異界の硬貨と宿屋
受付のお姉さんが黄色い紙を持ってきて、
「名前と得意な分野を書いてね。」
言われた通りに名前と特技を書くと、黄色い紙が光に包まれた。
光が収まると、そこには鉄の板が置かれていた。
これが魔法か。
隣を見ると、牧野さんが興味深げに鉄の板を覗いていた。
鉄の板を見てみると、
【白坂 春】
【特意な分野:剣】
【ランク:G】
ランクについて聞くと、冒険者としての成果を上げ続けるとF.E.D.C.B.A
と上がっていくものらしい。
牧野さんの質問も一通り終わった後、僕らは依頼の書いてあるボードヘ向かった。
「牧野さん。このゴブルト退治とかどう?報酬も他に比べて高めだよ。」
牧野さんの了承も貰ったので、僕らは近くの森ヘ向かった。
その森は僕が前通った森よりも暗かったけれど、こっちはちゃんと道が整備されていた。
しばらく歩いていると遠くからゴブルトの鳴き声が聞こえた。
鳴き声がした方にゆっくりと近づくと、確かにゴブルトがいた。
僕は牧野さんと打ち合わせた通り死角からゴブルトに襲いかかった。
奇襲があまり上手くいかなかったようで、途中で気付かれてしまった。
そのまま剣で薙ぎ払おうとするも、やはり怪物の力は強く、押し返されてしまった。
しかし後ろから迫る牧野さんに気付かず、ゴブルトは血を撒き散らしながら倒れ込んだ。
ゴブルトから耳を剥ぎ取り、僕らは冒険者ギルドに帰ってきた。
「すごいですね!初日からゴブルトを倒せるのはなかなか才能がありますよ!」
そう言われると、少し照れてしまう。
僕らは受付のお姉さんから報酬を受け取って、冒険者ギルドから出た。
宿屋は案外すぐに見つかった。
宿屋の中に入ると、元気なお婆さんが出迎えてくれた。
「いらっしゃい。朝まで寝るかい?それとも少し休むかい?
どちらを選んでも料金は変わらないけどね。ヒッヒッヒ」
「とりあえず、朝まで。ご飯は出ますか?」
そう聞くと、お婆さんはあるよ、と答えてくれた。
とりあえず二部屋分の鍵を貰い、料金を払った。
牧野さんと少し話して、部屋に戻ってからベッドに倒れ込んだ。
(、、、明日は図書館に行こう。この異世界の事を知らずにこのまま冒険するのは危険だ。)
そんなことを考えながら、僕は泥のように眠った。
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