恋も夢も落ちていく
秋も深まり、僕は一人木を見上げていた。
冷たい風が吹き抜ける。
その度に、少しずつ少しずつ葉は落ちて行く。
ひらひらと葉が落ちて行く。
その度に、僕の夢も消えて行ってしまうのであろう。
一枚、また一枚と消え去ってしまうのであろう。
そう思ってしまい、なんだかとても悲しくなる。
もう一度だけでいい。
もう一度だけ、あの夏に戻りたいよ。
チャンスが欲しい。これが変えられない運命だとしても、もう一度。
日に日に冬が近づいてくる。
葉の数もどんどん減って行ってしまう。
それでも君への想いは減って行ってくれない。
それと反比例しているように、今でも日に日に君への想いは募って行くんだ。
忘れたいと思うと、どうしても忘れられないんだ。
そうはなぜなのだろう。
大きかった月が、遠くなっているような気がする。
それを見る度に、溜め息を吐いてしまう。
手を伸ばせば届きそうなほど、近くにあった月。それが今は、あまりにも遠かったから。
虚しい想いで、また溜め息を吐いてしまう。
その度に、僕の夢は消えて行ってしまうのであろう。
それを想って、また溜め息を吐いてしまうのだ。
嫌だよ。嫌なんだよ。こんな日々、もう嫌なんだ。
毎日毎日、溜め息吐いて泣いてばかりいて。
早く抜け出したい、って思いはするのだけれど。
日に日に寒くなって来る。
葉の数は減って来る。
それと反比例するように、溜め息の数は増えて行っているような気がするよ。
溜め息を吐くと、何もかも去って行ってしまうんだ。
そうは思っても、溜め息は自然と零れてしまうんだ。
日に日に夢も消えて行って、君への想いすら枯れて行ってしまう。
それはなぜなのだろう。
もう一度、一度だけでいいんだ。
あと一度だけ、お願いします。
君の笑顔が見たいんだ。もう決して見られない、僕の大切な笑顔を。
日に日に冬が近付いて来る。
葉の数もどんどん減って行ってしまう。
それと反比例しているように、今でもまだ、今でもまだだよ? 日に日に君への想いは募って行くんだ。
もう終わったことだと思っても、それを僕自身が認めたがらなくて。
それはなぜなのだろうか。
暑い夏、気温の上昇と共に熱くなっていった恋。
しかしそれは、気温の低下と共に冷めてしまうのか。その程度の恋だったと言うのか。
もし君にとってその程度の恋だったならば、それは仕方がないだろう。
君にとっては、夏を共にする程度の存在だったんだよね? 両想いのようで、片想いのような恋。
恋も夢も落ちていく。