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美少女、遊びに行く【萌香の家編】

第二十三話 美少女、遊びに行く【萌香の家編】




 うーん。

 僕はベッドの上に広げた三着の洋服を見て、ひとり唸っている。

 どれを着るのがオシャレか、ではなく、どれを着れば一番目立たないかを考えているのだ。

 本当に不本意ながら、自分が目立つ存在だということは理解した。

 何で男の時には地味だったのに、女の子になってから目立つんだよー。男の時の僕に、もう少し光をあげたかったです。

 まあ、もう女の子になってしまった上に、元に戻る術など全くわからないので、男の時の過去を考えても今は昔。僕は今を生きています。ふ

 何故服を選んでいるのかというと、ズバリ外に行くからだ。

 今日は土曜日。高校に入学してから初めての休日なのだ。

 そしてそんな休日に、萌香ちゃんから「家に遊びに来ない?」というお誘いがあったのだ。

 女の子の家に行くとかドキドキするけど、断れなかった。だって、ドキドキするけど、行ってみたいでしょ? 男の子だもん。いや、外見は女だけど。

 さて、そんなわけで僕は着替える服を選んでいた。実は僕は女の子になってから、一人で外を出歩いたことがほとんどない。

 学校から家への往復は基本良治と一緒だし…。春休みにおつかいに出たくらいか。でも、あの時は自分が目立つってことをよくわかってなかった。

 そのまま知らなければ幸せだったのにな。…そんなわけで、自分がなぜか目立つことを理解した僕は、地味な服を選んでいるのだ。

 

「よし」


 誰もいない自分の部屋で、僕は頷く。

 今日はこれを着ていこう!

 僕が選んだのは、白と黒のボーダーの長そでのチュニックだ。裾が黒いレースになっているので、パット見重ね着をしているように見える。これに黒いハイソックスでも履こう。

 うん。黒ばっかだ。この地味なファッションなら、きっと背景に溶け込める。

 僕はちゃっちゃと着替える。初めはどきどきしてしまった自分の下着姿も、毎日見ればもう何も感じない。お風呂ですら何も感じないのだ、下着程度ではどうということはない。

 …ブラとショーツの着用に慣れてしまうなんて何て女々しいど変態になってしまったんだ、と思う反面、やはり女性向けの下着は女の子の体にはよく合うと感心している自分がいる。

 下着の上にキャミソールを着て、さらにその上にチュニックを着る。

 よし、準備完了。朝ごはんの準備をしよう。

 

「あら、アユミちゃん。今日も可愛いのね!」


 ママもとい母さんが洗面所から顔を出した。


「ママ、これ目立たないよねっ!」


「うーん、残念だけど、そのロリロリなファッションだとアユミちゃんは余計目立ちそうよ♪ 今日お出かけだからおめかししちゃってるのよね」


「ま、まじすか…」


 おめかししたつもりは全くなかったんだけど、そう見えるらしい。もうどうすりゃいいんだよ!


「あとその言葉づかいは減点対象よ? 次はお小遣い減らすから、気をつけなさいね♪」

 

 そして相変わらず、うちの母さんの乙女教育は厳しい。



    ******


 萌香ちゃんとは、彼女の家の最寄駅の入口で待ち合わせている。

 待ち合わせの時間の三十分前に着いてしまった。僕の地元の駅までは徒歩なので、遅れないように早く出たのが早すぎたようだ。

 僕は念のため、萌香ちゃんの姿を探す。しかし流石にまだ来ていないようだった。

 僕は駅前のベンチに腰掛けてスマートフォンを取り出す。萌香ちゃんに「もう着いた」とメッセージを送ると、「あと十分くらいで着くよっ」と顔文字まで入った可愛らしいメッセージがすぐに返ってきた。

 あと十分ならこのままスマートフォンでもいじってればいいかな。

 僕はつい最近インストールしたゲームを起動する。タッチするだけで操作できる簡単なアクションゲームだ。ただ移動しているキャラをタッチしてジャンプして、穴に落ちないように頑張るだけのゲーム。生き残った距離を競う。しかし、なかなかどうしてこんな単純なゲームでもはまる。気づいたら暇な時にやっているのだ。

