだ空には流れ星のひとつも見えない。
《父と約束をしていた場合》
父はあれだけ張り切っていたのに、なぜか寝てしまっていた。昨日ではなかった出来事だ。やはり今日の改変が影響しているのだろうか。
《親友と流星群を見る約束をしていた場合》
スマホから着信音が鳴る。画面には親友の名前が表示されているようだ。そろそろ出かけようという連絡だろうか?
《電話に出る》→電話に出ると、親友の声が聞こえた。
親友「あ、PL1?まだ起きてたか。いや、あのさ…俺たちって今日流星群見に行く約束してたよな?」
親友「……そうか、変なこと聞いてごめん」
★下の会話はルートによって変えよう
親友「なんか、前にお前と約束したような気がして…今日だっけ?って思ってさ」
親友「なんか、前にお前に断られた気がして…今日だっけ?って思ってさ」
親友「俺たち、前にも流星群見に行った気がして…今日も見に行くってなって…変に思ってさ」
そう話した瞬間、親友の声が途切れる。地面に衝突したような音が鳴って静まり返ったあと、電話は切れた。その後あなたが電話をかけても親友は出ないだろう。
《電話に出ない》→何コールか鳴ったあと、それは途切れた。折り返しても親友は出ない。
《流星群が流れる》☆
ふとスマホを見てみると、時計は22時59分を指している。流星群は果たして流れるのだろうか。不安な気持ちを抱きながらベランダに出て、あなたは空を見上げる。
《天文学》→南の空で輝く星はおうし座のアルデバランだ。そのそばにはプレアデス星団があるのだろう。星空は町の光のせいで見えづらいが、それでもぼんやりと光っている。
23時。ついに空が満点の流れ星に包まれた。白い弧を描きながら空の端から端へ流れていく星たち。どこからか感嘆の声が聞こえる。その光景は1回みたことがあるのに、なぜか鼓動が脈打つのを感じた。誰かとこの光景を見られたら。そう思った時、あなたの頭には誰の顔が浮かんだのだろう。ゆっくりまばたきをした瞬間、無数の星は大きく接近していた。
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループ3回目以降(朝)】
《PL2と改変を始めていない場合》
2回目と同じような朝を迎える。妹との合流、流星群のニュース、母親がマフラーを巻くイベントを行う。また、PL1が自主的に連絡するまではPL2は現れない。なので、PL2と再会するまでこの変動なしのループは続くだろう。
《PL2と改変を始めて失敗した場合》
■始めて失敗した場合
2回目と同じような朝を迎える。PL1が死んでいた場合は自分の死を体験した恐怖で《SAN値1/1d3》。家族との会話、ニュースなどのイベントを行ったあとにPL1は家を出る。親友と電柱のある道まで歩いていくとPL2が待っているだろう。あなたは親友を先に行かせてPL2と会話をする。親友がいるとPL2は改変について話せない。
PL2「悪い、私の不手際で死んでしまったらしい。」
PL2「なぜか分からないが改変しようとして詰むと、こうして勝手にループされるらしい。」
PL2「死ぬと勝手にループして22日の朝に飛ばされるっぽいんだ。私は何度かやったことがあるから慣れたが…。」
PL2「お前は衝撃だったよな。説明不足ですまなかった。」
★PL2を責める発言をした場合は好感度が10下がる。
あなたたちは作戦を立て直してもう一度改変する現場へ向かうだろう。
■2回目以降の失敗の場合
朝のイベントを済ませてPL2と合流する。親友は先に行かせておこう。
★ループ回数が増える度に親友はPL1を疑うようになる。PL2のことも警戒し始めるのでPL2はPL1にしに過ぎないよう注意しよう。
PL2「また失敗したか…作戦を変更すべきだな。」
PL2「PL1、大丈夫か?死ぬ体験は辛いだろう。苦しかったら言ってくれ、無理をする必要はない。」
あなたたちは作戦を立て直してもう一度改変する現場へ向かうだろう。会話の内容はループによって変化させていくといい。しかし、PL2がPL1を責めることは絶対にない。
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループ3回目以降(朝)】
《改変成功(1回目)》☆
あなたはハッとして目を覚ます。悪い夢を見たあとのように心臓がドクドクと鳴っている。最後に見た光景は、流れ星が接近してくるものだった。あれは一体…なんだったのだろう《SAN値0/1d3》。
アラームが鳴る前に起きたせいか、妹と鉢合わせることはない。ダイニングに行くと、母が朝食を準備しているところだった。
母「あら、お父さんよりも早く起きるなんて珍しい!」
母「どうしたの?顔色が悪いわよ」
あなたのことを心配しながら母は朝食を並べてくれる。しかし、食欲はあまりないようだ。あなたは少し食事を摂るだけで疲れてしまった。母は「無理に食べなくても大丈夫」だと言って温かいお茶を淹れてくれるだろう。
そういえば、22日は変わったのだろうか。そう思い、あなたはテレビをつける。ニュース番組は昨日と変わらない22日が表示され、流星群について注目されている。どうやら何も変わらなかったらしい。あなたは小さく落胆する。
その後、PL1は家を出る準備をしよう。《アイデア》に成功すれば護身用に竹刀を持っていくことを思いつく。学生なら現在進行形で剣道を習っていることにする。社会人なら久々に竹刀をクローゼットから取り出したことにする。剣道部で使っていた竹刀袋に竹刀を入れ、背中に背負う。
《竹刀》
ダメージ1d8(指輪装着で+1)
故障100ファン(破壊)
マフラーを巻かずに家を出ようとすると母がやって来るが、竹刀のことを聞かれる。PL1は母が納得する言い訳を考えよう。言い訳に失敗すれば、竹刀は置いていくよう母に言われるので持って行けなくなる。
【ループ3回目以降(朝)】
《改変成功(1回目)》☆
親友と合流する時間はもう少し遅めだったはずだ。まだ親友はやって来ないだろう。もし、親友と合流する約束が固定化している場合は親友へ合流できないことを連絡しておこう。PL2との約束の場所へ行くと、彼女(彼)は既に待っていた。
PL2「お、今日は早いなPL1。」
PL2「私は今日の計画を練っていたから大丈夫だ。お前こそ昨日は眠れたか?まだ緊張しているだろう。」
PL2「今日は〜〜〜に行くんだったな。移動が大変だろうから自転車を持ってきたんだ。安心しろ、2人乗りの自転車だから違反にはならない。なんだ、変な自転車だと思ったか?これはレンタルしてきたんだよ。」
二人乗りの自転車は青いフォルムの大きな自転車だ。これに乗っていくのは少し恥ずかしいと感じたが、PL2は気にせずに自転車に乗る。彼女(彼)は前の方でハンドルを握り、あなたを待つ。PL2に促されて、あなたは自転車の後ろに乗るだろう。ある程度PL2との会話をしたら改変する現場へ向かおう。
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループ3回目以降(夕)】
《改変成功(2回目)》☆
あなたたちは会話を交わしながら帰り道を自転車で走る。
PL2「これで改変は2回目だ。今度こそ明日が来るかもしれないな。……もし、また22日が来たらここで会おう。」
PL2「それと、あまり無茶はしないでくれ。お前が死ぬ様子を見るのは気分が悪い。」
PL2「明日は水族館だな。…なあ、PL1。お前は水族館に行ったことがあるのか?」
PL2「え?私は……ないな。どういう場所なのかは知っているが…魚が展示されている建物のことだろう?」
PL2「いいか、あくまで私たちは改変のために動いているんだ。遊ぶ暇なんてないからな。」
★水族館を案内する、等のPL2を楽しませようという意図のある発言をした場合は好感度が10上がる。
あなたはいつもの電柱の道で自転車を降り、PL2に別れを告げる。
【ループ3回目以降(夜)】
☆《改変成功(2回目)》
家に帰ると、リコと玄関で偶然鉢合わせる。あれ、こんなことあったかなとあなたが思うと同時に「おかえり」という声が聞こえた。それは間違いなくリコの口から発せられた言葉だ。
リコ「何?そんな変な顔して…」
リコ「ママがご飯できたって、早く行こうよ」
リコの反抗期はいつ終わったのだろう。あなたがリコの態度を不思議がってもリコは身に覚えがないと答える。
リビングに行くと、母親がいつも通り待っていた。料理も会話の内容も変わっていないのに、リコの変化だけには触れない。父親について尋ねると、仕事で帰ってきていないと返される。父親はいつも定時が帰ってくるはずだ。これも全て改変の影響だろうか。その後は家族とある程度会話を交わしてから自室に戻ろう。
《親友との電話イベント》☆
自室に戻ると親友からの着信が鳴る。なぜか出なくてはならないとあなたは思い、電話に出るだろう。電話口からはガサガサという雑音とともに親友の声が聞こえる。
親友「PL1!?無事か!」
親友「お前、大変なことに巻き込まれてるんだろ!?全部…全部思い出した…!」
親友「PL1、あいつの言うことを信じるな!俺は必ず、次こそお前を…!」
親友が何かを言いかけた瞬間、電話はブツリという音を立てて切れた。何が起きたのか分からない。親友は無事なのだろうか。あなたは焦燥感に駆られ、外に出ていく。
夜空には既に満天の星が輝き、もうすぐ流星群が始まるのだと分かるだろう。外は冬の寒さを感じる風が吹き、あなたを凍えさせる。とにかく親友の家に行って安否を確かめよう。あなたは必死に足を動かして走る。親友の家の前に来た瞬間、近くの家から感嘆の声が聞こえた。空を見れば、一筋の光が弧を描いて落ちてくる。あぁ、もう時間切れなのか。あなたは息苦しくなりながら、それでも美しすぎる終焉から目を離すことができなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループ3回目以降(朝)】
《改変成功(2回目)》☆
あなたはハッと目を覚ます。スマホの日付を確認すると、22日と表示され、また抜け出せなかったと落胆するだろう。
《アイデア》→最後の親友の言葉が気になる。誰を信じるなと言ってたのだろう。あなたの脳裏にはPL2の姿が一瞬だけ浮かんだ。
部屋を出ても、妹と会うことはなかった。また改変によって変化が出たのだろうかと不思議に思う。
妹の部屋《目星》→部屋の扉に掛けられている妹の名前のプレートがないことに気づく
妹の部屋を開けると、そこにはダンボールや夏着がしまわれており、倉庫のような部屋になっている。妹の物はおろか、姿さえも見えない。すぐにダイニングへ行くと、驚いた顔をした母親が朝食を並べていた。
母「どうしたの、そんなに怖い顔して」
母「妹…?リコ…?誰よ、それ」
母「あなたはずっと一人っ子でしょ?おかしな子ね」
リコは最初からいなかったことにされているようだ。妹が唐突に消えてしまった現象にあなたは戸惑う《SAN値1/1d3》。それでも、家族との会話はいつも通りだ。逆にそれが異質さを感じさせていた。
【ループ3回目以降(朝)】
《改変成功(2回目)》☆
あなたが家を出ると、目の前に誰かが飛び出してきた。その人物はあなたを強く掴む。
親友「PL1…?PL1だよな!?無事…だったのか…!」
親友「昨日のこと、覚えてるんだよな?俺も…ずっと忘れていたが、昨日の帰り道に化け物に襲われて…」
親友「なあ、これって何なんだ!?なんで俺は死んだのに生きている!?PL1、お前…何か知ってるのか?」
親友は取り乱しているのか、執拗にあなたの肩を揺さぶってまくしてる。あなたが親友を落ち着かせようとしても聞く耳を持たないだろう。その時、親友が突然糸が切れたかのように意識を失って倒れる。その背後にはPL2の姿があった。
PL2「おはよう、PL1。悪い…困っているようだったから少し手荒な真似をしてしまった。」
PL2「なに、こいつもループに気づいただと?………それはおかしいな。お前の親友は改変の現場にはいなかった人間だろう?改変の影響を受けるのは、未来を変えられたものだけだ。」
