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ソーシャルリアリティ

作者: 左之

24XX年


「おい、嬢ちゃん。ぶつかっといて謝罪の一言もないのかね。俺がわかいころはなもっと年上は敬ってたのになー」


ぶっつかってきた小汚いおじさんはガミガミと小言を言ってくる。こんな時代にまだこんな性格の人いたんだと少し感心するものの、やはり朝から気分が良いものではない。


「ブロック」


口に出した瞬間おじさんは瞬く間に消えていった。この世界にはいつしかブロック機能が追加された。確か若者のストレスによる自殺の増加とかが原因だった。原理はわからないもののブロックされた人間は私から見えなくなる。ブロック機能は18歳から与えられる機能であり、それまでは親が子供に見せたくない不審者なんかを勝手にブロックする。


「あー、ゆうこおはよう」


「葵、おはよう」


ブロックのことを考えてたら後ろから友人の葵が元気に話しかけてくる。


「今日はどうよ。なんか浮かない顔してんじゃん。昨日の小テストか?ゆうこは馬鹿だかんなー」


「葵も私とそんな変わらないじゃん。違う、違う。朝から変なおじさんに絡まれてブロックしちゃった」


「え、そうなん。初ブロじゃん。おめでとう。てか馬鹿なのによくできたじゃん」


「ばかばかいうなし。私は授業中寝てるだけで地頭はいいんです」


「言い訳になってないから。なお悪いわ。そんなんだとブロック機能の講習しっかり聞いとらんかったでしょ。取り返しつかんことなるよ」


葵と馬鹿なやりとりをしていると朝の悪い出来事を忘れ、またキラキラとした青春の1ページを描き出す。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー




朝のホームルーム

「おはようございます。昨日のテストの出来がみんな悪かった。もう受験生だっていう気持ちを持ってくれ。特にゆうこは昼休み先生のとこにきなさい。ではホームルームを終わります」


「やっぱりやばいよ。ゆうこ、そろそろほんとにしっかりしなよ」


ホームルームが終わると葵が走ってくる。


「ほんと最悪。別にみんなの前で言わなくてもいいのにね」


またもブルーな気持ちが頭の中を侵食している。


「まあ、まあ私の占いだと近頃良い事があるでしょう」


「え、何何。勉強は…絶対ないから…。恋愛とか2組のサッカー部の凪くんと付き合えるとか?だったらいいな」


「勉強は、一瞬で諦めるのか…。まあ、ゆうこは頭は悪いけど感はなんだかんだ鋭いよね」


「え、どういうこと。教えてよー」


葵は秘密と口にバツを作り、結局口を破ることはなかった。こんな小さな事でも元気を取り戻す自分は単純な人間だと改めて感じる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー

昼休み


葵に行ってこいと送られた私は職員室の担任のところまで向かう。


「ゆうこ、お前な。地頭はいいんだからもっと真面目に勉強しないか」


担任は何度も聞いた、同じようなセリフを何度も繰り返す。


「もう、いいや」


「おい、ちょっとまー」


「ブロック」


担任の静止する声に耳を傾ける事もなく、ブロックする。担任は跡形もなく消える。ブロックすると少しだけ気が晴れる。


葵と教室で週末の事を事を話そうと教室への角を曲がる。

すると、葵とサッカー部の凪くんの姿が…


「じゃあ、今日の放課後よろしく」


葵に手を振りながら歩く凪くんの姿は、いつものようにかっこいい。しかし、それどころではなかった。


「葵、なんでそんなことするの?私が凪くんの事好きなの知ってたじゃん。せめて話してくれても…」


「え、いや、そうじゃなくて」



「もう嫌い、嫌い。葵も、凪くんも。みんな、みーんなブロックだーー」


するとみんないなくなる。葵も視界の隅に微かに見えたる凪くんの後ろ姿も。全てが消えた。


それから私は泣きながら家に帰る。ベッドの中で一生の涙を流した。葵や凪くんをブロックしても全く心が晴れることはなくもやもやは一晩中、胸の中でもがいていた。


朝になり、いつものように起きる。父や母の姿は見えないが朝食は置かれていた。あれ、今日早番の日だっけ?先に行ったのだろうかとあまり気には止めない。いつもの通り学校へ向かい登校する。


今日はやけに静かだ。鳥や風の音しか聞こえない。学校についても誰もいない。教室にはいっても同様だった。


そしてここまできて、昨日ブロックした事を思い出す。


「そういえば、みんなブロックって言ったから世界中のみんなをブロックしちゃったの?あれ、ブロック解除ってどうすればいいの?」


講習を寝ていた自分にはわからない事だった。


そのまま永遠に泣きましたとさ。めでたし、めでたし










「ゆうこどうしたの?」


クラスメイトの委員長は葵に問いかける。


「ゆうこのやつ、昨日、怒って世界中の人間をブロックしちゃったんだよ。アイツ講習聞いてなかったからブロック解除やりかた知らなかったらしい。多分、私たちからも触れられないけど半透明で見えてる事も多分知らなそうだな。せっかく、サッカー部の凪君からの告白をセッティングしてたのに…」

その後ブロック解除して無事凪くんと付き合えました。

※考えずに突発的に動くのはダメという話を朝突発的に考えて投稿しました。

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