 ベンチに座っていると、駅に入る人、出る人が僕をチラチラ見ていく。母さんの言ったように、やはり目立つようだ。

 その視線が気になるから、猶更ゲームに熱中しようと頑張った。まあ結局そんなに簡単に割り切れるもんでもなく、全然集中できずにボロボロだったけど。

 

「あ、いたいた♪ アユミちゃん、はろー」


 暫くして、萌香ちゃんがやってきた。


「こんにちは」


 僕もあいさつを返す。

 今日の萌香ちゃんは、薄いピンク色のパーカーに、赤と黒のチェックのミニスカートを履いている。さらにスカートの下には黒いタイツを履いている。春らしい色遣いで、本人の可愛さとよく合っていた。

 


「ふぁ! 今日も凄い可愛いね♪ 私服姿もやっぱりいいよ、アユミちゃんは」


 そう言って萌香ちゃんは僕の頭を撫でる。


「それじゃ、私の家に行きましょっ」


 今日は萌香ちゃんと二人だけなのだ。

 はっ! 二人きり!? これじゃあデートじゃん? いや、女同士ではデートにならないか。僕の心情的にはそうでも、相手はそう思っちゃいないだろうし。

 萌香ちゃんが右手を差し出してきたので、僕は手をつなぐ。


「こんなに素直に手握ってくれるなんて、うれしいな」


「えっ? わっゴメン!」


 なんでナチュラルに手を握ってるんだ! 後から来る恥ずかしさ。

 考えなしに、その時のノリで何かしてしまうクセはやめよう、やめたい。

 慌てて手を放そうとしたけど、萌香ちゃんは手を放してくれなかった。


「せっかくだから、家までつないでいこうよ♪」


 思いのほか彼女の機嫌がいいので、僕も頷く。

 

 

 

    ******

 

 そんなわけで僕は今、萌香ちゃんの家の前にいます。

 萌香ちゃんが玄関の扉をあけて手招きする。

 ぐっ、なんか緊張するぞ! おおおお女の子の家に入るなんて! 男の家にもほとんど入ったことないのに。なんていう難易度の高さ。


「どうしたの? はやくはやく」


 なかなか入らない僕を見てキョトンとしている萌香ちゃん。

 まあ、そんなに慌てないでください。僕は僕で必死なんです。他の人の家に入るというのは、この上ないアウェー感を感じる、かなり敷居の高いミッションなんだよ! ましてそれが女の子の家となるとベリーハードだ!

 まずは深呼吸して、素数を数えよう。いち、に、よん…いきなり間違えた! もういいや!


「おじゃまします…」


 僕はゆっくり玄関の中に入る。

 これが萌香ちゃんの家かー。他人の家に入ると、自分の家とは全然違う匂いを感じるよね。これっていったい何なんだろうなあ。


「あははっ。緊張しなくても、今日は親いないから」


「あ、そうなんだ」


 少しホッとする僕。


「だから、色々したい放題だよ?」


「? 色々?」


 騒ぎ放題ってことかな? 女の子二人でそこまで騒げるかなあ。

 そんなことを考えている僕を見て、萌香ちゃんはくすくす笑う。


「アユミちゃんにはまだ早いかあ」


「なにが?」


「ウウン、気にしないで♪ とりあえず私の部屋にいこ?」


 萌香ちゃんは先に靴を脱いで中に上がる。そしてそのまま、玄関のすぐそばの階段を上がっていく。

 ぴょんぴょん上がっていく萌香ちゃん。ぱ、パンツ見えるって! ってなんで僕が恥ずかしがってんだ!

