幽界
今日の始まりは昨日の終わりだったし、昨日の始まりは一昨日の終わりだった。まだ今日もうそして明日もこの世界の終わりが告げるその日が来るまで、僕は世界を見ていよう。世界の果てを見て、想像により創造されたこの世界を去る人が一昨日も、昨日も、そして今日もいるのだ。
その鏡はある意味ではとても奇妙な鏡だった。僕を映しているその鏡はなぜか死者は映すことがないのだ。そして鏡の遠くに聖なる死者がいる。僕が鏡に手を触れた。鏡に吸い込まれそうだった。そして鏡の奥に、彼女がいるのだ。彼女は鏡の間にいる。鏡の間には最後の審判を待った聖なる死者がいる。それはおそらく重力なのだろう。そしてそれは復活なのだろう。その遠くに僕が死ぬ日があるのだ。