黒竜と昼ごはん2
今回で黒竜の名がわかります
黒竜と出会った少女、ルシュカは黒竜の隣で持ってきたバスケットの中身を取り出した。
今日の昼ごはんは母さん特製のサンドイッチ、魔法瓶にいれて保温してあるチキンスープ、チキンチーズサラダだ。
チキンが大好物なルシュカは目を輝かせた。
「うわぁ! チキンだ!美味しそう!」
苦手な野菜はチキンとチーズのおかげで美味しく食べることができた。
黒竜は美味しそうに食べる少女を見つめていたが、サンドイッチがとても美味しそうに見えた。
『そのサンドイッチ……美味しそうだな』
「おいしいよ! だって母さんはサンドイッチ作るの上手だもん!一つ食べる?」
ルシュカの母がつくるサンドイッチはこの地域では有名であった。
普通のサンドイッチであるがパンも手作りである。
常連も毎日買っていくほどなのだ。
『いいのか? お前の食べ物が減るぞ?』
「いいよ!どうぞ!」
ルシュカからサンドイッチを一つ口のなかにいれてもらって食べた。
『俺にとっては小さすぎるが、それでもうまいな!
パンがもちっとしていてチキンも皮がパリッとしている』
「でしょ!黒竜さんにもわかってもらえてよかったよ」
ドラゴンもおいしいと言っていたと帰ったら母さんに教えてあげよう……ルシュカはそう思った。
そうして黒竜と話しながら昼ごはんを食べた。
「今日は一番楽しい昼ごはんだったな~」
『そうだな!久しぶりにこんなに話したな……』
楽しい昼ごはんの時間は過ぎていった。
ルシュカはまた仕事に戻るのだ。
「ありがとうございました。
こんなに楽しい話聞けて……また会ったら一緒にごはん食べてもいい?」
『ああ、いいぞ!
ルシュカみたいな人だったら嬉しいからな。
それとルシュカの母のお店はどこにあるのだ?』
ルシュカの母の作ったサンドイッチがとても気に入ったようだ。
「ここに近いよ!
【もりもり屋】って言うの……ネーミングセンスないからこんな名前の店だけど、さっきのサンドイッチも【もりもりサンド】なの。
……来てくれるの?」
黒竜が大きく頷いた。
『いつか行く! うまいからな、比べたくはないがさっき食べた鹿よりもな。
さて、俺もそろそろ戻らなければ……じゃあな、ルシュカ』
「あっ……名前!名前教えて!」
『ジークリンデ……だ。ルシュカ、元気でな』
黒竜ジークリンデは魔法障壁をつくって飛んでいく……
「ジークリンデ!ありがとー!」
ルシュカは見えなくなるまで手を振り続けた。
見えなくなる前に自分の方に向かって笑う姿が見えた。