砂漠
男は手に持った、普通としか言いようのないダイス(賽子)を降った
その手から放たれた
六個の真四角の物体は
互いに小さな、窪みのように
凹んでいる
テーブルの中央で
ぶつかり合いながら
徐々に動きを止める
男はそれを見終わると
「6ー3 2ー1 5ー1 3ー1」
と、出ている賽子の目を言った
それを聞くなえり
「いかさまだー」
誰かが叫ぶ
その声に
他のテーブルの客が何事かと
そちらを見ると
一人の男が
ディーラーに向かって
叫ぶ
身なりはぼろおぼろで
顔色も悪い男は
黒髪に
五十は、なっていそうな、ジャポンの男に言う
「あんたは、いかさまを今したんだ」
・・・
五十のジャポン男は、軽く肩をすくめると
「ワイ」
と、カタカナのような、英語を言った
(どういう事)
しかし
目が徐々に充血している男は
「そんなこと言ってるんじゃねえ」
そう言うと
ケーブルを激しく叩いた
その音を聞きつけて
警備員が
ボロボロの男をひっつかまえて
出口の方へと向かった
五十男はといえば
やれやれというように
首と肩を振って
何事もなかったかのように
テーブルに付くのである
「ラスベガスの砂漠」
「イタチコーポレーション提供」
あとがき
男の手に持っている
拳銃が火を噴いた
その反動で
男は後ろに倒れる
「てめぇーーなにしやがる」
相手の白人は
そう言うと
今ぶっ放した老人に駆け寄った
「・・まあまあ」
どこからともなく現れた少年が
今にも殴り壊しかねない
白人の肩を後ろから羽交い締めにするように
抱きついた
「なっ・・何だお前は」
白人は
唾をまき散らしながら
そんなことを言う
老人はというと
酷く腰を打ち付けたのか
それとも気絶したのか
道に倒れたまま
動かない
それを見て少年は
「ッチ」と
軽くしたうちしたが
そんなことは
無かったかのように
「いやいやお兄さん、ちょっとあの人も頭に血が上っていただけですよ」
そう言って彼をなだめる
「なにを、あのくそじじいは、俺をあの拳銃で殺そうとしたんだ
これは立派な犯罪だ」
「・・あなたも同じ事をしようとして居るではないですか
お兄さん」
「・・・っえ」
男が後ろの少年に
わずかに曲がる首を回して
脅すように睨んだ
「だとしたらどうなんだ」
男は酷く気味の悪い
どちらかと言えば
黄色に近い
白目で
少年をみる
「ははは・・・・」
少年はそこで
思いっきり
男の股間を
蹴り上げると
「ニゲローー」
なんておどけたことを言いながら
うずくまった老人を
その小さな細身の体では
とてもおかしな感じだが
担ぐと
夜の路地裏に消えていった
「あ・・あいつ・・・」
男は地面に
先ほどの老人のように
うずくまりながら
そんなことを言うのであった
先走りの肉汁を食べる黄色い野犬
私はそのとき
野球のテレビを見ていた
いつもやっているような気がするが
そんなことはないだろう
それでも
気が付いたときにつけたTVは、いつも、パイナッポーズである
まったく、どういう事か
基本的にスポーツに関心はない
もし少しあるとすれば
祖父母が好きだった「スモウ」という、太った人間が
ぶつかり合う、面白い競技である
私は、皿を大方片づけ終わり
ただ、イスに座って
そんなTVを眺めている
窓の外は
ビーチを
その前に、道路
その道沿いには
点々と、たまにけが人を出す
ビッグテーブルというヤシが植えられていた
また、TVに、目を移すと
それを見計らったかのように
扉が、軽快なベルを鳴らして
開いた
「やってるかい」
私はそんなことを入ってきた人物に声をかけられた
男は年齢は
五十過ぎ
髪はその年だからなのか
どうかは知らないが
実に整えられ
普段、客商売をしているのではないかと思う
そう言う奴が
やってきた
始めてきたのはいつくらいだろうか
もう、二十年は、立つような気がするが
自分の記憶力に自信がない
私は奴が来たのを見計らって
いつも食べる
ピッグ・バーガーサンドセットを作り出す
軽く焼いた
円パンを二つ引っ付けたような物に
こんがりと焼いた、ベーコンを三枚挟む
さらにトマト、熱して溶かしたチーズ
さらには、小松菜、レタス、卵を入れ
仕上げに、塩をふると
トレーに乗せる
そしてその横に
フランクフルトを
緑色のメロンソーダープラスストローを、沿えて奴に出す
「いただきます、マイク」
