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第64話。ゼノン、キメラ部隊を蹴散らす

「アルフィン姉、頼むぞ!」

「OK! それじゃ、いくわよ!」


 俺はアルフィン姉にレティシア皇女のすぐ近くまで、上空から思い切り投げ飛ばしてもらうことにした。


「どぉおおりゃぁあああッ!」


 すさまじい気合いと共に、俺の身体が砲弾のごとく地上に撃ち込まれる。

 ふつうならペシャンコになって死ぬような自殺行為だが、俺の両足はバネのように着地の衝撃を吸収した。


「ゼ、ゼノン・グレイヴァンだ!」

「今ので、無事だと!?」


 近くの敵兵から恐怖の声が上がる。


 実はここに来る途中、俺は自分で両足を刺して、【超回復】(オーバーヒール)で、回復、強化したのだ。


 聖女アリシアから、自分の右腕をレティシア皇女に提供したという話を聞いたからな。

 痛いなどと言っている場合では無かった。


 原作ゲームのバッドエンドとして、『聖女アリシアを捕らえたレティシア皇女は、聖女の肉体を元に史上最悪の怪物を造り出した。そして、世界に滅亡をもたらした』という結末があった。


 レティシア皇女がこの戦争の陣頭指揮を執ったのは、聖女の肉体が欲しかったから、というのが、最大の理由だ。


 レティシア皇女が、実際にどんな怪物を生み出したのか、ゲームでは明らかにされていなかったが……

 おそらく、ラスボスの教皇より、はるかに強力な怪物を生み出したと考えるべきだろう。


「レティシア皇女をお守りしろ!」

「皇女殿下、お下がりください!」


 帝国軍が、騒然となる。


「あら。空からド派手な登場ね、ゼノン」

「聖女アリシアの義勇軍は壊滅したぞ。そろそろ諦めて、国に帰ったらどうだ?」


 偽物であろうレティシア皇女が、余裕の笑みを浮かべてきたので、軽口を返す。


 同時に俺めがけて、レティシア皇女の護衛である怪物キメラたちが殺到してきた。

 こいつらはゲームにも登場していたSSランクの魔獣だ。


 本来なら、ゲーム後半になって、レティシア皇女がようやく一体だけ開発に成功したボス級モンスターなのだが……


 なんと何十体もいるぞ。一体、どうなっているんだ?

 まさか、レティシア皇女が、聖女の右腕を手に入れたことによって、生み出したのか?


 だとすると、バッドエンドに登場する史上最悪の怪物も、やはりすでに誕生している?

 俺は警戒して、レティシア皇女の周囲を探ったが、それらしい姿は見当たらなかった。

   

【付与】(エンチャント)【過剰回復剣】(エクセシブ・ソード)!」

 

 俺は剣に【過剰回復】(エクセシブ・ヒール)の魔法を付与して、襲い来るキメラどもを叩き斬った。

 

 キメラは絶叫を上げ、斬られた箇所から全身が崩壊する。

 なんにしろ、敵はすべて蹴散らすのみだ。


「これがゼノン様の剣……!」

「あの化け物どもが一撃だと!?」

「これは、お館様の──【剣聖】の剣技にも勝る威力ではないか!?」


 辺境伯軍の将兵たちから、喝采が上がった。

 反対に帝国軍からは、恐怖と動揺の声が上がる。


「バカなバカな! 皇女殿下の最強の魔獣が!?」

「あの男、本当に人間か!? あれが魔法系スキル所持者だと!?」


 俺は、次々にキメラを撃破する。

 ここで俺が大暴れして、敵の目を引きつけることこそ、勝利の鍵だ。

 

 聖女アリシアから聞き出した、本物のレティシア皇女の居場所については、通信魔法ですでに父上に伝えてあった。


 そこは、俺があらかじめ目星をつけていたポイントだった。通信を傍受されても問題無いように、父上には「C地点」とだけ伝えた。


 父上は、すでにレティシア皇女を討つべく動いている。

 まさか、総大将である俺が囮だとは、誰も思わない筈だ。


 囮なのは、涼しい顔をしているレティシア皇女も同じだろうけどな。こいつは十中八九、偽物だ。


 だが、偽物であろうと、討ち取ってしまえば、こいつを本物の皇女だと信じる帝国軍の士気はガタ落ちとなる。

 それで、この場の勝敗は決する筈だ。


「こ、ここは危のうございます皇女殿下……!」


 敵兵が、慌ててレティシア皇女を後ろに下げようとする。

 しかし、彼女は聞く耳を持たない。


 レティシア皇女は、俺めがけて総攻撃を命じる。


「ふふっ、そうこなくちゃ。ゴーレム兵、魔法部隊、一斉射撃!」

「そうはさせないわ!」


 ゴーレム兵団に向けて、アルフィン姉が上空から思い切り突っ込んだ。


「私はアルフィン・グレイヴァン! 世界最強の魔法剣士となる者よ、覚えておきなさい!」


 姉が雷の魔法剣を振るうと、何十体ものゴーレム兵がぶっ飛ばされて宙を舞った。さらに、姉は爆裂魔法を後衛の魔法部隊にぶち込んで、大爆発を巻き起こす。


 おかげで敵は大混乱だ。


「なにぃいい!?」

「なんだ、この娘は!? ド、ドラゴン!?」

「ゼノンの姉!? こいつも化け物だ!」

「おい、こら、俺のアルフィン姉を化け物扱いするな! お前ら目が腐っているのか!?」


 聞き捨てならない声が聞こえたので、言い返してやったが、とにかく今がチャンスだ。キメラの猛攻が途切れた。


「うぉおおおおおッ!」


 俺は大地を蹴ってレティシア皇女めがけて、突っ込んだ。


「なっ、なんという男だ!」

「止まらないぞ!?」


 俺は壁となる敵兵を蹴散らし、無数の攻撃をかいくぐって疾走する。被弾しても、ヒールによってすぐに回復した。

 どんな攻撃を受けても止まらない俺の姿に、帝国軍から悲鳴が、味方からは大歓声が上がった。


「ゼノン様のお力は、想像以上だ!」

「さすがは、我らの頂点に立つお方!」

「ゼノン! 勝って……!」


 ダラム城の城壁上から、俺にエールを送るヴァレリアの声が聞こえた。聴覚が強化された俺は、無数に飛び交う声も正確に聞き分けられるようになっていた。


 ヴァレリアを死の運命から救うためにも、俺はレティシア皇女に絶対に勝つ。奴はもう手の届く先だ。

 こいつが偽物だろうと叩き伏せれば、辺境伯軍の勝利だ。


 レティシア皇女の護衛のキメラが、一斉に襲いかかってくるが、すべて一刀の元に斬り捨てる。


「あはっ! いいわ! やっぱり、あなたは想像以上の男だったわね!」


 レティシア皇女は、俺を抱擁するかのように両手を広げた。


「そんなあなたが欲しくて、私は最後の戦いを挑んだのよ! 聖女を上回るあなたの力があれば、私の理想が完成する!」

「……残念だが、お前はここで終わりだレティシア!」


 俺はレティシア皇女に、【過剰回復剣】(エクセシブ・ソード)叩き込んだ。

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