カンガルーVS人間 ~強いのはどちらだ~
我は、カンガルーである。名前など持っていない。我は、強きカンガルーである。今までの戦いは連戦連勝であった。我の友人で、人間に素手で殴られ失神したと語っているものがおった。誠にふぬけておると言わざるをえない。我であれば、人間の脆弱な拳くらいで失神などはしない。それどころか怯む事も無いだろう。それに我には必殺技がある。数多のカンガルーをこの技で倒してきた。これがあれば人間等恐るるに足らない。
「あ、カンガルーがいるぜ! あのカンガルーを素手で倒してやろうぜ!」
何やら騒がしい人間が二人やってきおった。我はカンガルーの中でも特に体躯のでかい方であるが、あの騒いでいる人間も人間の中では特に体躯のでかい方であろう。
「おい! カンガルー。お前をこれから、失神させてやるぜ!」
人間が我にファイティングポーズをとっておる。もう一人の人間はその様子を眺めているようだ。そうか、我と戦う気なのか。よろしい、受けてたとうではないか。私は、人間に向ってファイティングポーズをとる。
「ジャブ ジャブ ジャブ」
人間が我の顔に、パンチを当ててくる。人間にしては中々やるではないか。だが、これ程の痛み、大した物ではない。
「ストレート!」
ツッ! 想像以上の強い痛みが頭を駆け抜ける。人間もこれ程のパンチを打つ者がおったということか。
「あ、少しぐらついちゃった? マー君、こいつもう少しで倒れるぜ!」
何やら人間がニヤニヤと笑っている。何を言っているかはわからぬが、無性に腹の立つ表情をしておる。よし、我の必殺技をこの人間に味あわせてやろうではないか。そう言うと、我は機会を伺った。
「ジャブジャブジャブ」
先程と同じくらいの痛みを顔に感じる。
「ストレート!」
今だ! 人間の拳を潜り抜け、人間の背後を取る。我の必殺技を受けぃ! 我は、相手の喉元に手をまわすと、思いっきり腕を胸へと引き寄せた。
「う、うぐっ、がぁっ、ぁ……」
人間の顔が青くなっていく。口から泡を吐き始めた。良く見ると白目を向いている。やっぱり人間等大したことないわ。もう一人の人間も目を白黒させて驚いている。腰が抜けて立ち上がれないようだ。腹が減ったな、いつもの柔らかい草を食べにいくとするか。腕をゆっくりと離し、飛び跳ねながら餌場に向かった。
二個目の投稿作品です。この動画を見て書こうと考えました。世の中には強いカンガルーもいるものですね。
https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=zTEK607IKGU#t=0