 僕もとりあえず、中に上がらせてもらい、ついていく。ちなみに結局見えそうで見えなかった。流石女の子としては大先輩なだけあって、その辺はしっかりしている。

 階段を上がって、萌香ちゃんが一つの部屋の前に立つ。


「ここが私の部屋だよ」


 そう言って萌香ちゃんは扉を開けて中に入る。

 ここが女の子の部屋ですか。僕は永遠に入ることはないと思ってたけど、まさかこんな形でくることになるとは。

 でも入っちゃっていいのかな。僕の中身は男。うん、まずい気がする。別にだましてるわけじゃないんだけど、なんかそんな気がする。

 入口で固まってる僕を不審に思ったのか、萌香ちゃんが中から出てきて僕の手を引っ張った。

 僕はそのまま、部屋の中に入ってしまう。

 部屋の中は、可愛らしいぬいぐるみや、小物がいっぱい置いてあり、いかにも女の子の部屋って感じだった。壁紙の色合いも薄いピンク色だし、可愛い部屋だなあ。

 一方で僕の部屋は、いかにも無趣味の男の部屋ですーって感じに何もない。

 べ、別に負けた気分になんてなってないから! ぬいぐるみとか僕いらないからっ!


「アユミちゃん座って座って」


 部屋には、クリーム色のカーペットが敷いてあり、中央には白い小さなテーブルが置いてある。そしてその周りにクッションが三つほど置いてあった。僕は言われたとおりにクッションの一つに座る。

 

「ちょっとお茶入れてくるから、待っててね」


 僕を座らせると、萌香ちゃんは部屋から出ていく。

 僕は部屋に一人。

 うん、何も考えないようにしよう!

 なんかちょっと甘い匂いがするとか、そういうのも気にしないようにしよう!

 そんな風にそわそわしてると、僕の背中で部屋の扉が勢いよく開いた。突然の事なので、僕はびくっとして振り返る。


「おねーちゃーん。友達きたの?」


 そこで僕と目が合う。女の子だ。身長は萌香ちゃんと同じくらい。顔立ちもよく似ているけど、若干萌香ちゃんより幼い印象がある。萌香ちゃんも結構童顔だとは思うけど、それよりさらに少し子供っぽい。

 

「えええええ! 何この子! かわいー♪」


 大きな声を上げると、その子は僕に抱き着いてきた。

 そしてそのまま、頬を僕に擦り付けてくる。


「きゃぁー。超すべすべー! こんなお人形さんみたいな子がいるなんて信じらんない!」


 あまりの勢いに僕はついに床に押し倒されてしまう。

 な、なんて勢いのある子なんだ!

 それでもお構いなしに抱き着いてすりすりしてくる女の子。気のせいか息が荒くなっている。


「はぁ、こんなかわいい子、耐えられない! 着せ替えさせたい、着せ替えさせたい!」


 目が怪しく光ってるんですけど! ってゆうか助けてー!

 僕のチュニックに手をかけて引っ張っている。

 ぬ、脱がそうとしている!

 明確な身の危険を感じるよ! ってダメだって! 本当に脱げる! っていうか掴みすぎ! キャミソールも一緒に脱げるって!


「こら! 藍香あいか! 私のアユミちゃんに何してんの!」


「私のって、萌香ちゃんのものでもないでしょー!」


「はっ、おねーちゃん。ってことは、この子がおねーちゃんが言ってた友達?」


「この子って言わないの! おねーちゃんの同級生なんだから」


「あ、そうか! おねーちゃんの友達なら、おねーちゃんと同い年だよね。ええー! 高校生!? おねーちゃんが年増に見えるじゃん!」


「年増じゃなーい! そんなこと言うと、追い出すよっ」


 はっきり言って僕は置いてきぼりでした。

 何でか知らないけど、突然抱き着かれた挙句に押し倒されて、よくわからないままに服を脱がされかけて、そしてよくわからないまま放置されているという状況。全く意味が分からないよ!

 

「あ、待たせちゃってごめん、アユミちゃん。お茶持ってきたから」


 それはわりとどうでもいいっ!


