遠くで近くにいたヤツ。
南門に着いた私たちは、どうやら、先にくる紅蓮を待っていた。
「そういやさ、風子は【ヒール】とかどんな感じなの?」
「うーん。詠唱の呪文とかは、なんでか知らないけど、頭に入ってる感じだよ」
「そかぁ」
ちなみに、風子のジョブは白術師だ。
まぁ、回復職だね。
私は、DB内でもあんまり、やってる人の居ない銃使いだ。
銃ってかっこいいじゃん?
まぁ、いろいろと、苦労はあったけどねぇ…
「美月、どうしたの?」
「あ、ごめん。ちょっと、苦労を思い出しててさ」
「ふーん。そう」
美月がものすごく興味なさそうだ…
ここは、話を逸らすしかない!
「と、ところで、準備終わった?」
「んー、大体はね」
「わかった。こっち、まだだからちょっと待っててね」
「んー」
なんとかごまかせた!
…のかなぁ。
とりあえず、用意をした、かばんの確認をする。
どうやら、このかばんは小さいくせに、大量のものが入るようだ。
私も元の世界で欲しい。
…気にせず、中身をチェックする。
ポーション200に、MPポーション150。
銃弾は、普通のモノを3000っと。
まぁ、こんなくらいでいいんじゃないかな。
敵は弱いんだしね。
「ん、終わったよ」
「わかったー」
んー…ガイアさん遅いなぁ。
紅蓮は、まぁ気にしないけど。
「…きたっ!」
急に立ち上がる風子。
ちょっとびっくり。
「来たって、どっちが?」
「いや、わかんないけど、多分来たと思う」
「んー、そか」
なぜか、風子の勘は結構当たるのだ。
…走る音が聞こえてきた。
うわ、すごいがっしゃんがっしゃんなってるよ
これ、来たとしても、ガイアさんじゃないね。
「えーと、ミンと、ウィドかー?」
走ってきた人物が言ってくる。
「そうだけど、紅蓮?」
「応!」
うわっ、無駄に元気だわ、こいつ。
紅蓮がきたってことは、あとは、ガイアさんだね。
とりあえず、暇なので、紅蓮をちょっといじろうとする。
「ねぇ。紅蓮」
「ん・・・?」
ん・・・?って、何か考え事でもしてるのかな?
「どしたの?考えごと?」
似合わないと思う。
「あぁ、ちょっと、おまえらをどこかで、見た気がしてな・・・」
「何?ナンパ?」
「え、ナンパ?紅蓮君ってそんな人だったんだ…」
風子も寄ってきた。
「い、いやいや、ナンパじゃなくて、さ」
「ふーん」
「あ、そうだ!高校教えてくれよ!」
「急になんでよ」
「いや、なんとなくな」
「そう」
うーん。教えるべきか。
風子のほうを見ると、何も気にしてない顔をしてた。
…いいや、言っちゃえ。
「白岩高校だけど、そっちは?」
なんか、やっぱり、みたいな顔してる。うざっ。
「オレも白岩高校だぜ?」
…はぁ?
「何組よ?」
ちょっと、余裕さを作る。
「2-4」
…同じクラスって・・・こんなやついたかな?
「本名は?」
「火山 紅蓮」
「こっちの名前はわかる?」
「ミンは、雨野美月だろ?」
そのまま紅蓮が続ける。
「んで、ウィドは、天野風子。だよな」
「紅蓮が私たちと同じクラスに居たっていうのはわかったわ」
でも、と続ける。
「でも、こっちは紅蓮のこと知らないんだけど」
風子を見ると、うなずいていた。
「えぇっ!もう、7月だろ、クラスのやつくらい覚えとけよ!」
「興味ないし、しょうがないでしょ」
「少しは覚えろっ!」
まぁ、いいか。
私たちのこの不毛な会話は、ガイアさんが来るまで続いたようだ。
どうも、今回も読んでいただき、ありがとうございます。
紅蓮は癖になってしまいそうな感じの、動かしやすさですね。
ちなみに、高校名を書いたので、一話に少しだけ加筆しました。
それでは、皆様に良い一日が訪れるよう、願っております。