5 他殺されるんだって
「それにしてもなんだここ…森か?」
「まーそんな感じ。
自然できたものじゃないけどね」
俺たちがあのゲートを抜けた場所は気に囲まれた森の中のような場所だった。
歩き始めて5分程度というところか、とりあえずシロナに話しかけて見ることにした。
「…で?さっきの話、続きは?」
「ん、あーあれね。
あれはスキルって言うんだけど…わかるでしょ?ゲームとかでよくある」
「いや、それもだけどそうじゃなくて…
なんでお前がそのスキル?を使うことができるんだ?
あとここはどこなんだよ」
かれこれ30分くらいたっているが、正直色んなことがありすぎていまいち自分の状況が把握できない。
今は目の前のこいつに聞くしかなさそうだし…
「そうか、じゃあ最初からー。
あ、名前は…」
「ツバキだ」
「知ってるし!
私はネット上に存在する電脳国家に住んでるんだよー…だからスキルとか使えるの」
まぁ住民はだれでも使えるんだけどね、と付け足すシロナ。
ていうかなんで名前しってんだよ。
気になるが今は状況を把握することを優先させるべきだ。
めんどくさそうだしあとでもう一度聞くか…。
「電脳国家…?
ネット上って、お前どう見ても生身だろ」
少し前を歩いていたがチラッと視線をこちらに向けて、
「だからここはその世界の中なんだってば」
また前を向いてしまった。
「…?
あと、俺のパソコン。
なんか画面から出入りしてたろ。
それもその」
「そうだね、スキルだよ」
「あー…つまり、シロナの使うスキルの力によってパソコンから出てきたお前にネット上の電脳空間につれてこられたってことか?」
「そうそう。
で、今はひたすら目的地を目指してあるいてんの」
スキルか、なんだか便利そうだ。
よくわからんが俺にも使えるものなのだろうか。
「あっ!!」
「なに!?」
思い出した、というか忘れてた。
「…俺をここに連れてきた理由はなんだ?」
シロナはああそういえば、と振り返る。
「あー…1番大事なこと言うの忘れてたね…」
右手を後頭部にまわし、白く長い髪の毛をわさわさと触る。
どことなく言いづらそうにしている。
お、おいやめろよなんか怖くなるだろ。
「ごめん、こっちの国でも戦争とかで人が足りなくなっちゃってさ。
…人員不足なんだよね」
「まさか…」
「ははは…、残念だけど…こっちの世界に住んで貰えるかな?
っていうことなんだ」
…冗談だろ?
足の力が抜ける。
今にもその場に崩れそうだ。
待ってくれよ。
な、なんで…よりによって、
「なんで俺が…?」
その質問を聞いた瞬間シロナが立ち止まった。
「…さっきスキルの話したでしょ」
「…?」
「うちの国、軍事関係の上層部が探索系のスキルをもってる人を集めて…
…近い未来、現実側の世界で死ぬ人を選んでるの」
それってまさか、
「確かあんたは…2ヶ月後、死因は他殺だって」