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新学期2


教室からは喧騒が聞こえていた。ガラガラと中に入ると廊下側に野球部のキャプテン谷沢京人たにさわけいと。窓側に蹴球部の松山武まつやまたける


「今日は水曜日だから野球部がグラウンド使う日だろ!」


「いや、この前俺らが使わない日使ったから俺達の番だ」


グラウンドの取り合いをしているらしい。ってか、この光景去年からよく見るな。俺はこの二人と去年も同じクラスだった。

すると、前の扉から誰か入ってくる、


「あんたら、またやってんの?ちなみに、今日は新学期だからグラウンド使用禁止だよ?カラオケでも行ってその熱冷ましてきなさいよ」


入ってきたのは身長が高く。長いロングの黒髪でいかにも初々(ういうい)しい。彼女の名は那須藤楓(なすとうかえで)


「え、きょー使えねーの。仕方ねーな。じ…じゃぁ、委員ちょもカラオケいかね?」


と顔を赤らめながら谷沢が言う。

それに続き松山が


「あ、それさんせーい。前みたいに3人でいこーぜ」


え、どうゆう関係とザワザワとクラスがざわめく。


「委員長は去年の時でしょ。あと、それ小学生の時の話でしょ!アホなこと言ってないでさっさと椅子につく!」


「あと、今年もよろしく……」


最後は小さすぎてなに言ってるのか聞こえ無かった。


キーンコーンカーンと予鈴が鳴りみな席につく。クラスメートは新しい担任だれかな?とか言って時間を潰している。


俺は大智以外特に仲のいいやつはいない。あまり人に関わることが少ないからだ。なので、嫌いな奴もいない。一人を除いて。そう、こいつを除いて。


「やーとくーん。新しい担任だれかな?」


と言って、隣ではしゃいでいるやつがいる。


「誰だと思う?美人な先生がいいよね!?いや、若いってのも捨てがたい。いやぁー、楽しみだねぇー。ねぇねぇ、ちょっと、テンション低くなーい?」


「いや。誰でもいいから」


こいつは天災寺純野(てんさいじじゅんや)。まさに天の災い。朝からうるさすぎて耳がいたい。


時刻は8時40分。そろそろ先生が来てもいいくらいだ。とドアの方を見るとコンコンとなりクラスがしーんとなる。ドアが開きその先生は真っ先に黒板にこう書いて言った。


熱頭塔矢(ねつあたまとうや)と。


「えー、分かると思うがこれから1年間このクラスの担任を持つことになった熱頭塔矢だ。えー、俺がこのクラスを持つことになったからには好き勝手できないと思え。このクラスはなにせ問題児が集まってるからな。えー、まぁ、えー、なんだ、仲良くやってくれ。えー……これで終わり。始業式あるから、体育館移動しとけよ。」


クラスの空気がぐっと重くなる。よくよく思えば確かにこのクラスは問題児が多い。何かと去年も騒ぎを起こしたやつらが集まっている。見た目は普通だが案外こういうやつらに限って何かやらかす。あと、不登校のやつもいる。名前は……何だったか忘れてしまった。ともあれ、俺も体育館に向かおうと思ったその時。


「テメェ、今肩当たったんだけど?あー、これ、完璧折れたわ。賠償金払えよ?」


「はぁ?お前ふざけてんの。こっちが当たられたんだけど?普通女子優先でしょ?頭に脳味噌入ってんの?」


これ、ヤバいやつだ。お約束?なのだろうか。ヤンキーとギャル。どっからどう見てもグレている。どうやって高校入ったのか不思議に思ってフッと笑ってしまった。


「あぁ?何笑ってんだ小僧?」


「テメェ、ウチら見て笑ったのか?ちょーしのってんなら締めるぞ?」


このやり取りは慣れている。その時はいつもこう答える。


「あー?誰に向かって口聞いてんだ?俺の名前わかっていってんのか?稲葉。稲葉八鋭なんだけど?」


とヤンキーの胸ぐらを掴む。


「い、稲葉。あの稲葉財閥の……悪かった反省するから許してくれ」


その言葉を残し二人は去っていった。

クラスでは稲葉やるじゃんなどと歓声の声が上がった。


その中で大智と真由美だけははぁーと溜息をつきそうな目でこちらを見ていた。



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