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爆破しよう。

婚約者は爆破したがり。

作者: りんご。

マリアの婚約者ディオン視点のお話です。

優しい目で見てくれると有り難いです。


僕の婚約者はちょっと頭がおかしい。


「くらえ!松ぼっくり爆弾!」

「や、やめてくれ!マリア!」

「気安く呼ぶな!このポンコツ!」

「痛い!痛い!」


いや、ちょっとじゃないか…。


「マリア、そろそろやめてあげなよ」

「えぇーこれからなのに」

「松ぼっくりが可哀想だろう?」

「うーん、たしかにそうだね」

「え?松ぼっくりが?え、私じゃなくて…?」


マリアの元父親は何か言いたげだったが、僕はマリアの手を引きその場を後にした。

マリアを傷付けた元父親なんて興味がないからどうでもいい。




----------


僕とこの不思議なマリアとの出会いは衝撃だった。


「まつぼっくりがあったとさー♪たーかいおやまにあったとさー♪」

「…こんにちは」

「んー?こんにちは!」

「何をしているの?」

「松ぼっくり拾ってる!」


マリアは不思議な歌を歌いながら、僕の屋敷の近くで松ぼっくりを拾っていた。

家にも落ちているらしいがお母様にしゃがみ込んで松ぼっくりを拾っていたら侯爵令嬢らしからぬ行動だと怒られたらしい。

だから、たまたま僕の家の近くで松ぼっくりを拾っていたとの事だった。

僕は運命だと思った。



他の人から見ると僕の女の子の好みは変わっているらしい。

今まで何人か婚約者候補はいたけど、どの子も好みじゃないから断っていた。

だから、父と母が僕の好みを聞いたから「弟みたいに元気で可愛らしい子が良い」と答えたら頭を抱えてしまった。

僕の弟みたい令嬢がいる訳がないのと、いたらいたで大変だからと言う事だった。



何故なら僕の弟は少し変わっていたから。


「どんぐりころころどんぶりこー♪」


マリアと似たような歌を歌ってどんぐりを集めたり。


「貴様がクローディット家の長男か、父親が陛下に気に入られているからと調子に乗るなよ、侯爵の私の家の方が立場は上なのだからな」

「はい、分かっています」


と兄様が絡まれているのを見れば


「侯爵の家の長男なのに頭はすっからかーん、ぱっぱらぱー♪」

「うわっ!なんだ?!どんぐり?!」


と自作の歌を歌いながら木の上からどんぐりを侯爵の長男に向けて投げたり。


「クローディット様は何故あのような物と婚約なさるのですか?」

「え?」

「あの者はクローディット様には勿体ないですわ」

「そんな事はないよ、彼女は素敵な人だ」

「まあ!お優しいのですね」


と兄様の婚約者を馬鹿にされれば。


「君には優しさのカケラもなーい、お胸に栄養が全部行ったからー♪」

「きゃぁ!何?!水?!お、お化粧が!!」


とまた自作の歌を歌いながら、庭師と協力して作った水鉄砲?とやらで令嬢の顔めがけて水を掛けたり。

色々問題を起こしていた。


父と母は頭を悩ませていたが僕はそんな家族思いの弟がとても可愛いと思ったし、相手側や周りにバレないようにやるのが賢くて自慢だった。

僕だったらきっとバレているだろうしね。


まあ、そんな訳で弟が可愛いと思っている僕なんだが、父と母からしたら隠れて問題ばかり起こす弟がもう一人増えたらと思うとゾッとしていた。

だから、まともな令嬢をと色々探して僕に合わせていたが僕は一切靡かなかった。


そんな時に出会ったのがマリアだ。

にこにこ笑う顔も好みだし、性格も弟のように明るく元気だ。

もうこれはやっぱり運命としか言えないだろう。


だから、僕はすぐさまマリアについて調べて婚約者を探している事を知り、侯爵家だと知り一度は尻込みしたが変わり者のマリアと結婚してくれるなら性格が良く、仕事をちゃんとしてくれるなら爵位は何でも良いと言う事を聞きすぐに侯爵家に婚約の申し込みをした。



顔合わせの時のマリアのお母様とお祖母様は、「婚約の申し入れは嬉しいのですが孫は少々というかかなり変わっていまして…」と終始申し訳なさそうに頭をぺこぺこし、こちらはこちらで爵位が上の人にぺこぺこ頭を下げられるものだから「いえいえ!頭を上げて下さい!」とおろおろしていた。


「お祖父様!ディオン様の弟君どんぐり拾いが趣味なんですよ!」

「ほう!そうなのか、マリアと仲良くなれそうだな」

「今度ぜひ会って下さい、自慢の弟なんです」


まあ、マリアはそんな事お構いなしに僕とお祖父様と話していたけどね。


その後、とりあえず顔合わせは無事に終わり(マリアは何回かお母様に叩かれていたけど)婚約は無事に決まった。


父と母は最初は弟みたいのが増えるなんて…!と少し怯えていたが、「正直侯爵家と繋がりが出来るのは嬉しいし、顔も可愛いし、確かに変わった子みたいだけど何故か女の子だと可愛いと思えるから不思議」と言って最終的にはマリアを気に入っていた。

良かった。

認めてくれなかったら弟に相談するところだった。



婚約が決まった僕とマリアは色々な所に一緒に出掛けている。

お洒落なカフェに行ったり、舞台を見たり、山に行って松ぼっくりやどんぐりを拾ったり、その松ぼっくりとどんぐりをストレス発散でまた父親に投げるマリアを見守ったり。

たまに兄さんとその婚約者、そして弟と5人でも出掛けたり。

マリアとの仲を少しずつ深めている。


マリアにも僕を好きになってもらいたいからね。



「ディオン様!」

「なに?マリア」

「へへ、私!ディオン様と婚約出来て良かった!早く結婚したいね!」

「え?え?!」


何これ、急にえ?



「私ちょっというか、かなり変わってるでしょ?」


あ、自覚あったんだ。


「それなのにディオン様はそこも可愛いって言ってくれるし、優しいし、イケメンだし、それに悪戯も度が過ぎるとちゃんと叱ってくれて私には勿体ないくらいの素敵な婚約者だと思う、だからね?いつもありがとう!ディオン様大好き!」



くそ、マリアはずるい。

顔は可愛いし、行動も可愛いし。

どうやって好きになってもらうか考えてたのに、急に大好きとか言っちゃうし。


まあ、そんな所も好きなんだけど。


「僕も好きだよ、マリア」

「へへへ!」


とりあえず、少し前にいたくそ元婚約者候補なんかより絶対に幸せにするからね、マリア!





ディオン

今回の主人公、マリアの婚約者。

頭のぶっ飛んだマリアが可愛いと言う変わった子。


マリア

ディオンの婚約者。

ストレス発散に元父親に松ぼっくりを投げつけるのが最近のブーム。

今回爆破はなし!


クローディット家長男

唯一まともな人。

心優しい。


クローディット家三男

マリアに負けないくらい頭がぶっ飛んでる。

家族に害をなす輩を粛清するのが趣味。

何か秘密がある?


元父親。

今回松ぼっくり投げられただけ。


マリア母、祖父母、ディオン父母、祖父母

お互いに頭を下げ合っている。



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