[残渣版]-.5 おっちゃんとカブ+ネクロ姉妹
◇ B2
山道へと続いてそうな脇道へと逸れまだ真新しい轍と人馬の足跡を辿る。
進むにつれ街道から徐々に離れていきちらほらと視界を遮る立木などの率が高くなると街道からどのぐらい距離をとったのかあやふやになっていく。そして平坦だったのにいつしか勾配が付くようになっていた。
追い抜く相手も対抗者にも遭遇せずにセンターラインの引けないギリギリの道幅、ブラインドコーナーを何度も熟しながらおっちゃんはなんか気になりだした。予感?
しかし何に対して気になるのかさっぱりわかっていない。
「ぅおーっとっとっと・と・と・・・・」
右側が山、左側が谷の右コーナーを曲がり掛けて見えた物に慌てて声を出すと止まらなくなった。このまま進むわけに逝かないと判断して、右ターンの苦手なおっちゃんは一度右端に寄ってからカブを左へと傾け内側の脚を地面へと伸ばしてコーナーの手前まで戻った。
すーすーはー。コーナーの先、進行方向には石の建造物が有った。たいした高さじゃないけど石の昇り段差付でな。
カブから降りてコーナーからちらちら覗いていたら、それならばとミツコとノミコが偵察ドローンを飛ばしてくれました。うむ、先祖に阿修羅俗画いたからって三面六臂になって各々三機を操っている。
ミッコが雷電、晴嵐、紫電改。ノミコが震電、震電改、震電改弐と名付けた機体を操作し、この逆順に発進した。震電シリーズは急速上昇を得意とし機動力の高い順に震電改弐が高高度、震電改が中高度、震電が低高度からの地形などの観測を行う。今回はこの建物と近辺の地形など。
いち早く目標高度に達した震電改弐が画像データを送ってきて大まかな形状と規模を把握した。
蛇足となるがAI操縦の実地試用で偵察に彩雲と紫雲を向わせ、緊急発進に備えて橘花を準備する。
そうこうして砦の内外を含めた様子を偵察した。
集まる情報におっちゃんはむむむ「んーと、玄関ってドコだ。わっかんねーな」と首を傾げて「とりあえず行ってみるか。近寄りゃどうにかなるゾと」と。
背後でミツコとノミコのこめかみと口角がピクピクしていた。