PL2「お前の妹が消えた…?それも不可解だな。未来が変わっても、そもそもいなかったことにされるだなんて…。変なことを聞くが、お前の妹は本当に存在したんだよな?」
親友がループに気づいたこと、妹が消えたこと。これらの原因は何なのだろうか。もしかしたら、自分たちが改変をしたから世界の理を書き換えてしまったのではないか。あなたは不安に感じるかもしれない。
PL2「PL1、不安になるのは分かるが中途半端に改変してこの世界を放置することはできない。」
PL2「巻き込んでおいてこんな事を言うのは酷だが……私たちは既に引き返せないところまで来てしまった。」
PL2「私たちはけじめをつけるべきだ。この世界の行く末は私たちの手の中にある。責任から逃れるべきではない。……それでも嫌だと言うのなら、もう私はお前に強要しない。私だけでこの現象を解決させてみせる。」
《分岐》
【改変には協力しない】→【バットエンドA】に進む
【最後まで協力する】→【水族館イベント】に進む
━━━━━━━━━━━━━━━
【バットエンドA】
あなたはこれ以上巻き込まれたくなかった。改変がどれだけ恐ろしい行為なのか、それを理解していなかったのだ。
PL2「……そうか、色々とすまなかったな」
PL2はあなたをもう巻き込まないと約束して去っていく。しばらくすると、道の端でのびていた親友が目を覚ます。親友は何も覚えていないのか、呑気に「あれ?俺なんでこんなとこに?」と首を傾げた。これでいいのだ。もうこの世界を変えようだなんて思わない。ループはきっとPL2が食い止めてくれるはずだから。あなたは平凡な日常を取り戻しただけなのだ。
時は過ぎ、今は夜。流星群を見に行こうと親友に誘われたあなたは家に一人でいたくなくて、親友について行くことにした。今はミスミ山を登っている歳中だ。きっと今日も流星群が流れてループするだろうけど。
親友「なあなあ、俺って夢遊病なのかな?」
親友「気がついたらお前の家の前で寝てたってヤバすぎだろ!」
親友は相も変わらず元気な様子だ。あんな事があったのにお気楽な奴だ、と思った瞬間だった。一筋の白い光が弧を描いて空を流れる。
親友「おっ!今のって流れ星じゃねーか!?」
興奮する親友の横であなたは嫌な予感に襲われるだろう。スマホを確認してみると、19時を指している。おかしい、時間があまりにも早すぎる。
親友「どーしたんだよPL1?」
そう親友が尋ねた瞬間、地面が大きく揺れた。戸惑う親友をよそにあなたは町を一望できる場所へ急ぐ。草木を抜けると、見開けた空間へ辿り着いた。親友もあなたの跡を追ってくるだろう。あなたの目の前に広がるのは、街に降り注ぐ大量の隕石だった。
親友「なんだ…これ…。PL1!逃げよう!ここは危ない!」
何故こうなってしまったのだろう。親友があなたに話しかけているが、それさえもよく分からない。世界を改変してしまったからだろうか?それとも、中途半端な状態で投げ出したから?PL2は…無事なのだろうか。
親友「PL1……!」
親友があなたの名前を叫んだ瞬間、何かが頭上に迫ってきているのを感じた。……あぁ、これが死なのか。空を見上げながら、落ちてくる星々を見る。こんなにも恐ろしいものなのに、なぜかあなたは美しく感じた。あなたは前にもこの光景を見た事があるような気がする。そして、親友があなたの腕を掴んだ瞬間、唐突に全て終わりを迎えた。
→【バットエンドA 「終焉の星々」】
・キャラロスト
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループ3回目以降(朝)】
《水族館イベントへ進む》☆
あなたの返事を聞いたPL2は安堵したように微笑んだ。
PL2「うん、ありがとう」
PL2「お前ならきっとそう言ってくれると信じていたよ」
★PL1への好感度が10上がる
PL2「よし、それじゃあ今日は水族館のイルカ……だったな。それを改変しに行くぞ」
PL2「私も家に帰っていろいろ調べてみたんだ。どうやら、イルカはショーの直前に弱り始めたらしい」
PL2「……きな臭いとは思わないか、PL1?」
PL2「何者かがイルカに危害を加えた可能性があるということだ。必ず原因を突き止めるぞ」
PL2はあなたにそう説明すると、電柱の脇に止めていた二人乗り用自転車を持ってくる。
PL2「ほら、早く乗れ!」
あなたはPL2に急かされながら自転車に乗るだろう。
【ループ3回目以降(昼)】
あなたたちはミスミ水族館に到着した。平日だからか人はそんなに多くない。ミスミ水族館はこじんまりとした小さな水族館だが、毎週行われるイルカショーは人気のようで見に来る人は結構いるようだ。
入口でパンフレットを貰ったあなたたちは水族館の構造やイベントの時間帯を知ることができる。
《目星》→イルカショーは15時に始まるようだ。今の時間は10時なのであと5時間だ。
《図書館》→ミスミ町から見える海についての伝説が記載されている。はるか昔、ミスミ町は海のない町だったが隕石の落下で土地が割れて海が現れたらしい。
PL2「よし、PL1。開演時間までに原因を探そう。」
《行ける場所》
・売店エリア
・深海魚エリア
・サンゴ礁エリア
・ふれあいエリア
・巨大水槽エリア
・屋上(イルカショーの会場)
★今回は時間になったら自動的に屋上へ行くようになる。それまでに改変を完了させないとループしてしまう。(1箇所につき1時間経過する)
━━━━━━━━━━━━━━━
【売店エリア】
あなたたちはお土産などが売られている売店エリアへ向かった。午前中だからかほかの客の姿は見えない。レジには目の細い老婆が座っている。
お菓子コーナー《目星》→イルカの形をしたクッキーやチョコレートが売られている。
雑貨コーナー《目星》→海の生き物をモチーフにした文房具やキーホルダーが売られている。
ぬいぐるみコーナー《目星》→ピンク色と水色のイルカのぬいぐるみが売られている。触り心地はふわふわで気持ちいい。
PL2《目星》→雑貨コーナーに置かれているキーホルダーが気になるのか、手に取って見つめている。
《PL2とのイベント》
PL2に話しかけると、慌ててキーホルダーを元の場所に戻す。見ていたのはイルカのキーホルダーだったようだ。
PL2「な、なんだPL1!何か収穫はあったのか?」
PL2「え?これがイルカなのか?なぜイルカがこんな珍妙な色合いをしているんだ」
PL2「私はこんな生き物がいたのかと不思議に思って…まあ、可愛らしいとは思うが…」
キーホルダー《目星》→イルカのキーホルダーは金属出てきた物のようだ。ピンク色と水色の2種類がペアで売られている。
★このキーホルダーをお揃いで買おうと提案するとPL2の好感度が10上がる。《貴重なアイテム》としてイルカのキーホルダーが追加される。
レジにいる老婆に話しかけると、老婆は眠そうな声で答える。
老婆「はいはい、なんでしょうか?」
老婆「キーホルダーね、1個300円です。」
老婆「え?イルカの様子について?そうねぇ、イルカじゃないんだけど最近はお魚さんたちの元気がないんですよぉ。なんででしょうかね?寒いからですかねぇ?」
老婆「それよりも若いっていいねぇ。今日はデートでしょう?いいわねぇ、若いって素敵ねぇ。」
【深海魚エリア】
ここは深海魚が展示されているので、照明が少なく暗いエリアになっている。目星に-20の補正。また、スマホなどの明かりのつくものを使おうとすると警備員に注意されてしまう。
PL2「暗くて不気味だな…PL1、足元に気をつけろよ。」
水槽《目星》→深海魚が水槽の中でゆっくりと動いている。
スタッフ専用扉《目星》→固く鍵が掛かっている。しつこく調べていると警備員に注意される。
スタンプラリー《目星》→スタンプラリーのイベントは終了しているのか、乾いたインクの付いたスタンプだけがぽつんと机の上に放置されている。
PL2「……ここに手がかりはないようだな。」
【サンゴ礁エリア】
明るい照明に照らされた透明感のある水槽が並んでいる。その中には美しく輝くサンゴ礁の姿も見えるだろう。
水槽《目星》→小さな魚が見える。《知識》に成功すると、それがクマノミだと分かる。
クマノミ《目星》→サンゴの中でじっとしている。あまり元気がないようにも見えるだろう。
ベンチ《目星》→ベンチの上に誰かの忘れ物なのか、本が置いてある。表紙には「夢十夜」と書いてあるようだ。
「夢十夜」第1夜
こんな夢を見た。
腕組をして枕元に坐っていると、仰向に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。女は長い髪を枕に敷いて、輪郭の柔らかな瓜実顔をその中に横たえている。真白な頬の底に温かい血の色がほどよく差して、唇くちびるの色は無論赤い。とうてい死にそうには見えない。しかし女は静かな声で、もう死にますと判然はっきり云った。自分も確かにこれは死ぬなと思った。そこで、そうかね、もう死ぬのかね、と上から覗ぎ込むようにして聞いて見た。死にますとも、と云いながら、女はぱっちりと眼を開けた。大きな潤いのある眼で、長い睫に包まれた中は、ただ一面に真黒であった。その真黒な眸の奥に、自分の姿が鮮やかに浮かんでいる。
自分は透きとおるほど深く見えるこの黒眼のつやを眺めて、これでも死ぬのかと思った。それで、ねんごろに枕の傍へ口を付けて、死ぬんじゃなかろうね、大丈夫だろうね、とまた聞き返した。すると女は黒い眼を眠そうにみはったまま、やっぱり静かな声で、でも、死ぬんですもの、仕方がないわと云った。
じゃ、私の顔が見えるかいと一心に聞くと、見えるかいって、そら、そこに、写ってるじゃありませんかと、にこりと笑って見せた。自分は黙って、顔を枕から離した。腕組をしながら、どうしても死ぬのかなと思った。
しばらくして、女がまたこう云った。
「死んだら、埋めて下さい。大きな真珠貝で穴を掘って。そうして天から落ちて来る星の破片を墓標に置いて下さい。そうして墓の傍に待っていて下さい。また逢いに来ますから」
自分は、いつ逢いに来るかねと聞いた。
「日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう、そうしてまた沈むでしょう。――赤い日が東から西へ、東から西へと落ちて行くうちに、――あなた、待っていられますか」
自分は黙ってうなずいた。女は静かな調子を一段張り上げて、
「百年待っていて下さい」と思い切った声で云った。
「百年、私の墓の傍そばに坐って待っていて下さい。きっと逢いに来ますから」
自分はただ待っていると答えた。すると、黒い眸のなかに鮮やかに見えた自分の姿が、ぼうっと崩れて来た。静かな水が動いて写る影を乱したように、流れ出したと思ったら、女の眼がぱちりと閉じた。長い睫の間から涙が頬へ垂れた。
――もう死んでいた。
PL2に本の内容について尋ねると、「百年、お前は愛する者のためにずっと同じ場所で待てるか?」と聞かれる。あなたが頷くと、PL2は悪戯っぽく笑って「千年でもか?」ともう一度尋ねる。あなたがそれでも頷くと、PL2は悲しそうな顔で口元を緩ませて「そうか」と返すだろう。
★PL1が待つと答え続けると好感度が10上がる。待てないと答えると好感度が10下がる。
【ふれあいエリア】
天井窓のついた場所で日が差しているエリアだ。浅い水槽のそばには飼育員の女性が立っている。あなたたちが水槽に近寄ると、「ふれあいイベントをやっています!どうです?海の生き物に触ってみませんか?」と聞かれるだろう。PL2はとても興味深そうに水槽を見つめている。水槽の中にいるのはナマコとヒトデのようだ。
《PL2とのイベント》
あなたが参加に承諾すると、飼育員の女性が優しくヒトデに触れてみるよう案内する。PL2は何食わぬ表情でヒトデを触る。
PL2「軟体生物だからぐにゃぐにゃしているな。だが、表面はゴツゴツしていて少し硬いな。」
PL2「なんだ、お前は苦手なのか?」
★PL2とふれあいイベントに参加すると好感度が10上がる。
《アイデア》→飼育員ならイルカについて知っているのではないかと思う。少し聞いてみよう。
飼育員の女性「イルカのことですか?うーん…特におかしいところはないと思いますよ?」
