そろそろ本気だす。?
「おはよー」
「おはようございます」
「おっす」
「おはよう」
「おはよう、主」
…うん。一人多いな。
あ、ヴァイス君か。
「ミンさん。嫌なニュースがありますけど、聞きますか?」
「え、良いニュースとセットじゃないんですか?」
「ないですね」
「そうですか…」
……って。
「何があったんですか!?」
「反応遅いですよね」
「それは重々承知しています」
「そうですか」
「あー、では言いますね」
ガイアさんがもったいぶって言う。
「あるプレイヤーがこのセントラルに帰ってくる途中にモンスターの大群が居るのを見たそうです」
「せんせー、それってここに来るってわけじゃないんじゃないですか?」
「いえ、他のプレイヤーによると、こちらに近づいているようです」
「マジでっ!?」
「えぇ、大マジですよ」
「‥規模ってどれくらいですか?」
「詳しくはわかりませんが、数千はいるかと」
「わかりました」
「ふむ、モンスターの大群か」
ヴァイス君が声を出す。
「どうしたの?」
「いや、一昔前にもあったな。と思ってな」
・・・・・・
「「「ええっ!?」」」
「な、なんだ?」
「いや、昔にもあったって‥」
「そんときはどうしたの!?」
「そのあと何があったんだ!?」
風子、私、紅蓮が口々に言う。
「お、落ち着け」
「そうですよ。別にそんなに焦ることでもないですし」
「いや、普通に焦りますから」
「そうですか?」
「そうです」
「…そのときの話をしていいか?」
ごめん。ヴァイス君、忘れてた。
「よし、では話すぞ」
ヴァイス君の言葉にみんな頷く。
手には飲み物を持って。
「昔…といってもこちらの世界で100年ほど前のときだ。そのときは、“魔王”と呼ばれる存在がいた」
魔王、ねぇ。
「その“魔王”はこのアンビエントをすべて支配しようとし、自らの手足となる魔物以外の敵となりえる生物…つまり人間だな。それを襲い始めた」
「そして、その魔王は頭がよかったのだろうな」
「人を確実に殺すために集団で囲み、一人ずつ殺していくということをしたのだ」
「それに対し、戦える者は反抗しようとする者も居たが、結局数の暴力には負けてしまった」
「その方法のせいで人は着々と数を減らしていった」
「そして、人の数がほんの少しとなり、襲われないように各地を点々としていたとき、どこからか冒険者と思われる人物が多数現れた」
「彼らは最初こそ弱かったが、魔物を倒すたび、少しずつ強くなっていった」
「最後に彼らは魔王を倒し、その魔王を倒した場所にセントラルという街を作り、そこでずっと暮らし、不老不死のような存在だっという」
もしかして、それって。
「そう、それは今この世界に現れた主達と同じ存在だと我は思う」
ヴァイス君がそう、締めくくった。
「ガイアさん」
「はい?」
「大昔にこういうイベントありましたよね」
「…あぁ、ありましたね」
「…それか」
きっとヴァイス君の言う、「100年ほど前の出来事」はおそらく二月前、ゲームが始まってすぐにあったイベントのことだろう。
そして、その時のイベントこそ“魔王を倒せ”というモノだった。
…今回のアップデート内容はそれだったんだろうなぁ。
魔王も強くなってるだろうし、私たちも頑張ってみようか。
「ガイアさん。このことを他の冒険者に伝えてみません?」
「…信じるかどうかはわかりませんよ?」
「知らせないよりはマシです」
「…………わかりました。大手ギルドに知り合いが居るのでとりあえず、知らせるだけ知らせてみます」
「ありがとうございます」
「で、ミン。俺らは一体何するんだよ」
紅蓮が私に問いかけてくる。
「え?わからないの?」
「…戦いに行くのか?」
「いや?違うよ?」
「「は?」」
話を聞いていた風子と紅蓮が揃って声を出す。
「私たちは、何もしない。精々いつも通りにするだけだよ」
「なんでだよ!」
「だって、魔王退治とかそんなんは私たちより高レベルで人数も多い大手ギルドに任せればいいのよ」
「でも…俺たちだって少しは出来ることがあるはずだろ!」
「それが、いつも通りにモンスターを狩ることよ」
そう、私たちのようなそこそこのレベル、最高峰とは言えないけどそれなりに高いレベルのプレイヤーが出来ることなど、最高峰プレイヤーの邪魔にならないようにするだけだ。
遊撃部隊。それが基本だね。
よし、がんばるぞー。
風子とか、紅蓮も頑張ってね。
ガイアさんも。
ども。
作者のLIZAです。
なんか記録的長文。
しかし、上手く纏められなかった感が大きいですね…。
もっと、上手く書けるように精進せねば。
それでは、みなさまがよい一週間を過ごせますよう。