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「神のみ心に従いなさい」から「歴史は繰り返すか?」その1

作者: 小平  (隆)

  西太后の家に住み着いて、速やくもひと月が経つ。最近は西太后もえることもなく、猫の私も平凡な日常にいささきが来ている。着けっぱなしのテレビからロシアのニュースが流れている。


「ロシアの反政府指導者○○氏がドイツの病院に移り、再検査したところ毒物反応が出ました。ドイツ政府はプーチン氏に対し質問状を送りましたが、一切関与していないとの返答でした。」


   。。あれは怪僧かいそうラスプーチンではないか、当時は帝政ロシアを操り、今もロシア人民を操っているのか、、彼の名前はプーチン。。


 「歴史は繰り返す」と云われるが、同じ人間が生まれ変わりながら、無意識むいしきに同じ行動パターンで歴史を創る、故にバリエーションに欠け、結果的に同じシチュエーションをり返してしまう。極端な話だが、善人は良い行ないをするので、生まれ変わっても慈愛じあいあふれた行動を、悪人はその悪しき行ないによって身に付いた悪癖あくへきから、悪事を再び働いてしまう。その様にして歴史は繰り返されるのである。


 かく言う私も、前世で小説家であり、小説家なら誰でもおちいるる西洋かぶれから、先程カタカナを混じえてしまったことを恥じている。


 所詮しょせん猫のひたいほどの頭で考える事など取るに足らない話しであるが、少し危惧きぐしている事が有る。何かと云うと、マスクの着用が世界的な常識に成りつつあること、いったん常態化じょうたいかすると外すに外せなくなる時点が訪れることを人類はまだ認識していないのだ。


 歴史は繰り返す。極論を云うなら、アダムとイブが葉っぱで隠した為に、其処そこあらわにすることは罪悪であり、なおかつ恥ずかしい事で、それがいつの間にか人間として当然守るべき常識となり、ついには法によって禁じられたのである。


 今、新型コロナの感染が拡大している最中さなかにあり、マスク着用が我が身と他者の防衛策として当然の義務と為りつつある。たかがマスクと言うなかれ、息苦しいからとマスクを外した瞬間、警察に逮捕される日が来なければ良いのだが。逮捕の名目は隠した鼻と口を公衆の面前で露出ろしゅつした「公然わいせつ罪」であり、あるいは卑猥ひわいとされた下半身かはんしんならぬ下半顔かはんがんを見せた「猥褻物陳列罪わいせつぶつちんれつざい」が適用されるのだ。まるで現代の小説家、筒井康隆の描くブラックユーモアの世界のようだが、人類にそんな日がやがて来るかも知れない。 


 話が大分逸れてしまったが、皇帝に取り入った怪僧ラスプーチンは皇族によって青酸カリ入り食事を与えられたが未遂となり、更に頭を銃で撃たれたが死なず、河に沈められようやく息絶えた。

 彼は死の間際にある思いを遺す。それは「無念」と「復讐」である。今、ロシア大統領となり、彼の思念は果たされたかに見える。細心にして大胆、彼の為に古巣の秘密警察の友人らが何ら指図されること無く、彼の意を汲んで政敵を排除していくのだ。

 「殺られたらやり返す」それがプーチンの信条だ。


       。。お!いい匂いが。。


       「バーバラ!ご飯よ!」

        西太后が呼んでいる。


 吾輩は猫である。名前はバーバラ、雄猫、前世は夏目漱石で、3千年の記憶を持った生身の猫である。

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