飼育員の女性「私はイルカの担当ではないので、詳しいことは知りませんが…何か気になることでも?」
飼育員の女性「イルカについて聞きたいなら、巨大水槽エリアにいる飼育員の方が詳しいですよ。そのエリアの担当をしている方がイルカの面倒も見ているので。」
PL2「飼育員に聞くのが早いと思うが、私たちのような一般人が踏み込んだら怪しいだろう。」
PL2「海洋生物について研究している学生…というていで聞いてみてはどうだろうか?」
PL2「何か事情に踏み込める良い考えがあれば教えてくれ。」
【巨大水槽エリア】
大きな水槽がエリア一面に張り巡らされている。その中には様々な種類の魚が見えるだろう。
水槽《目星》→イワシの群れがバラついて泳いでいる。
魚の説明文《目星》→何種類かの魚が休養中で表に出ていないようだ。
PL2「イルカだけではなく、他の魚も弱っているようだな…。」
★ふれあいエリアで飼育員の話を聞いていれば、目的の飼育員を探すことができる。
エリア全体《目星》→何かを探しているのか、エリアの隅でキョロキョロしている飼育員の女性を見つける。胸に着けている名札には「浜辺」と書いてある。
浜辺「はい、何でしょうか?え、何を探しているのか…ですか?実は鍵をなくしてしまって…」
浜辺「このエリアでしばらく仕事をしていたので、ここに落ちているとは思うんですけど…」
浜辺「手伝ってくださるんですか?ありがとうございます…!あ、私は浜辺と申します!」
★浜辺にイルカのことについて聞こうとしても、鍵探しに夢中で聞くことができない。
巨大水槽エリア《目星》→鍵らしいものは見当たらない。
PL2「見つからないな…ここには無いんじゃないのか?」
エリア《聞き耳》→どこからかチャリンという音がした気がする。
音の元《聞き耳》→浜辺からこの音は聞こえるようだが…。
浜辺《目星》→浜辺の腰に鍵が引っかかっている。
浜辺「え!?私の腰に…?あ、ありました…!すみません…こんな所にあったなんて…お恥ずかしい…!!」
浜辺「あなた方のお陰でショーに間に合えそうです!ありがとうございます!」
浜辺「え?イルカの様子についてですか?……やっぱり分かります?私も変だと思ってるんですよ。」
浜辺「何が原因なんでしょうかね…。もしかして、あなた方はそれについて調査を?」
あなたたちの事情を聞いた浜辺は協力的な様子でイルカショーの会場まで案内してくれる。
★《説得》か《信用》で浜辺はあなたたちの言い分を信じてくれるだろう。
【(屋上)イルカショーの会場】
《浜辺がいない場合》
まだ準備中なので水槽には何もいない。作業員がベンチの清掃をしているようだ。作業員は若い茶髪の女性だと分かる。
作業員「え?まだ開演前っすよー。」
作業員「イルカについて?知らないっすよ、自分ただの清掃バイトなんで。」
作業員「浜辺さんに聞いたらどーっすか?さあ?どこにいるのかは知らねぇっすけど、イルカショーの前にはここにいるっすよ。」
《浜辺がいる場合》
浜辺はあなたたちを水槽まで連れてくる。水槽はイルカショーに適した大きな物だ。水は濁っておらず、とても澄んでいることが分かるだろう。
浜辺「何が問題なんでしょう?食事にも気をつけているんですけど…。」
《目星》→水槽におかしなところはない。
《聞き耳》→水の匂いにおかしいところはない。
《知識》→イルカは適した環境でいないと弱ってしまうことを知っている。
浜辺「環境ですか…?イルカ同士の喧嘩もないし、訓練も無理せず行っているんですが…。」
浜辺「やっぱり訓練のせいなんでしょうかね?」
浜辺「水槽も問題ないと思うんですが……。」
浜辺「ショーの水槽ではなく、イルカたちが普段泳いでいる水槽に問題があるとか…?」
浜辺の言葉であなたたちはイルカが飼育されている水槽へこっそり通してもらうことになる。スタッフ専用入口に案内され、あなたたちは少し薄暗い通路を通るだろう。
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【イルカの水槽】
通路を抜けると、イルカが何匹か泳いでいる水槽へと出る。ショーの水槽よりも少し大きめで、深さもあるようだ。
イルカ《目星》→普段通りにも見えるが、数匹は漂うにして静かに泳いでいる。
水槽《目星》→深さがあるので、濃い青色をしている。おかしいところがあるのか目視では分からない。
浜辺「やっぱり、おかしい所なんて分からないですよね…。いつもこの子達の面倒は見ているはずなのに…。」
あなたたちがそう話していると、スタッフ専用の扉から人の話し声が聞こえてくる。他のスタッフに見つかると面倒なので、浜辺はあなたたちを連れて物陰へ隠れる。
★浜辺がいるので技能は必要ない。
女の声「先輩、マジで疲れたっすねー」
男の声「清掃バイトは楽でいいだろ。こっちはデカい水槽掃除しなきゃいけねぇからな。」
《目星》→若い男女の作業員が談笑しているようだ。その手にはタバコを持っている。
女の声「あ、自分そろそろ行かなきゃなんで。先輩も早く戻らないとまた怒られるっすよ。」
男の声「うるせぇな、もう一服してから行くわ。」
女性が出ていったあと、男性がポケットから新しいタバコを取り出す様子が見える。
《目星》→箱から出てきたもう一本のタバコが水槽の中に落ちてしまった。
しばらくカチカチとライターをつける音がするが、上手く火がつかないのか男はイライラしているようだ。
男の声「あ、くっそ。マジでついてねーな…もういいか。」
男は舌打ちをすると、扉から出ていった。浜辺は様子が見えていなかったのか、安堵した表情で物陰から出てくる。
浜辺「ふう、焦りましたね…。」
浜辺「えっ!?タバコが水槽に…!?大変!早く取り除かないと、イルカが食べてしまうかも……!」
《探索イベント》☆
PL1は《目星》でPL2を補助し、タバコのゴミを水槽から見つけ出そう。だが、水槽にはイルカがいて探すことが困難なので何かしらの道具や方法で補正を与えるものとする。PL2はひたすら《水泳》でターンが進まないようにする。失敗した場合はターンが進んでしまう。5ターン過ぎてしまうと、イルカがタバコを誤飲してしまうので気をつけよう。
PL2「泳ぎは得意なんだ!PL1、お前はゴミを見つけろ。私が拾いに行ってやる。」
道具置き場《目星》→フラフープやボールがある。ボールを使えばイルカの気が引けるかもしれない。
ベンチ《目星》→ゴーグルがある。これで水中を探すことができるかもしれない。
ウェットスーツ置き場《目星》→水中用の小型懐中電灯が置いてある。これで水中を探すことができるかもしれない。
水槽《目星》→水槽のそばに魚の入ったバケツが置いてある。これでイルカの気が引けるかもしれない。
掃除用具入れ《目星》→なぜか足ひれ(フィン)が入っている。これで水中に潜りやすくなるかもしれない。
★浜辺に助けを求めると、一緒に探してくれる。浜辺は口笛を吹いてイルカを1箇所に集めてくれるだろう。
★《イルカの気を引く、水中を目視できる、水中に潜ることができるようになる》と成功イベントへ進む。
《失敗イベント》
しばらく水中に潜っていたPL2が戻ってこない。不安に感じたあなたがPL2の名を呼ぶと、目の前が眩んでいくだろう。まともに立っていられず、視界がぼやける。背後から浜辺の「危ない!」という声が聞こえた瞬間、あなたは水槽の中に落ちていった。
→【ループ3回目以降(朝)】《水族館イベント》へ進む
《改変完了③》☆
PL2「あったぞぉ!」
高らかに叫びながらPL2は水面から勢いよく顔を出す。その手にはふやけたタバコが握られていた。
浜辺「本当に助かりました…!ありがとうございます!」
浜辺はあなたたちに感謝を伝えると、安堵したようにほっと一息ついた。イルカたちはあなたのそばでクルクルと泳いでいる。
浜辺「後であの子たちには厳重に注意しておきます…!館内では喫煙禁止だと!」
気の抜けた表情の多い彼女だったが、今回ことは許せないのか険しい顔をしている。すると、近くにいたイルカたちが鳴き声をあげながら集まってきた。
浜辺「あ、私の声に反応したんですね…。すみません、取り乱してしまって。イルカたちもありがとうと言っていますよ!」
イルカはヒレをバタバタと振ると、また水中へと潜って行った。そんな様子を見ていると、ジャージ姿のPL2が帰ってくる。シャワーと着替えを貸してもらったようだ。
PL2「流石にびしょびしょで帰る訳にはいかないからな。」
ある程度会話を交わしていると、館内放送が鳴り響く。そろそろイルカショーが始まるようだ。あなたたちは浜辺にぜひ見に来て欲しいと誘われ、イルカショーを見物する。本当はこの日に行われていなかったはずのショーだ。観客は朝と比べて増えており、皆楽しげな表情を浮かべている。そして、あなたの横にいるPL2も感心した様子でショーを眺めていた。
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【ループ3回目以降(夕)】
《改変完了(3回目)》☆
あなたたちは数日間の出来事について話ながら自転車を押して帰っている。のんびりとした涼しい夕方だ。
PL2「これで改変は3回目だな。あ、そうだ。また変化が起きたかどうか調べてみよう。」
あなたがスマホで調べてみると、流星群の予測時間が21時になっていた。これで予測時間が3時間早まったことになる。
PL2「また流星群か…。他に大きな変化はないのか?」
PL2「そうか、ないのか…。もっと別の事件を改変した方がいいのだろうか?」
《図書館》→ミスミ神社の神主が階段から落下して病院に運び込まれたというニュースを見つける。
PL2「む、それは本当か!?大きなニュースかどうかは分からないが…改変できるかもしれないな。」
あなたたちが会話をある程度交して電柱の道まで進むと、人影がいることに気づく。その人物はあなたたちの前に塞がるようにして現れた。
親友「……PL1、話したいことがある。」
それはあなたの親友だった。朝とは違って落ち着いているようだ。すると、PL2が警戒した様子で答える。
PL2「PL1に何の用なんだ?」
親友「………お前なんだろ、PL1を変なことに巻き込んで……俺を毎回殺しに来ていたのは。」
PL2「何を言っているのかサッパリだな。」
親友「騙されるなPL1、こいつは人間じゃない。俺の言っていることが分かるだろ?この世界は何度も繰り返されて、俺はその度に殺されている。そう、この化け物に!なんで今まで忘れていたんだろう…!PL1、こいつから離れるんだ。」
PL2「馬鹿なことを。私はどこからどう見たって人間だ。それに、PL1とは協力しあってきたんだぞ。お前の言葉なんかに耳を貸すわけがないだろう。」
親友「PL1!お願いだ、信じてくれよ!」
PL2「お前は私の言うことを聞いてくれればいい。何も考える必要なんてないんだ。……そうだろう?」
《分岐》
PL2は今までとは違う冷ややかな表情を浮かべている。親友は必死な顔であなたに縋るだろう。あなたはどちらの言葉を信じるべきだろうか。
【PL2を信じる】→《PL2ルート》へ進む
【親友を信じる】→《親友ルート》へ進む
【PL2ルート】
★PL1への好感度が10上がる。
あなたはPL2の言葉に頷く。PL2は安心した目で微笑んだ。
親友「PL1……ダメだ、そいつは危険なんだよ!今すぐ離れろ!」
親友がそう言ってPL2に掴みかかろうとした瞬間、PL2が静かに手をかざした。刹那、親友の体が弾けるようにしてバラバラに砕け散る。その鮮血は周囲に飛び散り、あなたにも掛かるだろう。目の前には血溜まりと親友だった肉塊が落ちているだけだった《SAN値1d3+1/1d10+1》。
PL2「……あぁ、すまない。少し、気性が荒くなってしまった……。許してくれるよな?」
PL2「なんだ、その顔は。お前は私を信じてくれるのだろう?これはお前の選択の結果なんだぞ。」
PL2「……お前は私を化け物だと思うか?」
★PL2に対して敵対的な態度をとると、好感度が30下がる。
PL2「………PL1、もう潮時みたいだな。」
