表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海のdoll  作者: 水菜月
7/16

*奏多 ③


「体使って、モデルに抜擢されたらしいよ」


 私に構うのに飽きてきたクラスメイトたちは、そう噂した。まるで私の行動を監視したかのように。

 噂を流したのは相川君なんだろう。その目は、私を手に入れたいと伺ってきていたものね。

 まただ。周りの悪意しか感じられなくなる。


 彼ならもしかしたら、奏多の家にまで付いて来た可能性だってある。

 開け放しの窓から、私たちの絡まる肢体を観察していてもおかしくはない。見られていたのなら犯されたも同じ。


 きっと毎晩、彼の夢の中で私は彼を誘惑し、私から望んで抱かれていることだろう。誰しも都合よく相手を牛耳ることが可能な、その頭の中で。


 ね、来て。私をすきにして。そう彼の中の私は恥じらいながらも大胆に誘うのだろう。

 私の分裂。まるで派遣された私。

 それを不快と思うか、思わないかは、女によってきっと違う。


 空想の上で抱かれたところで、私は一片も減りはしない。寧ろ、熱を帯びた視線が私を裸にするのを、面白おかしく見ている。


 私と言う人間は、どうしてこうも冷めているんだろう。冷静を装っているんだろう。

 その実、いつだって喪失感でいっぱいで、欠けていくピースを必死で埋めないとやっていけはしないのに。


 平気なはずがないじゃないか。それでも。

 自分、自分、自分ばかり。

 誰かのことを想って、誰かのために生きたことがない。これからも、この先も。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