[残渣版]-.0 逝く?
・かいつまんで手短に
ご注意
災害を扱った場面があります。不快を覚える方等耐性のない方はこれ以上進まずに閉じてください。
登場人物
おっちゃん ◯くしまダンジョンのマスター
その他
(日常生活ネタを省略)
おっちゃんは不調だった。
一年365日、暴食した翌日でも食欲がなくなるとかムカムカすることは殆どない胃だけは健康体だと自信があった。やく四週間近く続いている。
ここしばらく感じたことのない事だった。
感覚として近いのは1994年の12月下旬、職場の慰安旅行で有馬温泉へ淡路島を経由したときの体調に近い。
――――あぁ、やっぱりか。
揺れた。
なかなかに無粘り着くようなシェイクだ。
部屋には箱に入ったままのフィギュア、元気の出るDVD、薄くはないが内容が準ずる小型で親指ほどの厚味のある本が散乱している。
おっちゃんは腰が抜けたのか中腰で左手を床に右手を壁に付け収まるのを待った。
こんなときの体感時間なんて当てにはならない。
気の遠くなるような悠久の時間が過ぎ、ぷるぷる震えるヒザを気にしながら「儂はやれば出来る子」と口ずさみながら外の風景を見れば、いつもより川の水面が低くなっている。
――――待っちゃあいなかったけどとうとうやってきました南海トラフなんちゃらとやら
――――去年で鎮守役は終わってるし、夏も秋も祭りは中止になってたから今年は空席か?
おっちゃんは座して待つことにした。
屋外からなにやら避難がなんとか兼日宇に紛れて言葉をひらっているが、ここ近辺には避難が出来る場所がまずない〝津波避難困難地域〟だ。
要介護老人を抱えて内陸に向けてドコまで移動すれば良いのかなんて答えは出ていない。
河口方向に手を伸ばし九字を切ってみる。
――――手応えなしですか。そーですか。
――――まっ悔いが無いわきゃないがな。
おっちゃんはまだ微動する床に寝転び目を閉じた。
『オーナーの更新データをスキャン完了しました。ただちにサーバへ転送します』
『異常事態発生、イレギュラーのデーター塊がオーナーの転送データと衝突、移送がずれました』
『A班はオーナーの追跡、B班はイレギュラーの発生カ所と到達地点、C班は解析に当たってくれ』
追跡に当たっていたスタッフが顔を上げた。
『室長、この程度のアクシデントならオーナーは自力でねじ伏せて楽しむ・・・』
『それは前オーナーならそうしたさ。むしろ手を出して「楽しみを邪魔するな」と仰るだろう。しかし現オーナーは〝ながされ系〟だ。どうっているか想像すらつかん。はやく手を打たないと|総支配人(アマシイ様)にどう叱責されるとか想像できるか』
『あっ・・・・・』
余談
ABCの各班は各々ガラハット、ガヴェイン、パーシバルにしようとしてました。