PL2はそう言うと、悲しそうな顔で自転車を手放す。自転車はガシャリと音を立てて血溜まりに倒れた。そして、PL2があの日指輪をつけてくれたようにあなたの手を取ると、ゆっくり跪いた。まるでプロポーズでもするような姿勢だ。あなたはPL2の行動に頭が追いつかず、混乱したまま固まるだろう。PL2は構わずに言葉を続ける。
PL2「明日になれば全て終わるだろう。……PL1、変なことを聞くが…私のことが怖いか?」
★ここは何を答えても好感度に変動はない。
PL2「……いいんだ、私のことをどう思っていても。ただ、もう残された時間がない。……明日、ミスミ神社で待っているぞ。お前が来てくれると信じている。」
PL2はそう言うと、あなたの手を離して立ち去っていく。倒れた自転車はそのままで、その場には血の滴る音が静かに聞こえるだけだ。あなたは呆然としたまま帰路に着く。
━━━━━━━━━━━━━━━
【親友ルート】
あなたが親友の言葉に頷くと、PL2は自転車を支えていた手を離した。自転車はガシャリという音をたてて倒れる。
PL2「………PL1…。お前は……いや、いいんだ。いつかはこうなると分かっていた。」
PL2はそう言うと、あなたへと近づく。親友は警戒してあなたを守るように手を広げて立ちはだかる。
親友「もうPL1に関わるな!」
PL2「……本当に貴様は不快だ。お前の存在が妨げになると思っていたから、手を加えていたのに……。」
PL2は眉間に皺を寄せ、唇を噛み締めるとあなたの方を見た。あなたがどんな表情でPL2を見ていても、彼女/彼は変わらずに優しい目であなたを見つめる。
PL2「安心しろ、明日になれば全て終わらせられる。その時は……また、明日話すか。色々と怖い思いをさせて悪かったな、PL1。ミスミ神社で待っているぞ。」
そう言うと、PL2は自転車をそのままにして去っていった。PL2が去っていったあと、親友は安心したように息を吐いてその場に座り込む。
親友「はあぁ…怖かった……!あいつ、俺のこと殺す気満々だったよぉ…!ってか、PL1はこの状況把握してんの?」
親友に質問をすると、この数日間何があったのか答えてくれる。どうやら親友は流星群を見に行こうと外に出たとき、毎回何者かに追われて殺されていたらしい。
親友「人の姿をしている時もあれば、なんて言うか……マジで化け物!って感じで追いかけてくる時もあってさ。人の姿はあいつだってことを思い出したんだよ。」
親友「化け物の姿?んーとな、すごいデカくてキモくてこえー感じ!もう、すごい化け物!」
親友「ループにはミスミ山に逃げている最中に気づいた感じかな。その前からあれ?って思うことはあったけど…。」
親友「というか、あいつとPL1ってどーゆー関係?協力とか言ってたけど…。」
親友「なるほどな…お前の現状も大体掴めた。要は、この世界は何か手を加えて未来を変えると、パターン?っていうか…ルール?っていうか……摂理?的なのが変わる感じ?難しすぎてよく分かんねー!ややこしくねーか!?」
親友「とにかく、明日はミスミ神社に行くんだろ?俺も着いてく。てか、絶対ついて行かせろ。あの激ヤバ野郎をぶっ飛ばして知ってること全部吐かせてやる!」
ある程度親友との会話を終えたら、暗くなってきたので家に帰ろうという話になる。親友はしつこく「気を抜くなよ!自己防衛しろ!」とあなたに忠告すると、走って帰って行った。あなたも帰路へ急ぐだろう。
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループ3回目以降(夜)】
★返り血をつけて帰ってきた状態でも、両親はいつも通りの様子で「おかえり」と声をかける。
リビングへ行くと、テレビでは流星群の様子が生放送で映っていた。時計を確認すると時刻は20時59分を指している。こんなにも時間が経つのは早かっただろうか。そんな事を思いながら、ぼうっとテレビを見る。
アナウンサー「あっ!見えてきましたよ!流星群です!」
アナウンサーの歓喜の声とともに、アップで映し出される白い一筋の光。それは空に弧を描きながら流れていく。
《天文学》→ふたご座流星群だ。だが、ふたご座流星群が見えるのは12月からのはず。
《アイデア》→そういえば、ふたご座流星群が見たくて親友と見に行く約束をしていたはず。……それはいつの記憶だったっけ。
あなたが違和感を感じた瞬間、テレビの画面が大きな音ともに割れた。それは超常現象のようなものに破壊されたようで、煙をあげたままバチバチと火花を散らせている。何が起こったのかと瞠目していると、天井がミシミシという音を立てながら縮んでいくことに気がつくだろう《SAN値0/1d3》。
このままでは押しつぶされてしまう。あなたはそう思い、慌てて部屋から逃げようと扉に手をかけるが、それはビクともしない。押しても引いても動かず、まるでコンクリートで固められたかのようだ。ベランダの方へ走っていくが、ベランダの扉も開かない。手元にあった椅子を持ち上げ、思い切り放ってみても、ガラスが割ることはないだろう。
何もできず、あなたは絶望して天井を見上げる。それは勢いよくあなたの頭上へと落下し、あなたを押し潰した。
★もし、押しつぶされた経験があるなら《アイデア》を振る。
《アイデア》→天井が落ちてきたというよりも、硬い金属のようなものが落ちてきた感覚に近いと感じる《SAN値0/1d3》。
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループ最終日(朝)】
あなたは自室のベットで目を覚ます。最後に見たのは天井が落ちてくる光景だった…。なぜかとても既視感のある光景だった気がする《SAN値1/1d3》。
スマホの画面を確認すると、変わらない11月22日の表示。妹の部屋も倉庫部屋のままで、妹の姿もない。リビングまで降りていくと、今度は両親の姿もなかった。あなたは両親を探すかもしれないが、やはりどこにもいない。
《目星》→棚の上に飾っていた家族写真が全て無くなっている
テレビをつけると、アナウンサーが静かな声で流星群の話をしている。予測時刻は20時だと告げたあと、アナウンサーの男はあなたの方をじっと見つめた。
アナウンサー「では、20時にミスミ神社で会いましょう。」
そう言うと、プツリと音を立ててテレビの画面が消える。あなたがもう一度テレビをつけようとしても、テレビは動かず暗い画面のままだ《SAN値0/1d3》。
【ループ最終日(朝)】
あなたが家での不可解な現象に困惑しながら玄関を出ると、外にも覚えるのある人物が立っていた。
親友「お、PL1。おはよ!…って顔色悪いな。大丈夫か?」
★親友が死ぬ現場を見ていた場合、親友が無傷で生きている様子を見て驚く《SAN値0/1d3》。
親友「なんだよ、死人でも見るよーな顔して……って実際死んでたか。」
親友「お前、これからあいつのとこに行くんだろ?俺も着いてくからな。その為に朝からここで待機してたんだからよ。え?朝の5時ごろから…かな。別に2時間待つくらいフツーだろ!異常事態なんだからよー!」
親友はそう言うと、あなたにヘルメットを投げ渡す。よく見ると、家の前にはバイクが1台停めてあった。親友が持ってきたのだろう。
★18歳未満だった場合は自転車になる。
親友「なんだよ、バイクくらい免許持ってるから安心しろって!」
親友「ミスミ神社って遠いだろー。俺のスーパードライビング術でチャチャッと走ってやるよ!」
そういうと、あなたを後ろの方へ乗せてバイクを走らせる。バイクを走らせている間、町中は誰もいなくなったかのように静かで、人の姿も見えないだろう。親友も不安そうなあなたに声をかける。
親友「朝からずっとこうなんだよ。俺ん家は共働きだからいっつも誰もいねーんだけどさ…町もこんなんで…ちょっと気味がわりーよな。」
親友「なあ、もしループが終わったらどーなると思う?元の世界に戻れるって本気で思うか?俺は…よく分かんねーや!とりあえずあいつだけはムカつくからぶっ飛ばす!…ってPL1のダチだったか。じゃあぶっ飛ばすのはやめとくわ…。」
そんな会話を交わしながらしばらくすると、ミスミ山が見えてくるだろう。この山の頂上にミスミ神社がある。あなたたちは山の入口付近にバイクを停めて、山道を登り始めるだろう。
【ループ最終日(昼)】
昼のミスミ山は明るいが、木々に阻まれて影が多い道になっている。あなたたちは石階段をのぼりながら道印通りに進んでいく。11月だというのに、葉は青々としていて夏の森林を思わせる。
親友「なあ、ちょっと変なこと聞いてもいいか。」
親友「この世界って本物じゃねーような気がするんだよ。……言ってる意味、分かるか?」
親友「この世界だけじゃなくて…俺も本当はこの世界に作られた偽物なんじゃねーかなって。そう、思う時があるんだ。」
あなたが親友をフォローするような発言をした場合、親友は眉を下げて力なく笑う。「そうだといいな。」とどこか他人事の親友に普段からの活発な印象は感じとられない。あなたたちは何とも言えない雰囲気になりながら頂上へとたどり着く。ミスミ山はそこまで高い山ではないので、30分ほどで神社に到着するだろう。
【ループ最終日(昼)】
《ミスミ神社》☆
ミスミ神社の入口には大きな朱色の鳥居が建っている。あなたたちが鳥居をくぐって神社へ入ると、両脇に狐の像と手水舎が見えるだろう。参道に繋がる左の道は社務所に続いているようだ。奥には拝殿と本殿が見える。
【鳥居】
朱色の立派な鳥居だ。古いしめ縄が飾られている。
《目星》→鳥居の柱には「御簾見神社 千十四年 神子之御加護賜」と刻まれている。かなり古い彫り物のようだ。
【手水舎】
木製の古い手水舎だ。水は澄んでおり、触れると冷たい。柄杓が立てかけられているようだ。
親友「神社に入る時は身を清めなきゃいけないらしーぞ!ここで手を洗っておこうぜ!」
★手を洗うと心が落ち着き、SAN値が1d3回復する。
《目星》→柄杓の裏に文字が見える。「御簾見神社」と書かれているようだ。
《聞き耳》→水は山から流れているのだろうか、すっきりした香りがする。
【狐の像】
古く苔の生えた狐の像だ。両脇とも目を細めた顔をしており、首には赤い布を巻き付けている。
【社務所】
社務所には鍵がかかっているようだ。木造の古い建物で、こじんまりとしている。声をかけても誰も出てこない。
《目星》→扉の下の隙間に紙が挟まっている。紙には「暫く留守にしております。」と書かれており、神主は留守にしているのだろう。
【拝殿・本殿】
木造の小さな拝殿と本殿だ。拝殿と本殿は繋がっており、手前に賽銭箱を備えた拝殿、奥には御神体だろうか。何かが扉の中に納められているようだ。
賽銭箱《目星》→小銭が入っている。至って普通の賽銭箱だ。
拝殿全体《目星》→全体的に古い拝殿だと分かる。特におかしいところはない。
本殿全体《目星》→何か神秘的な雰囲気を感じる。天井には紫色の布が飾られている。
《聞き耳》→古い木材と埃の匂いがする。いい匂いとは言えないだろう。
奥の扉《目星》→遠くからでは扉があることしか分からない。しかし、中に踏み入るのは罰当たりだと思う。
★本殿の中に入ろうとすると親友から止められる。
【ループ最終日(昼)】
あなたたちが神社を調べていると、《聞き耳》で階段を上る足音が聞こえるだろう。鳥居の方には和装束を着た神主と思われる老人が立っている。
神主「おや、こんなところに若い方が来るとは珍しい。」
そして、神主はPL1の姿を見ると、目を見開いて驚く。狼狽えながら後ずさり、「お戻りになられたのですか」と言って深々と頭を下げるだろう。
親友「え、何!?PL1はこのじーさんと知り合いなのか?」
もちろん、あなたはこの神主のことを知らない。ミスミ神社に訪れたのも今日が初めてのはずだが。あなたがそう言っても、神主は首を振ってあなたの顔をじっと見つめる。
神主「間違いなどではございません、あなたは神子様でしょう。ああ、約束は果たされたのですね…。」
神主は感極まっているようで、あなたの手を握りしめて涙を流す。すると、親友が困惑しているあなたを見兼ねて間に割って入った。