「こらー、藍香! いつまでアユミちゃんの服剥ごうとしてるの!」


 萌香ちゃんがそういうと、藍香と呼ばれている女の子は、渋々、本当に渋々手を放してくれた。…そんな名残惜しそうな顔で見ないでよ…。

 僕は慌てて乱れた服を直す。

 

「えっと、萌香ちゃん。この子は?」


「え、ああ。私の妹。藍香っていうの」


「よろしくー」


「あ、よろしく。僕は佐倉歩」


「うん、よろしくねっ! アユちゃん!」


「なれなれしいよ! 藍香!」


「僕は別にそれでもいいよ」


「ほらー! おねーちゃんは遠慮しすぎなんだよ!」


「そ、そうかなあ」


 萌香ちゃんは僕の方をちらっと見る。

 遠慮…だと? 今まで遠慮の要素が見えたことがないんだけど、一体どこの星の萌香ちゃんの話なのだろうか。

 まさか、まだ真の力を隠しているのか…。萌香第三形態とかあるってこと?

 

「あ、とりあえずおねーちゃんも座って座って!」


「待って! 待って! ここは藍香の部屋じゃないでしょー!」


 と言いながらも座る萌香ちゃん。僕もクッションの上に座りなおす。


「アユミちゃん、今日私の家に呼んだのは、実は藍香が呼べってうるさいからなんだよー」

 

「だって、おねーちゃんが「超可愛い子がいるんだぁ♪」って毎日ホクホクしてるから、見たくなっちゃったんだもん」


「藍香、それで実際見た感想は?」


「超可愛い♪」


 うっとりした顔で僕を見る藍香ちゃん。僕は本能的に後ろに下がる。


「ほらぁ! アユミちゃんどん引きだよ! だから連れてきたくなかったのにー」


「うー、だって興奮するじゃん! なんか凄い無防備だし!」


「それは言えてる」


「ねっ♪」


 仲いいなキミタチ!

 ちょっと隙を見せたら服を脱がす家とか、とんでもないところだよ、ここは!


「あっ、何も服脱がすのが目的じゃないんだよ、アユちゃん! あたし衣装作るのが趣味でね、着てくれる可愛い子を探してたんだよー」

 

 嫌な予感しかしない。

 ちなみに藍香ちゃんは今年中学三年生らしい。僕らの一個下だ。一個下の同性の姉妹となると、殆ど友達と同じ感覚なのかもしれない。


「でねっ! でねっ! アユちゃん! 折角だからあたしの衣装をき―」


「いやっ!」


 僕はぶんぶん首を横に振る。

 

「えーっ! いいじゃーん!」


「お、お姉ちゃんに着てもらって」


「やだー。お姉ちゃんの顔って私と似てるんだもん。自分と同じような人が着ても嬉しくないじゃん!」


「私も藍香の服はやだなー。恥ずかしいし」


「自分が着て恥ずかしい服を僕に着せるの!?」

 

「待って! 待って! アユミちゃんが着ると多分恥ずかしくないよっ? 私が着ると残念だけど、アユミちゃんは多分超可愛くなる♪」


 どういう基準なの!

 萌香ちゃんも、客観的に見ても断然可愛い方に入る。その萌香ちゃんが恥ずかしいのに、僕に合うわけがないじゃん!

 

「アユちゃん、着てくれないの?」


「アユミちゃん、着てくれないの?」


 本当に仲がいいな! キミタチ!

 そんなにダブルしょんぼりしないでよっ! なんかちょっと悪いことしてる気分になるじゃん…。

 

「一着だけ! 一着だけお願い!」


「そんなこと言われても、僕恥ずかしいもん」


「はうあ! 何、その恥じらい方! こんな可愛い子が、おねーちゃんと同じ女の子なの!? 信じらんない」


「藍香だって私と似たようなもんでしょー!」


「この可愛さは、着せ替えるべき! 着せ替えできないと人類の損だよ!」


 手をわきわきしている藍香ちゃん。

 その手つきが怖いです。僕はまた少し後ろに下がる。


「こらー! アユミちゃんを怖がらせるなー! もううちに来てくれなくなったら、藍香責任とれるの!?」


「えー!? 来なくなっちゃう? きてくれるよね?」


「う、うん?」


 なんかちょっと違う発音に聞こえたんだけど、頷いてしまった。


「はーい! 言質とりましたー! 着てくれるそうでーす!」


「汚い…! 私の妹ながら、本当に汚いっ!」


 そういう意味かぁああ! 道理でアクセントかかってる部分が変だなと思った!

