昇格と騎士
次の日、僕らは昇格試験を受けることにした。
昇格試験とはその名の通りランクを飛び級できる制度だ。
しかし、この試験で命を落とす冒険者も少なくないという。
とにかく今の目標は迷宮に挑むことなので、
その為にはとりあえずランクEまで上げる必要がある。
だから受けるのはEランクの昇格試験
Eランク昇格試験【ゴブルトナイトを1体倒す。】
その紙を受付のお姉さんに渡すと心配されたが「大丈夫だから。」で押し切った。
向かうのは普段ゴブルトを倒している場所のさらに奥。
そこまで来ると木が太くなり、薄暗さも増す。
しばらく歩いていると聞いたことのない鳴き声が聞こえてきた。
鳴き声が聞こえる方に首を傾けると、
そこにはちょうどゴブルト二匹分の大きさを持ったモンスターがいた。
あれがゴブルトナイトだろう。
牧野さんと打ち合わせたあと、僕はゴブルトナイトに襲いかかった
素早く枝を掻い潜り、一撃で仕留めるつもりで素早く抜刀。
しかし相手も名前に騎士とついている通り、勘が鋭かった。
あっさりと剣を受け止められる。力では敵わないことを察してバックステップ。
相手が踏み込んでくるのを予測して、剣を横に滑らせながら避ける。
相手の勢いを利用したこの攻撃は腹部を浅く切るだけで終わった。
やはり筋力が化け物なら防御力も化け物か。
相手が振り向きざまに剣を一閃する。予測出来なかった僕はなんとか剣で受け止める。
その反動を利用して大きく上に跳躍する。無理な体の使い方をしたおかげか、左腕が言うことを聞かない。
宙に舞う僕を見てゴブルトナイトはどう思ったのだろう。そんなことを考えながら空中で姿勢を整える。
ゴブルトナイトの居合に入る瞬間にアイテムボックスから予備の剣を取り出し、一閃。
頭痛がする。
【能力『我流剣術』を習得しました。】
僕が地上に着地するときには、ゴブルトナイトはもう事切れていた。
戦闘が終わると牧野さんが駆け寄ってきた。
「ごめんね、役に立てなくて。」
「いやいや、牧野さんがいないと安心できないよ。」
その日は牧野さんと酒場でたくさんお祝いした。