親友「お、おい!じーさん!ボケてんのか?そいつのこと神子とか何とか言ってるけどよ、こいつはPL1だ。あんたの知り合いなんかじゃねーだろ。」
神主「いえ、この方は高貴なるお方です。再会をどれほど待ち望んだことでしょう、スズ様…!」
《アイデア》→神子、スズという名を聞いてあなたはこれがミスミ町に伝わる1000年前滅んだ神子の末裔だということを思い出した。
神主はあなたに感激の言葉を何度も伝えたあと、社務所でくつろいで行くように案内するだろう。あなたたちは戸惑いながらも、神主が何かを知っている可能性が高いと思ってついて行く。社務所の中は古い木材と畳の匂いが篭っており、11月にしては湿度が高く感じる。畳の小さな部屋に入ると、神主はあなたと親友に座布団を用意してくれるだろう。すぐにお茶を用意すると言って神主は席をしばらく外す。
親友「……なあ、あのじーさんと知り合いなのか?」
あなたは神主との面識はないと思うだろう。あの老人の顔はおろか、名前だって知らない。そう答えると、親友は考え込むように腕を組んで唸る。少し頭の整理が必要なようだ。そんなことを話していると、神主が戻ってくるだろう。丸い盆に湯気の立ちのぼる緑茶を2杯のせて運んできた。
神主「お待たせして申し訳ないです。それと、先程のご無礼をお許しください。」
神主はあなたの方を見て謝ると、あなたたちの前に茶を置いた。茶は温かくて美味しい、どこにでもある緑茶だ。
親友「あのよ、さっき言ってた神子って何なんだ?」
あなたか親友が神主に質問をすると返してくれる。ここからは神主に色々と質問をしていこう。
神主「あなた方は神子様の伝承を知っておりますな?」
神主「少し長くなりますが…どうか、この老いぼれの昔話を聞いてくださいませ。」
神主「1000年も前の話でございます。ミスミ村は神と契りを交わす血筋である神子様を祀っておりました。神子の血は、予言の…流星群の流れる夜に当主の神子が亡くなり、そして産まれた赤子が世継ぎというしきたりでした。」
神主「そして、最後の神子として産まれたのがスズ様でございます。スズ様はそれはそれは優しいお方で……村を荒らす物の怪に改心を呼びかけ、村を平穏に保っていました。」
神主「しかし……そのようなやり方を気に入らない連中もいたのでしょう。そもそも、村の長として神子の血を継ぐものが選ばれていたことに腹を立てていたのかもしれません。神子様が人間に危害を加えられないことを知っていて彼等は………。」
そこまでいうと、神主は押し黙ってしまった。神子について書かれていた本には、神子は物の怪に敗れたと書かれていたはずだ。あなたは歴史書との食い違いに違和感を抱く。
神主「それはそうです。神子様についての書物は殆どが捏造された物なのです。神子様は確かにお強い方でしたが、命を奪いつくような方ではなかった……。」
神主はそう言うと、力なく項垂れる。神子の最期だけでなく、その生き方さえも書き換えられてしまったことに無力感を感じているのだろう。
親友「ちょ、ちょっと待ってくれよ!1000年も前の話なんだろ?なんでじーさんがそんな昔の話を知ってるんだ!?」
ここで神主の話を遮るように親友が質問をする。PL1が先につっこんでいた際は親友も同意するように頷くだろう。その問いかけに、神主は優しく微笑むと静かに目を閉じる。
神主「それは……わたしくめが、1000年前…スズ様に命を救ってもらった異形だからです。」
そう言って再び目を開いた神主の目が黄色くなってとり、瞳孔は魚のように細長く変形していた。さらには肌の表面に薄らと鱗が現れ、青白くなっている。神主の姿は人と魚を足したかのような見た目に変化したのだ《SAN値0/1d3》。
神主「驚かせてしまってすみません。私の本当の姿はこのような醜い化け物なのです。……しかし、スズ様は他の村人たちと同じように豊かな暮らしを与えてくださった。人間を理解出来なかった私に、優しく言葉をかけてくれたのです。」
そう言う神主は、懐かしそうな顔でPL1を見つめる。その目をあなたは知っている。PL2が時々、あなたのことをそんな目で見つめていたのだ。
親友「なあ、じーさん。俺たち今、困ってるんだ。じーさんはこの世界が変だってこと分かんねーか?」
神主「ええ、分かりますとも。しかし私にはどうにもできない事象でございます。スズ様にしか…解決できぬことでございますゆえ…。」
親友「いや、でもさ!じーさんの言ってるスズさんって人は1000年前に死んでるんでろ?ここにはいないんだよ。」
神主「スズ様はいらっしゃるではないですか。」
そう言って神主はPL1のことを見る。あなたには神子のこともこの神主のことも分からない。人違いをしているのだろう。
親友「だから!こいつはPL1!スズさんじゃねーってば!そんなにスズさんとPL1は似てんのか?」
神主「似ているなど…そんな次元ではございません。何よりも、あなた様の身につけている指輪が証拠でしょうに。」
神主のその言葉であなたはハッと指輪を見る。PL2に貰った金色の指輪だ。お守りとして身につけていたが…これの何が証拠になるのだろう。
親友「え?PL1のつけてるそれ…ってなんだ?そんなのつけてたか?」
神主「それは神子の血筋しか身につけられないものです。普通の人間がつけたりなどすれば……耐えきれないほどの呪いにより身が朽ちて、輪廻の輪に還ることもできぬとか…。」
親友「はあ!?なんじゃそのこえー話!?PL1、だ、だ、大丈夫か!?死んでないか!?おい!」
神主「だからその指輪に耐えられている時点で神子の血が流れていることは確実なのです。」
★指輪を外そうとすると、外れないことが分かる。一度身につければ呪力が尽きるまで外れないらしい。
親友「それで、俺たち何とかしてぇんだけど……なんか、ヤベー奴に目付けられててさ。じーさんならなんか知ってんじゃねーか?」
神主「ふむ……あなた方の事情は何となく察しました。……と言っても、老いぼれは何もできませぬ。現状を打破できるのはあなた方のみ。つまりは、あなた方次第なのです。」
神主はそう言うと、立ち上がってあなたたちに着いてくるよう手招く。あなたたちがついて行くと、本殿へと入っていくようだ。入ってもいい場所なのかと戸惑っていると、神主の呼ぶ声が聞こえる。あなたたちは慌てて本殿の中へと入った。
【ループ最終日(昼)】
《本殿》☆
神主はボロボロになった木の扉の前に立っている。それは仏壇ほどの大きさの縦長の箱になっており、扉に鍵がかかっている様子はない。
神主「この中に納められているのは、代々神子の人間に引き継がれている『悠久無限の太刀』。その身は朽ちることなく、永遠の輝きを放つ太刀です。扉も、神子の血を持つものでないと開きません。」
神主はそう説明すると、「さあ、手にお取りください。きっとあなた様の力になります。」と扉を開くように手で示す。親友はあなたのうしろで不安げに様子を伺っている。
あなたが決心して扉に手をかけると、バチリと静電気のような痛みが指輪をつけていた手に伝わる。そして、目の前がグラグラと歪み出し、時空が乱れるかのように意識が混濁していく。あなたの脳内にあるはずのない、莫大な記憶や知識が流れ込んできて頭がおかしくなりそうだ《SAN値1/1d5》。
《神子の記憶》☆
そうして、やっと意識が落ち着いてきたとき、ふと自分の立っている地面が木造の床でないことに気づく。なぜか更地のような土の上に立っているのだ。
あなたがここはどこなのだろうと周りを見渡していると、遠くで人だかりができていることに気づく。何なのだろうと近寄ってみると、その人だかりは皆、昔の人のような古い着物を着ていると分かる。そして、その真ん中にはボロボロの格好をした子供を複数人の大人が押さえつけている様子が見えるだろう。あなたはそれに対して何かアクションを起こすかもしれないが、その人たちに触れることも話しかけることもできない。全てがホログラムのようにすり抜けてしまうだろう。その異常な出来事に気づくと《SAN値0/1d3》。
人々はその子供に向かって「殺せ!物の怪め!」と罵声をあびせているようだ。一人の男は斧を取り出し、子供に向かって振り下ろそうとしている。
???「これ、おやめない。まだほんの子供ではありませんか。」
突然、群衆の声を遮るようにして女/男の声が響く。人々が驚いて向いた方向をあなたも見てみると、そこにはあなたの顔にそっくりな人物が上品な着物を身につけて立っていた。その人の後ろにも何人か巫女服のような格好をした女性がついている。
村人A「ス、スズ様…!なぜこんなところに…?」
村人B「止めないでくだせぇ、スズ様!こいつは災厄をもたらそうとしていた化け物の子供ですぞ!今殺しておかないと、いつかこの村に災いが…!」
スズと呼ばれていることから、あなたはこの人こそ神子の末裔であるスズ本人であると推測するだろう。スズは毅然とした態度で村人に言葉を返す。
スズ「生まれで全てを決定してはいけません。その子はまだ何もしてないのでしょう?あなたたちはもっと寛大な心を持たねば。滅ぼそうとするから、滅ぼされるのです。心配ならば、その子の身は私が保護します。神子である私のそばに置いておけば、あなた方も安心できるでしょう?」
スズのその言葉に、何人かは不服そうな顔をしているが、群衆のほとんどは納得した様子で子供から離れる。
子供《目星》→子供の体は傷だらけで、着物もボロボロだ。きっと酷い目にあったに違いない。
スズ《目星》→神子はあなたと同じ金色の指輪を身につけている。
スズ「さあ、怖かったでしょう。安心なさい。もう誰もあなたのことを傷つけません。私とともに行きましょう。」
スズは子供の前にしゃがみこみ、優しく言葉をかけて手を差し伸べた。
《神子の記憶2》☆
そこまで見ると、また視界がぐにゃりと歪む。グルグルと目の前が回りだし、しばらく気持ち悪さに耐えていると、突然視界がパッと開けた。
今度は建物の中にいるようだ。木造の床と柱、天井。今度はどこに飛ばされたのだろうと見回していると、誰かが目の前を走り抜ける。
子供「スズ!見ろ、小鳥を捕まえたぞ!」
その後をついて行くと、先ほどの子供がスズに小鳥を見せている様子が見えた。子供の姿は綺麗になっており、ボロボロだったときの状態が嘘のようになっている。スズは何かを書いているのか、机に座って筆を進めていることが分かる。
スズ「PL2は本当に狩りが得意ですね。しかし、命あるものを無闇に捕まえてはなりませんよ。あなたにとっての一年は、その小鳥にとっては十年になるのですから。さあ、放しておやりなさい。」
子供「はあい。」
子供は返事をすると、庭に出て小鳥を放す。小鳥は空に向かって羽ばたいて行った。子供は小鳥のいなくなった空を眺めながら口を開く。
子供「……なあ、スズ。私の一年はお前にとっては何年になるんだ?」
スズ「そうですね…。何年になるのでしょうか。その答えが分からなくとも、私はあなたと共にいられる時間を愛おしく感じていますよ。」
子供「……スズ、答えになってないぞ。」
少し顔を赤らめた子供を見て、スズは口元を隠しながらくすくすと笑った。
《神子の記憶3》☆
突然、視界が強風で遮られるように激しく歪む。立っていられないほどの強い不快感を感じるが、あなたはそれよりもこの人達の行く末がどうなるのか。それについて考えることしかできなかった。
揺れがおさまり、ようやくまともに目の前が見えるようになる。しかし、なんだか嫌な予感がする。ぼやけた視界のピントを合わせるように瞬きをしていると、悲痛な叫び声が背後から聞こえてきた。何なのだろうと振り返ると、そこには全身に槍が刺されてぐったりしているスズの姿があった。スズは罪人のような白衣装になっており、その白衣装さえも血で真っ赤に染まっていた《SAN値1/1d3》。
そして、ぐったりとしたスズの体を抱きかかえているのはあの子供……いや、PL2だ。PL2は泣き叫びながら、ゆっくりと黒い影のようなものを背中から伸ばしている。それは触手のような形に変貌し、人の姿を失っていく。しかし、その変化は唐突に止まった。血まみれで虫の息になっているスズの手がPL2の手を握ったからだ。
スズ「駄目ですよ…感情のままに暴走してしまっては……。」