 前後の文脈から勝手に補完した結果がこれだよ!

 こんな手に引っかかるなんて、くっそー。

 

「…ねえ、アユミちゃん。うちに来るの、もう嫌になった?」


「えっと…」


 そんなに泣きそうな目で見ないでよ、萌香ちゃん。反則でしょ。

 もう勘弁してくださいとも言えず、僕は首を横に振って否定するしかできないのであった。

 弱っ! 我ながら。しょうがないじゃん!

 僕が否定すると、萌香ちゃんは嬉しそうに笑った。うーん、やっぱりかわいい。

 

「はーい、おねーちゃん、いい雰囲気つくらなーい。今からあたしの衣装を着てもらいまーす」


「えっ、やっぱり着るの?」


「アユちゃん、着てくれないの…?」


 本当に似たもの同士だな! キミタチ!

 何で同じように泣きそうな目で見るんだよっ! 僕どうしようもないじゃん! 断れないじゃん。

 僕はもう力なく、うなだれるしかなかった。


「一着だけだからね…」


「ホント!? やったー♪ 自慢の一着を持ってくるから待っててね!」


 ものすごい勢いで部屋から出ていく藍香ちゃん。

 今のうちに逃走してしまいたい。


「アユミちゃん、心配なのはわかるけど、藍香の衣装はすごいんだよ! 超綺麗だし可愛いから大丈夫!」


 そこを心配してるんじゃないんだけどね…。

 まあもうどうとでもなるよ…。

 どすどすと走る音が聞こえてきて、再び部屋を出た勢いと同じ勢いで戻ってくる藍香ちゃん。

 

「これこれ! これ着て!!」


 藍香ちゃんが手に持ってるのは、水色の…スモック?


「って、それ幼稚園の衣装じゃん!」


「そうそう♪ アユちゃんならすっごい可愛いと思うよ!」


「却下!」


「「えー、なんで!」」


 本当に仲良すぎるくらい良いな、キミタチ! ハモらないでよ!

 どんな衣装持ってくるのかと思ったら、特殊すぎるでしょ!

 確かによくできてるけど、それをこの場で着て見せるとか、公開処刑に他ならない。恥ずかしくて頭がオーバーヒートしちゃうよ。本当に顔から火が出そう。


「とにかくだめっ! それを着るなら、もう来ないんだからっ」


「もう来ない…?」


 萌香ちゃんと藍香ちゃん両方とも、ものすごい勢いで萎んでしまった。


「あ、えっと…。その衣装はちょっと着られないから、今日は着替えはなしでいいかな…?」


「そしたらまた来てくれる?」


「うん、また来るよ」


「アユちゃん、ホント?」

 

「うん」


「そっかあ。じゃあ今日は我慢する」


「ごめんね、アユミちゃん。こんな妹で」


 萌香ちゃんもあんまり変わらないと思ったのは内緒だ。

 とりあえずまるく収まったようで、僕はほっと一安心した。


「それじゃあ、アユミちゃん。なんかゲームでもして遊ぼう!」


「あとで駅前に服見に行こうよー、アユちゃんもおねーちゃんも」


 なんだかんだで悪い子じゃないんだよなあ。

 憎めないというか。それは萌香ちゃんも同じか。

 

 初めての女の子の友達の家の訪問は色々あったけど楽しかった。

いつもよりちょっと長くなりました。

萌香妹の勢いに押されてしまいました。

掘り下げようと思ったのに、萌香ちゃんの方はあまり掘り下がらなかった様子。こんな家族がいるんだよって感じの部分だけ掘り下がったと言えるのでは…!

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