[残渣版]-.2 おっちゃんとカブ+ネクロ姉妹
説明回。
おっちゃんを回収してから数日、召還された直後からの事を語っていた。
気付くと20m四方で円形が描かれた中央に全裸で立っていて、セレブぽいのとか宗教関係者、兵士やらに取り囲まれていた。
特に男の視線が異様で『可憐だ』『綺麗だ』『聖女様』とか口から漏れている。〝カルト集団〟か?
次に女達に導かれて行くと湯殿で体の隅々まで洗われそうになったが股間だけは自分でするからと死守した。しかしこの時に自分にはないはずの〝ヤ◯イ穴〟が袋の後部にひっそりと出現していた。男達の視線を思い出していた。
それ以上に湯殿で若い娘達の裸体をたっぷりと鑑賞しているのにピクリとも反応しないJRに〝生物学的な雄としての役目が終わっていた〟ことに恐怖した。
後は記憶に残っていない。
(途中設定及び展開を大幅省略)
それはさておき、おっちゃんの姿は、〇くしまダンジョン関係者にはいつものオーナーとして見え認識もされているが関係者以外にはうら若き聖女として覧えているようだ。
おっちゃんは引きこもりたい気持ち以上に現場から遠くへ行きたい気持ちが強くて今スーパーカブを駆り現実逃避した。
総支配人ことアマシイは護衛と案内に仕事を終え休暇を取ろうとしていたツーマンセルの暗部エージェントを当てることにした。なによりシークレットサービスの掛け持ちで『ルーシー・ファー』とは別に『硬貨挿入口とラクダのつま先』のコードネームを持つ。
普段の呼び名は『みつこ・のみこ』の音玄姉妹。
おっちゃんの握るハンドルに追加で左右に渡された⌀22mmバーが二本、左右のミラーのジョイント部に割り込む形で一本、ハンドル下部のネジから金具が手前から上へせり出す形でもう一本追加している。
前方のバーにはUSBを一つとナビを取り付け、手前のバーにはアクションカメラを取り付ける為のコネクタとコンビニフックを兼ねた物を付けている。
それがだ。
前後のバーを渡す形でちっこい椅子が複雑な防振機構の上に取り付けられている。メーターを挟む形で左右に一つずつあり、メーターの確認は妨げていない。椅子の外側にはドリンクホルダーの窪みのあるサイドテーブルが備わっている。
椅子のクッション内部にはスライム組織を粒にした擬似AIを備えたビーズが入っていて座り心地を随時最適にする。
その小さな椅子に、黒いゴスロリ姿の12インチフィギュアが座っているのだ。
正面からの見た目、痛いカブ。
おっちゃんに届く幻聴の一つからは護衛と案内役をする『みつこ・のみこ』と照会された。コードネームも持っているらしいが教えてくれなかった。
殆どそっくりの二体。見分け方はあるのだが、なぜか姪っ子からかかと落としとかローキックを・・・・いや、ちょっと幻覚と幻暈がしたのでこの話は打ち切りな。
不安になってこれまで先送りにしていたおっちゃんは現状の立ち位置を考えた、これは転生なのか転移なのかと。
天の声と名乗る人物から『あのさ、深く考えないで〝異世界ダイブ〟あたりで考えといて』と応えてくれた。詳しく知りたかったが、知らない方がいいかなと判断した。闇というかヤブをつついてはなんとやらだ。
『おーい、ヤブを揶揄うのは儂にまかせとけ』
Tシャツ、カッターシャツ、チノパン、スニーカーのおっちゃんはスーパーカブを駆る。
◯くしまダンジョン内でのみ可能だったオーナー専用スキルも、召喚者ギフトを取り込んだからか幾つか使えるようになっていた。内容はトライアンドエラーで検証中だ。
封印が外れたとかリミッターが解除されたようなものか。
登場人物
おっちゃん ◯くしまダンジョンのオーナーでマスターだが自覚無し
音玄 卍 / 充子[みつこ] 同行者、普段は⅙のドール
音玄 吞魂 / 已子[のみこ] 同行者、普段は⅙のドール
アマシィ おっちゃんの筆頭部下。総支配人
アイ 天の声