PL2「でも…でも……!あいつらは、スズのことを騙して……こんな……!スズはずっと皆を守ってきたのに……!」
スズ「村の人達は、怖かったんです…。私のことも……自分たちとは違う種族のことも……。私はもっと、皆の恐怖に気付くべきでした……。」
PL2「違う、スズは悪くない!私が必ずスズの仇をとるから……。」
スズ「いけません。PL2、あなたは優しいままでいてください。………そして、暴力で解決しようとしてはいけませんよ。人は弱くて、怖いものがあると暴力を奮ってしまうけれど……でも、言葉を交わせば分かってくれます。怖くなるのも、理解してくれるのも、感情を持つ生き物だからこそなんです。だから、PL2。あなたは……伝えることを諦めないで。」
スズの言葉にPL2は小さく頷く。いや、違う。これはあなたの言葉だ。今まで見ていたのは、神子であるスズの記憶ではない。あなたがスズとして生きていた……あなたの前世の記憶だったのだ。
気づけば、あなたは空を見上げていた。星空が綺麗な夜だ。その瞬く星々の中に、ひときわ目立つ流れ星が見えた。それは白い弧を描きながらゆっくりと遠くなっていく。……綺麗だ。
あなたは満点の星空を眺めながら、ぼやけていくPL2の手をもう一度握った。PL2がどんな顔をしているのかは分からない。でも、何を言うべきなのかは分かっていた。…もう、自分が長くないことも。最後にこの子に伝えなければならないことがある。それはあまりにも残酷な気がしたが、どうしても言いたかった……人生で最期の我儘だった。
スズ「私が生まれ変わるのに1000年かかっても……待っていてくれますか?」
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループ最終日(昼)】
《本殿》☆
親友「おい、おい!PL1!大丈夫か!」
あなたは親友の声で再び目を覚ます。先ほど扉を手にかけた時と同じ格好で立っていたようだ。
親友「急に動きが止まって何も返事しねーから心配したぞ…。なんかあったのか?」
あなたが見たものの説明をすると、親友は難しそうな顔をして唸る。あれは確実に自分の前世の記憶だった。そして、なぜか自分の前世であるスズとPL2が出会っていたのだ。あなたは理解し難い出来後に頭が痛くなってくるのを感じる《SAN値1/1d3》。
神主「やっと思い出してくださいましたか、スズ様。いえ…今はPL1様でございますね。太刀もあなた様のことをずっと待ち続けておりました。」
神主の言葉に扉の方を見ると、扉はあっさりと開いており、その中には古い刀が一つ納められていた。刀は古いが、刃は銀色の輝きを失っていない。紫色の柄巻には金色の装飾が施されている。あなたが太刀を手に取ると、それはあなたの手によく馴染むだろう。不思議と力が湧いてくるようにも感じる。
《悠久無限の太刀》
《日本刀》の技能に+50の補正
ダメージ 2d10+1
スペシャル・クリティカルでダメージ2倍
故障 100ファン(2R経過で自動修復)
妖術《精神統一》SAN値1d10の減少でMPを6回復。
妖術《神子の一太刀》MP20の消費でダメージ5d10+5の雷撃を行う。攻撃対象は回避不可能の広範囲攻撃を受ける。周囲100mにいる者にも電撃のダメージ2d10+1を与える。
神主「あとはあなた様の考えのままに…。」
そう言うと、神主は紫色の紐で縛られた鞘を手渡す。紫の紐は太刀の呪力を抑えるためのものらしい。本殿を出ると、空は夕焼けの色に染まっており、かなり長い時間ここで過ごしていたことに気づく。
親友「……で、どうするよ?結局あいつ、ミスミ神社に現れなかったし……今日はもう帰るか?」
あなたたちはこれからどうするのか話しながら本殿を出た瞬間、山の下の方から轟音が鳴り響いた。何事なのかと瞠目していると、神主が怯えるように手を合わせ出す。
神主「あぁ……神のお怒りです……!やはり、やはり、流星群の予言が……!!」
神主はそう言うと、酷く怯えながら鳥居に向かって走っていく。あなたはその光景を見て、神主が階段から落ちて病院に運ばれたというニュースを目にしたことを思い出すだろう。
あなたが何かアクションを起こそうとする前に、隣にいた親友が先に動いた。親友は「あぶねぇ!」と叫ぶと、体勢を崩す神主を庇うようにして押し戻した。
だが、そのままバランスを失った親友の体は階段の下へと消えていく。あなたが慌てて親友が落ちた先に駆けつけると、親友は階段を転げ落ち、小道のある段で倒れていた。かなりの高さから落ちたせいだろう。親友は頭から出血しており、ぐったりとした手足は折れているのか変色してしまっている。神主は鳥居の前で体を震わせて何かを呟いているだけだ。とても正気には見えない。親友に声をかけると、ゆっくり目を開けて答えるが、すぐに病院に連れていかないといけないほどの重症だとひと目で分かる。
親友「……PL1、これでじーさんの未来は変わったろ……。ループが……終わるんだ……はは、やったな……。ああ……でも、なんだか……すげー眠いや……。悪ぃ、PL1……俺はここまでみたいだ……。」
親友は途切れ途切れの声であなたにそういうと、小道の方に指をさして続ける。
親友「あっちだ……あっちに、あいつは……いる……。PL1……決着をつけてこいよ……。言っとくが……今回のこれは……借りだからな……。元の世界に戻ったら………また………。」
と言いかけて、親友はガクリと動かなくなった。眠るような感じではなく、突然電池が切れたかのように。……親友の目には、もう何も映っていなかった。
★親友の死を初めて目撃した場合は《SAN値1d3+1/1d10+1》、初めてでない場合はSAN値チェックなし。
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループ最終日(夜)】
《ミスミ山ー階段》☆
あなたは親友の亡骸の目をそっと閉じる。親友が指さしていた小道。あなたはその道に既視感を感じるだろう。
★父親と星を見に行っていた場合は、1周目で父親が連れてきてくれた小道だと気づく。
親友のスマホがすぐそばに転がっているが、画面はひび割れていて読みにくい。
《目星》→時計は19時をさしている。約束の20時まではあと一時間だ。
《小道》☆
あなたは意を決して小道へ入っていく。持っている太刀がやや重く感じるが、それよりも小道の雰囲気の方が重く感じる。根や葉っぱで敷き詰められた不安定な道を進んでいくと、目の前が開けてきた。小道をそのまま抜けると、オレンジ色が消えかかる夜空があなたの頭上いっぱいに広がる。そして、町が一望できる崖の前に見覚えのある後ろ姿を見つけるだろう。
PL2「……遅かったな、PL1。」
PL2は振り向きながらあなたに声をかける。いつものPL2とは違う、緊張感のある雰囲気だ。PL2はあなたの太刀を見る。
PL2「神子の太刀を取り戻したか。……という事は、お前は何者だったのか思い出したんだな?」
ここからはPL2に質問をすることができる。PL2は自分の目的以外と本心以外は正直に答えてくれるだろう。
PL2「私が何者なのか…大体見当はついているんじゃないか。私は人間じゃない。化け物に産み落とされて、人間を滅ぼすことしか知らなかった子供の化け物だ。スズに出会わなければ、私は人間を滅ぼす気だった。」
PL2「スズとはどういう関係だったか…スズは私の親のようであり、先生のようであり、友達でもあった。スズは家族がいなくて、私も家族がいなかったから……だから惹かれあったのかもしれないな。」
PL2「私の目的?……そうだな、お前の察しの通り、この世界は私が作りあげた虚像の世界だ。スズの記憶を取り戻すためでもあり、今度こそ私たちの幸せを奪わせないため…。これまでのことは全てお前が前世を思い出すための御膳立に過ぎない。……でも、少し計算が狂ったな。お前はまだPL1でスズじゃない……スズはまだ帰ってきていない……!」
PL2「私がお前の事をどう思っているか?……そうだな。お前の中身はスズじゃないが、『入れ物』はスズだ。だからあとは、PL1。お前を取り除いてスズを返してもらわないといけない。……お前のことなんて最初から……スズのための『入れ物』としか思っていなかったんだよ!」
★PL2の夢はPL1がPL2を殺さないと覚めない呪いになっているため、PL2はわざと嫌われようとしている。《心理学》でPL2が嘘をついていると分かるだろう。
PL2「もうお喋りはいいか?お前と長話している暇ないんだ。あと一時間で流星群が流れ、この世界は終わる。……私の夢が保てなくなってきたからだ。」
PL2「PL1、選べ。私に殺されて本当の死を迎えるか。スズの意識を呼び起こして、スズとして私と夢の中で生きるか。」
PL2の目は本気だ。あなたが立ち向かえば、必ずPL2はあなたを殺そうとするだろう。だが、スズとして生きることになれば、あなたの意識はどうなるのだろう。スズによって掻き消されてしまうのか。どちらを選んでも、あなたは絶望を見るに違いない。だが、もう時間がないことをあなたも感じている。ここで選択しなくてはならない。
《分岐》☆
【スズとして生きる】→《バッドエンディングB》へ進む
【PL2に立ち向かう】→《PL2との戦闘》へ進む
━━━━━━━━━━━━━━━
《バッドエンディングB》☆
あなたはPL2と戦うことなんてできなかった。構えていた太刀を置き、降伏を宣言するだろう。あなたの答えに、PL2は動揺した様子で質問を投げかける。
PL2「な、なぜだ…!スズとして生きれば、お前という人格は消えるんだぞ!いいのか、それで!?」
あなたがそれでもいいと言うと、PL2は悲しそうな表情で押し黙ってしまった。彼女/彼が求めていたのは、スズなのではないか。なぜこんなにも悲しそうな顔で自分を見つめているだろう。あなたがそう思っていると、PL2が口を開いた。
PL2「……愚か者め。スズはもう死んだんだ。お前がスズの生まれ変わりだとしても、もう戻ってこないに決まっているだろう。」
PL2は静かに涙を流す。その背後で、白い光の星が弧を描きながら流れていく。……もう時間が来てしまったのだろう。結局、あなたはこの世界を終わらせる事ができなかった。流れていく星を眺めながら、少しずつ意識が遠のいていくのを感じる。
PL2「夢は破られなかった。……PL1、お前は死ぬんだ。スズになることも、PL1として生きることもできなかったお前にはお似合いの末路だよ。」
PL2が何かを話しているが、だんだんと聞こえなくなっていく。もはや自分が立っているのかさえ分からない。
PL2「……PL1、私は……お前と出会うべきじゃなかった。私の願いがお前を留まらせたんだ。……私はもっと、化け物らしくお前の前に現れるべきだったよ。」
誰かが泣いているような気がするが、それはどこにいるのだろう。なぜその人は泣いているのだろうか。あなたは薄らいでいく意識のなか、誰かの後悔の言葉を聞いた気がした。
【バッドエンディングB「望まぬ再会」】
→キャラロスト
━━━━━━━━━━━━━━━
《PL2との戦闘》☆
PL2「……そうか、私に立ち向かうというのか。愚か者め。例えスズの生まれ変わりだとしても、お前はただの人間。……神の子に勝てるわけがなかろう!」
そうPL2が言うと、みるみるうちにその姿が変形していく。体は人の形を失い、大きく膨らみだし、コウモリのような羽が背中から生え広がった。顔からは触手のようなものが伸び、巨大なタコのような形をしているが深い青色を帯びている。手足は鋭い爪の生えた、鷲のような見た目に変貌した。そして、PL2の最終的な大きさはあなたの数倍以上に膨らんだ。その冒涜的な姿をした生き物は、あなたのほうを小さな瞳で睨みつけると、愉快そうに笑い声をあげる《SAN値1d6/1d20》。
クトゥルフの落とし子、眠る者たちの総督との戦闘だ。
《クトゥルフの落とし子》
STR70 CON52 SIZ105 INT21 POW21 DEX10
耐久力79 ダメージボーナス+11d6
《かぎ爪》80% ダメージdb
《触肢》80% ダメージ1/2db
