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あめのちはれ。  作者: 小鹿野 三子
雨女と晴女?
1/23

はじまり




辺りは暗く澱みゆく。


ドロドロとした川のような靄に包まれて、そのドロドロに身を任せながら深い眠りについている彼らは、ゆっくり、ゆっくりと流れていく。


この世界、始まる時もそうだった。


形がなく、ドロドロし、混沌としていた。


ここに眠る彼らは、沢山の出来事を、長い時間をかけて体験している。


それは誇り高き事であったり、許されざる事であったりする。




この世界は既に終わっている。



彼らは死んではいない。



人々が、頁をめくり続ければ、彼らは死ぬことは無いのだから。


人々が、この本を読み返すのをやめるときまで、彼らは何度でも蘇るのだ。



同じ人生を、彼らは永遠に繰り返す。



しかし、同じ人生を繰り返すということはあるいは、進まない人生を彼らは過ごしているということだ。


進まない人生など、死んだも同然 。



私は永遠に生きながらに死んでいる 、可哀想な彼らに、少し だけ、新しい人生を与えようと思う。








辺りは暗く澱みゆく。


ドロドロとした川のような靄に包まれて、そのドロドロに身を任せながら深い眠りについている彼らは、ゆっくり、ゆっくり、光の射す方へと流れていく。



ここに眠る彼らは、沢山の出来事を、長い時間をかけて体験している。


それは誇り高き事であったり、許されざる事であったりする。




眠りについてから果てしない時間を経て、彼らの行い総てが時効を迎えた。



彼らは再び始まりに向かっている。


生まれ変わるのではない。


同じ人生を始めるわけでもない。



少しだけ、新しい時代に…。









もうすぐ、目が覚める。




起きやすいように、 数えてあげよう。





三 、 二 、 一 、







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