別段私はマイクではないが
一度言ったっきり
二度と言っていないが
直さないので
そのままにしてある
ちなみに、この店が「マック」というので
その流れで無理矢理つけたのではないか
そんなことを私は思っている
ちなみに
この店には、祖父母がコレクションしていた
様々なステージの
様々なマイク&サインが、飾られたショーウィンドー・・・・やはりあれのことでそう言うのか
どちらにしても
客に口を出すこともない
私は
奴がメロンジュースに口を付けるのを見ると
そのまま、いつもつけるとやっている
パイン戦の
試合を
ボーーと眺めた
デルタ構造をデルタクリニックより生放送、中継
私は、かれのいかさまを暴こうとしていた
しかし
それがもし
いかさまであれば
私が目にしているのは
神にも等しいコントロールを所有した
ディーラーと言う名の、マジシャンを目にしていることになる
しかし
マジシャンと、プロのディーラーの違いは
それがいかさまだと分かった上で、やってはいけないと言うことなのだ
しかし
私はテーブルの上の
サイコロを見た
どう見ても
偶然
しかし
ここの台だけ
そんなことばかり起こるのは
やはり明らかにおかしい
私は、いつも渡された
代金を、このテーブルで使っていく
勝てるのは3分の1程度だろう
しかし
たまに大勝ちするから
その差は、5分の2ほどなのかも知れない
どちらにしても
私はここで奴の技を見抜かねばならない
それがもし
腕だというのなら
そう知らせればいいし
もしたねがあるのなら
それを教えなければならない
私はそう思いながら
またテーブルを
ばれないように
見つめる
このゲームは
六個のサイコロを使い、
それを中央の窪みに投げ入れ
そこで、出たぞろ目で数が一番多かった物は、何かを当ててきそう
しかし
たまに、重なることがあったりすると
その一番上の数字が
ぞろ目の数として適応される
もし同じ数ぞろ目がそろえば
それは、ダブルとなり
ダブルにかけていた物が
三つなら
トリプル
もし、すべてそろわなければ
役無し
ノーペアーにおいた者が取ることができ
さらに
ダブルやトリプルにおいて
さらに、どれが、当たるかを予想して当てると
それはすごい数となる
ちなみに
サイコロが三個以上重なると
「ダイス・ダイス・ダイス」と呼ばれ
その数は、増えるごとに、ダイスと言う、サイコロを示す
単語が、一つ増える
つまり、五つだと
「ダイス・ダイス・ダイス・ダイス・ダイス」
六つだと
「ダイス・ダイス・ダイス・ダイス・ダイス・ダイス」
通称
「パーフェクトタワー」とか「シックス・ダイス」みたいなことを言われるが
なにを隠そう
このテーブルで、たまに起きる
それも、一日一回は、必ず
これのどこが偶然だろう
普通に六個も積み上げるだけで
それなりみ面倒だ
それを
勢いよく投げて
それが積み重なる
もはや神のダイス「ゴット・ダイス」である
私はサイコロ見目を向けた
そこにはばらけたような数字
「・・・・・」
そんなとき男が声をかけた
「お客さん、そんなに、ダイスタワーがすきなんですか」
それは、明らかに、私に声をかけていた
そして
このテーブルには、いま
私しかいない
できるだけ誰かが座っているときに
この席に着くようにしていたが
話しかけられるのは
これがはじめてだった
「ええ」
「パーフェクト・ダイス」
「ダイス・ダイス・ダイス・ダイス・ダイス・ダイス」
「・・っえ」
私は男の言った意味というか
なにを言おうとしているかを探る
しかし分からない
「・・・あなたが目にしてきた確率は、普通なら、一億分の一にも満たない・・しかし、なぜここでそれが毎日起こるか・・・」
「なぜです」
私はつい
聞き込んでしまう
「・・ヒミツです」」
「・・・っえ」
「・・・どうも、あなたが来てから起こるようになったような気がします」
「・・・・しらばっくれないでください」
「ははは」
「・・・・・でも、何でこんなところで仕事してるんですか
こういうのもなんですが
ディーラーなんて、殆どチップじゃないですか」
「ははは、よくご存じで」
「なんで、あんな技ができたら
ステージで、すごいお金が入るでしょ」
「ははは」
男は意味のつかめない
笑いをまたした
「ここは安全なんですよ・・はは」
全くこの男は
何者か