装甲10ポイントの皮と脂肪層、1ラウンドに3の回復
★PL1は太刀で戦うか、PL2に話しかけるかで戦闘を進めることができる。PL1が他の戦闘手段をKPに尋ねた場合にのみ、《アイデア》ロール成功でこの二択があるという情報を得られる。
★PL2はPL1を倒せない。PL1が死にかけた場合は戦闘の手を休めて、PL1が立て直すまで待とう。または、手加減やわざと攻撃を外してみるとよい。
★攻撃技能を振る場合は、必ずシークレットダイスで回そう。
《特殊ルール: 戦意喪失》☆
PL2に話しかける場合、《信用》の成功でPL2が話を聞いてくれる。失敗した場合は攻撃を続ける。《信用》が成功するごとに、攻撃技能の成功値が下がっていく。KPはRPや《信用》の成功値で下げる数値を決めていこう。攻撃技能の成功値が0になった瞬間、「戦意喪失」で戦闘は終了する。ただし、1回で0%になることはない。大体の目安は4、5回あたり。PL2もRPに参加しながら進めていこう。
★「戦意喪失」の%が高くなるほど、PL1の攻撃力が倍になる。これを会心攻撃という。20%の場合は2倍、50%の場合は5倍というように「戦意喪失」と会心攻撃は比例する。会心攻撃についての説明はKPの任意で行ってもよい。
《分岐》
【神子の太刀でPL2を倒す】→《PL2の消失》へ続く
【PL2を戦意喪失させる】→《PL2の願い》へ続く
━━━━━━━━━━━━━━━
【ループ最終日(夜)】
《PL2の消失》☆
あなたの一太刀は化け物を貫き、その身を引き裂いた。化け物は叫び声をあげながらその場にゆっくりと倒れる。それと同時に、あなたの指に着けていた金色の輪がパキンと音を立てて外れた。落ちた指輪を拾い上げると、真っ二つに割れていることが分かるだろう。先ほどまで光り輝いていた太刀も役目を終えたかのように色褪せ、その刃はボロボロに朽ちてしまった。
化け物が砂のようにサラサラと消えていくと、人の姿に戻ったPL2がぐったりと倒れている。あなたが声をかけると、PL2は弱々しく反応するが、太刀で貫いた胸に深い傷跡を負っていることが分かる。もう長くはないだろう。
PL2「……はは、人間ごときにやられるとは…。私も老いてしまったのかもしれないな。」
PL2「なんだ、私に同情しているのか?……私をどれだけ惨めにすれば気が済むんだ、お前は……。」
PL2「……私のことなんか忘れてしまえ、PL1。目が覚めればお前は私のことをすっかり忘れて、日常を取り戻せるんだぞ……。……もっと喜べ。」
PL2はそう言いながらも、この結末に安堵しているような…喜んでいるかのような表情をしていた。ふと、視界の隅に白い光が通り過ぎていく様子が見える。流星群が流れ始めたのだ。PL2は流星群に目もくれず、あなたの顔をじっと見つめている。
PL2「……安心しろ、私はもう死ぬから流星群は流れずに消える。……スズは……もう、お前の中にはいない。スズは1000年前に死んだ。……そんなこと、分かっていたはずなのに……私は……お前を……。」
そうPL2が言いかけた瞬間、目の前が眩く光り出す。あなたが驚いて目を瞑ると、頬に冷たい手の感触を感じた。
PL2「さようなら、PL1。」
PL2の小さな声が聞こえたかと思うと、意識が真っ白に染まっていく。今まで起きたこと全てが削除されていくかのように、意識が夢から引き剥がされ、そして……突然ぷつりと暗転した。
→【次の日の朝】に進む
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【ループ最終日(夜)】
《PL2の願い》☆
PL2「……なぜ、なぜお前は……スズだった頃と同じように……私に声をかけてくれるんだ……。こんな化け物なのに…お前を殺そうとしているのに……。」
あなたの言葉に化け物…いや、PL2は項垂れて涙を流した。化け物の小さな目から流れる涙は、その大きな体を伝ってあなたへと降り注ぐ。
PL2「私はPL1と戦いたくなんかない。……でも、この夢は私を倒さないと覚めないんだよ、PL1。だから私を倒せ。」
そう言いながらPL2は化け物の姿からゆっくりと変形して、元の人間の形へと戻っていった。PL2は涙を流しながらも、PL1に向かって小さく微笑んでいる。
PL2「安心しろ、もう私に戦う気などない。今の私は人間と同じ体だから、その太刀で簡単に倒せる。」
《分岐》
【PL2を倒す】→《現世へ帰る》へ進む
【PL2を倒さない】→《PL2とのイベント》へ進む
《現世へ帰る》☆
あなたはPL2の意思を汲み、太刀を突き刺した。その瞬間、PL2の体がキラキラと光りながら消え始める。
PL2「……ありがとう、PL1。」
あなたたちの頭上には満点の星空が輝き、そのひとつが白い弧を描きながら流れていく。流星群が始まったのだ。最初に流れた星へと続くように、次々と星が流れていく。気づけば、夜空は流れ星に溢れて幻想的な光の曲線を作り出していた。
PL2「綺麗な夜だ、スズが死んだ夜もこんな星空が見えた。」
PL2「……PL1、お前を戦わせるためとはいえ、酷いことを言ってすまなかった。……許してくれるか?」
PL2「……夢が覚めたら、PL1は現実世界にいるだろう。この世界で消えてしまった人間も、お前の親友もちゃんと生きてお前の帰りを待っている。」
PL2「……だから、ここで起きたことは全てなかったことにしろ。全部……悪い夢だったんだ。」
もうPL2の姿は光に呑まれてほとんど見えない。すると、PL2の消えかかった手が伸びてあなたの片手を握る。パキン、と音がしたかと思うと金色の指輪が真っ二つに割れて、あなたの指から外れていた。
PL2「これでお前は全て忘れる。……すまない、でもこの方がきっといい。」
PL2「PL1……私に思い出をくれて、ありがとう。」
そう言い残すと、PL2の姿は完全に消え去ってしまった。それと同時にあなたの目の前も眩く光り出す。あなたの長い長い夢はここで覚めるのだ。真っ白な世界が一面に広がったあと、あなたの意識は途絶えた。
→【次の日の朝】に進む
《PL2とのイベント》☆
★重要なイベントとしてエンディングに影響する。
あなたはPL2を殺すことなんてできなかった。PL2は困ったように笑い、あなたに歩み寄る。
PL2「……馬鹿め、お前は優しすぎるぞPL1。」
そう言うと、あなたをそっと抱きしめる。PL2の言う通りここは夢なのだとしたら、あなたの感じるPL2の体温も偽物だというのだろうか。
PL2「それでも駄目だ。お前は元の世界に帰るべきなんだ。」
PL2は言葉とともにあなたの太刀を掴むと、それを自分の胸に突き刺した。途端にPL2の姿がキラキラと光って消え始める。 そして、PL2はあなたの手を取ると、つけていた金色の指輪がパキンと音を立てて割れ落ちた。
PL2「……これでお前を縛るものはなくなった。もう夢から覚めることができる。」
そう言うPL2の姿は徐々に透けて、あなたの手からすり抜けていく。あなたがPL2に触れようとしても、もう触れられないことが分かるだろう。PL2という存在がこの夢の世界から消えようとしているのだ。
PL2「PL1……大丈夫だ、私は死ぬわけじゃない。」
また会えるかどうか聞かれると、PL2はすぐに会えると答えるだろう。
★PL2という形で生きてはいないが、PL1の中で生き続けているためそう答えている。
あなたたちの頭上には満点の星空が輝き、そのひとつが白い弧を描きながら流れていく。流星群が始まったのだ。最初に流れた星へと続くように、次々と星が流れていく。気づけば、夜空は流れ星に溢れて幻想的な光の曲線を作り出していた。
PL2「綺麗な夜だ、スズが死んだ夜もこんな星空が見えた。」
PL2「……PL1、お前を戦わせるためとはいえ、酷いことを言ってすまなかった。……許してくれるか?」
PL2「……夢が覚めたら、PL1は現実世界にいるだろう。この世界で消えてしまった人間も、お前の親友もちゃんと生きてお前の帰りを待っている。」
PL2「……だから、ここで起きたことは全て悪い夢だと思え。……私のことも早く忘れてしまった方がいい。」
★トゥルーエンドの条件: 好感度100以上、イルカのキーホルダーを所持、PL2にとどめを刺さない。3つの条件を満たしていると以下のセリフが追加される。
PL2「それでも……PL1……私を忘れたくないのなら、目が覚めた部屋の引き出しを開けてみろ。そこに真実を書き残してある……。先に謝っておこう。……お前には酷なことをした。」
PL2との最後の別れが済んだら、PL2は「私に思い出をくれてありがとう、PL1」と言い残して消えていく。それと同時にあなたの目の前も眩く光り出す。あなたの長い長い夢はここで覚めるのだ。真っ白な世界が一面に広がったあと、あなたの意識は途絶えた。
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【次の日の朝】☆
《病院》
ピッピッピッという電子音が聞こえる。アラーム音かと思ったが、あなたが枕元を手さぐりで探してみてもそれらしきものは見つからない。どうなっているのかと目を開けてみると、あなたにはたくさんの管のようなものに繋がれていることに気づくだろう。声を出そうとしても、呼吸器に阻まれてる上手く話すことができない。そうして混乱していると、聞き覚えのある声がどこからか聞こえた。
親友「……PL1?PL1なんだよな!?おい!!俺だよ、わかるかPL1!?」
すごい勢いで寝ているあなたの方へ走ってきたのは親友だ。だが、親友も頭に包帯を巻かれており、腕にはギプスが装着されている。親友も怪我をしているが、なぜなのだろう。あなたは目が覚める前のことを思い出そうとする…しかし、何も思い出せない。そうしている間に、あなたの家族や医者もやって来る。あなたの家族はあなたを泣きながら抱きしめ、医者は忙しなく検査を始め出し、あなたは何がなんなのか分からずに困惑したままだった。
そして、しばらくした後。医者は検査の結果をまとめてくると告げると、あなたの家族を連れて退出した。親友はあなたのそばに残り、話したいことがあるとあなたに言う。
親友「…PL1、覚えないないのか?俺たち、流星群を見に行こうって話になってさ。ちょっと早めに望遠鏡のセットだけしよつって…それで、ミスミ山に行こうとしたんだよ。そしたら、工事中の建物の横通ろうとした時に…鉄骨が落ちてきて……。俺…お前のこと助けようとしたけど……間に合わなかった……。ずっと、ずっとPL1は眠ったままで、もう助からないかもって言われてたんだよ。」
全てのいきさつを教えられ、あなたはやっと思い出した。そうだ、あの日。11月22日。あなたはもうすぐ流星群が見られるというニュースを親友から聞いて、見に行こうという話になったのだ。親友は小遣いで買った新しい天体望遠鏡を、ミスミ山の穴場に持っていきたいと言って、あなたたちは望遠鏡を運んでいた。その途中、工事中の建物の横を通ったとき、何かが破裂するような音と「危ない!」という声が聞こえて…。最後に見たのは、親友があなたの手を掴もうとした光景だったはず。
親友に望遠鏡がどうなったのかを聞くと、鉄骨の下敷きになった時に壊れてしまったと答える。しかし、親友はそんなこと全く気にしていないようだ。あなたの方が心配だったのだろう。
親友「本当に……もう、PL1に会えないかと思ったんだぞ…!1週間…ずっと…死ぬかもって聞いてて……。でも、よかったぁ…ほんとによかったよぉ…!!」
親友はあなたの手を握ってボロボロと涙をこぼす。しばらく親友と会話をかわすと、医者が戻ってくるだろう。
医者「PL1さんの回復力は凄まじいものですよ。それは末期ガンの患者が健康体に戻るレベルです。あなたの体の骨は数ヶ所折れて、その何本かは内臓を傷つけていました。肺は潰れて、足もほとんど機能できないほど負傷していましたが…今はもう問題なく戻っているのです。あなたの状態は脳死…つまり、植物状態として診断されていました。幸運とは言えないほど……有り得ない奇跡が起こったとしか言いようがありません。」
