表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
海のdoll  作者: 水菜月
11/16

*遥果 ②


「脱いで」

 脱がせてもらえない屈辱にふれ、それでも私は言う通りに下着姿になり、ベッドに横たわった。あなたに仕返しされるのなら、それも仕方ないから。


「きれいな白い肌。まるで陶器のお人形」

 夕映さんは歌詞を語るように、私に向かって口ずさむ。

 すっと私の肌に触れるその感触は、奏多とはまるでちがって、壊さないように細心の注意を払うかのようだ。

 でも、氷の冷たいピンで止められたまま、私は人形みたいにぴくりとも動けない。


 私は海のdoll。波に浮かぶお人形。

 ただ揺られて、見知らぬ土地に運ばれていく。


 そのメロディは、その言葉たちは、私であり、あなただ。

 いつだって、私は夕映さんの身代わりだった。

 奏多が全て剥ぎ取るのなら、夕映さんは着たままの私を愛でる。自分はワンピース一枚脱がないままで。

 

 彼女は私の裸の写真を持っていた。奏多からもらったのだと言う。

 事を終えて眠っている私の姿。いつのまにかシャッターを切られていたんだ。もし売られていても防ぎようがない。


 でも多分、奏多はこれを夕映さんだけに見せた。そんな気がした。

 そうじゃなかったとしても別に後悔はない。自分が選んだ人に何をされたとしても。


 迷っていた夕映さんの背中を押したのが、この写真なのだろうから。

 いつまでも見つめていたら正気でいられなくるんだよ、魂を映したものは。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