医者の言葉にあなたは体を確かめてみるが、これといった異常はない。手足も普通に動き、呼吸も安定している。とても死にかけていた状態だとは思えない。自分がなぜ、生きているのか体の持ち主であるあなた自身も全く分からなかった。
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【エンディング分岐】
《条件》
・PL2の消失を経過して目を覚ます→【ノーマルエンド】
・PL2の願いを経過して目を覚ます→【ハッピーエンド】
・PL2に引き出しを調べてみるよう教えられる→【トゥルーエンド】
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【ノーマルエンド】☆
あれからしばらく入院していたが、目が覚めて1週間後にようやく医者から退院の許可を貰った。あれほどの大怪我をしていたのに、2週間で退院できたものだから看護師たちは気味悪がっていたようだ。
現在、あなたは退院するための準備をしているところである。衣服や日用品をカバンに詰め込み、ひと息ついていると病室の扉が開かれる。そこから顔を覗かせているのは親友だ。親友も今日退院するらしい。腕に着けたギプスは簡易的なものに変わっており、頭の怪我も治ってきていることが分かる。
親友「よっ!ラッキーヒューマン!退院だな!未だにPL1がピンピンしているのが不思議だぜ。ってか、俺の方が重症っぽくなってるんだけど。」
親友は笑いながら、あなたの方へとやって来る。すると、親友が「そういえば…」と言いながら首を捻って話す。
親友「何だったっけな…。なんか…夢?みたいなのを見てたっていうか…。なーんかめちゃくちゃ怖ぇ夢を見てた気がするんだよな〜。PL1はなんかそういうの見なかったか?」
親友にそう言われて、あなたも考えてみるが心当たりはない。そもそも、夢を見ていた記憶なんてないのだ。あなたがそう答えると、親友は「そっかぁ〜」と言いながら「気のせいだよな!」と割り切る。
親友「んじゃ、俺も退院の準備できたし!一緒に行こーぜ、PL1!退院祝いに焼肉とかどーだ!?へへ!」
あなたたちは楽しく談笑しながら病室を去っていくだろう。あなたが病室を出る際、ふと窓の方を見てみると。誰かが立っている姿が一瞬だけ見える。誰なのかとあなたがその影を見つめていると、親友があなたに声をかけた。
親友「おーい!何ぼーっとしてんだ?はーやーく!行こーぜ!」
親友の方を見ると、あなたの家族も待っていたようだ。皆が病院の出入口に立っている。あなたがもう一度、病室を窓を見るとそこにはもう誰もいなかった。きっと何かを見間違えたのだろう。あなたは親友たちに手を振りながら、病院の外へと歩いていった。
→【ノーマルエンディング「夢に別れを」】
《エンド報酬》
・好感度100以上《+SAN値1d10》
・イルカのキーホルダーをゲットしている《+SAN値1d10》
・ 神子の一太刀(一撃で敵を倒す)《クトゥルフ神話+10》
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【ハッピーエンド】
あれからしばらく入院していたが、目が覚めて1週間後にようやく医者から退院の許可を貰った。あれほどの大怪我をしていたのに、2週間で退院できたものだから看護師たちは気味悪がっていたようだ。
現在、あなたは退院するための準備をしているところである。衣服や日用品をカバンに詰め込み、ひと息ついていると病室の扉が開かれる。そこから顔を覗かせているのは親友だ。親友も今日退院するらしい。腕に着けたギプスは簡易的なものに変わっており、頭の怪我も治ってきていることが分かる。
親友「よっ!ラッキーヒューマン!退院だな!未だにPL1がピンピンしているのが不思議だぜ。ってか、俺の方が重症っぽくなってるんだけど。」
親友は笑いながら、あなたの方へとやって来る。すると、親友が「そういえば…」と言いながら首を捻って話す。
親友「何だったっけな…。なんか…夢?みたいなのを見てたっていうか…。なーんかめちゃくちゃ怖ぇ夢を見てた気がするんだよな〜。PL1はなんかそういうの見なかったか?」
《アイデア》→誰かと夢の中で過ごしていた気がする。しかし、それが誰なのかは思い出せない。
親友「うーん…何なんだろーな、これ?何だったけな、あの、夢の中の出来事が感染するやつ!パンダミックス…?パンダミックスドリーミー!!」
《知識》→親友はパンデミックドリームと言いたいのだろう。社会的な不安から多くの人が悪夢を見るという現象だ。
親友「それそれ!それなんじゃねーの!?俺たち、同じ事故で怪我してたし。」
しかし、あなたは悪夢というよりも誰かと過ごした温かい記憶の方が強いことに気づく。本当にあれは悪夢だったのだろうか。親友は悪夢の一点張りだ。そんなことを話していると、あなたの家族の呼ぶ声が聞こえる。そろそろ行く時間らしい。
親友「お、PL1!みんな待ってるぜ!早く行かねーと!」
親友はあなたの背中を軽く叩くと、足早に病室から出ていく。病院の出入口にはあなたの家族が待っていることが分かるだろう。
あなたが荷物を抱えて立ち去ろうとした瞬間、ふわりと風がふいてカーテンが揺れる。揺れたカーテンに、ふと人影が見えたような気がして振り向くが、そこには誰もいない。きっと見間違いなのだろう。
★アイテム、イルカのキーホルダーをゲットしていると《目星》を振ることができる。
《目星》→ベッドの下に光るものが落ちている。拾い上げてみると、それはイルカのキーホルダーだ。よく分からないが、大切な物のような気がする。あなたはキーホルダーをカバンの中にしまいこんだ。
遠くから親友のあなたを呼ぶ声がして、あなたは今度こそ病室から出ていく。そして、あなたを待つ人たちへと手を振りながら、あなたは病院の外へ歩いていった。
→【ハッピーエンド「夢の片隅に」】
《エンド報酬》
・好感度100以上《+SAN値1d10》
・イルカのキーホルダーをゲットしている《+SAN値1d10》
・ 言霊(戦意喪失させる)《+心理学10》
・神子の慈悲(とどめを刺さない)《+クトゥルフ神話10》
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【トゥルーエンド】
あれからしばらく入院していたが、目が覚めて1週間後にようやく医者から退院の許可を貰った。あれほどの大怪我をしていたのに、2週間で退院できたものだから看護師たちは気味悪がっていたようだ。
現在、あなたは退院するための準備をしているところである。衣服や日用品をカバンに詰め込み、ひと息ついていると病室の扉が開かれる。そこから顔を覗かせているのは親友だ。親友も今日退院するらしい。腕に着けたギプスは簡易的なものに変わっており、頭の怪我も治ってきていることが分かる。
親友「よっ!ラッキーヒューマン!退院だな!未だにPL1がピンピンしているのが不思議だぜ。ってか、俺の方が重症っぽくなってるんだけど。」
親友は笑いながら、あなたの方へとやって来る。すると、親友が「そういえば…」と言いながら首を捻って話す。
親友「何だったっけな…。なんか…夢?みたいなのを見てたっていうか…。なーんかめちゃくちゃ怖ぇ夢を見てた気がするんだよな〜。PL1はなんかそういうの見なかったか?」
あなたはその言葉にぼんやりと記憶が蘇ってくる感覚を感じる。夢の中で誰かと過ごした時間…その人が自分に向けてくれた優しい眼差し。記憶の片鱗が少しずつ見えてきたかと思うと、今まで忘れていた記憶が一気に脳内へ帰ってきた。その瞬間、頭が痛くなるような目眩がして、あなたはベッドへ座り込む。
親友「お、おい!大丈夫か!?看護師さん呼んでくるか…!?」
慌てる親友を手で制し、あなたは親友に先に病院から出るよう促した。やらなければならないことを思い出したからだ。親友は困惑しながらも、あなたの言葉に従うだろう。
『私を忘れたくないのなら、目が覚めた部屋の引き出しを開けてみろ。そこに真実を書き残してある……。』
PL2の言っていた言葉だ。あなたは病室に備え付けられている棚の引き出しに手をかける。入院している間、なぜか開けとも思わなかった引き出しだが…無意識に開けることを拒んでいたのかもしれない。しかし、待ち受ける真実がどんなものでも受け入れよう。あなたは覚悟を決めて引き出しを開けた。
……そこには、ひとつの封筒が入っていた。封筒には「PL1へ」とだけ書かれている。PL2の残したものだろうか。あなたは封筒を開けて中身を確認してみる。中には手紙が二枚、入っているようだ。
《手紙》
PL1へ。
こんな形で別れを迎えてしまってすまない。夢から覚めたあとはどうだろうか。私のことは覚えているか?
単刀直入に言おう、お前はもう普通の人間じゃなくなった。植物状態だったお前を治したのは私だ。私はお前の夢の中へ入り込み、お前の体を修復していった。だが、お前は目を覚ましてくれなかった。…脳を治すことはどうしても難しかったんだ。だから、私の生命力を全てお前に与えることにした。その副作用でお前は不老になってしまったようだ。体も少し頑丈になったようで、人の数倍以上の回復力を持っている。お前は私と同じ化け物になってしまったんだ。
……本当にすまない。お前の意思を尊重すべきだと思っていたが、もう時間がなかったんだ。お前はこの先、何年経っても老いない。今回のように死にかけても、何週間かすれば完治する。だが、不死というわけではないから安心しろ。
お前はこんなことになって怒っているだろうか。勝手なことをして、無責任な奴だと思うだろうか。こんな結果になったが、私は後悔などしていない。出会ったことのないお前にここまでするのは私も何故なのだろうと思っていた。その理由は、お前がスズの生まれ変わりだからではない。私がお前のことをどうしようもないほど好いているからだ。
人間で言うところの一目惚れだな。私はスズにも、お前にも命を捧げてもいいと感じた。それだけだ。
……それと、最後にひとつ。私のわがままを書いてもいいか。これは私の独り言だと思って読み流してくれ。
私がもう一度この世界へ産まれてくるまで、1000年かかっても待っていてくれるか?
手紙はそう書かれて終わっている。PL1はその問いに対して答えよう。しばらく手紙に対するRPをしてみるのもいい。
そして、PL1が手紙を読み終わると、病室の外からあなたを呼ぶ声が聞こえてくる。親友と家族が待っているようだ。
あなたが荷物を抱えて立ち去ろうとした瞬間、ふわりと風がふいてカーテンが揺れる。揺れたカーテンに、ふと人影が見えたような気がして振り向くが、そこには誰もいない。
《目星》→ベッドの下に光るものが落ちている。拾い上げてみると、PL2のお揃いで買ったイルカのキーホルダーだと分かる。あなたはそれを大切にしまうだろう。
遠くから親友のあなたを呼ぶ声がして、あなたは今度こそ病室から出ていく。そして、あなたを待つ人たちへと手を振りながら、あなたは病院の外へ歩いていった。
→【トゥルーエンディング「1000年先でも君を待つ」】
《エンド報酬》
・好感度100以上《+SAN値1d10》
・イルカのキーホルダーをゲットしている《+SAN値1d10》
・ 言霊(戦意喪失させる)《+心理学10》
・神子の慈悲(とどめを刺さない)《+クトゥルフ神話10》
・PL2と再会の約束をする《+SAN値1d10》
《トゥルーエンド報酬》
・不老の肉体
老いることのない肉体。特殊効果としては、CONが現在の数値から変動することがない。若さを奪われない。
・イルカのキーホルダー
SAN値が0になったとき、キーホルダーの破壊とともに全回復する。イルカのキーホルダーを強く握るとSAN値が1d4回復する。クールタイムには一日かかるものとする。
【あとがき】
慌てて書いたので誤字脱字が目立つと思います。
初めて書いたタイマンシナリオです、頑張りました。
リプレイの投稿は許可しております。
シナリオの大筋を改変するのはご遠慮ください。
・ストーリーの改変
・NPC、KPCのロストを改変する
・登場人物を勝手に増やす、減らす
・HOを大きく書き換える
これらのことは基本的にご遠慮してください。