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第35話。【超回復】で味方を強化して、敵軍を圧倒する

「おのれ! ひ、怯むな! ゴーレム兵が戻ってきた。これで立て直せるぞ!」


 帝国軍の指揮官が、消沈する味方を鼓舞すべく怒号を上げた。

 ゴーレム兵が地響きと共に、次々に戦場に集結しだす。


「ゴーレム兵団は、俺とヴァレリアの前に敗れ去った。恐れるに足らない!」


 俺はヴァレリアを左手に抱えたまま、先頭のゴーレム兵へ跳躍。一刀のもとに両断した。


「おおっ!」


 辺境伯軍から、感嘆のどよめきが上がる。

 同時に、ヴァレリアがデミリッチ部隊を召喚し、雷魔法の一斉発射で後続のゴーレムどもを鉄クズへと変えた。


「そうよ! 辺境伯軍には、今やこれだけの魔法部隊がいるのよ!」


 黒煙を上げて沈黙するゴーレム兵たちを指差して、ヴァレリアが叫ぶ。

 デミリッチ部隊にゴーレム兵が突っ込んで来るが、俺と出現したガウェインが剣で片っ端から叩き斬った。


「うおおッ! これがゼノン様と奥方様のお力か!」


 味方からは喝采が、敵からは悲鳴が沸き起こった。


「あ、あれが、単独でダラム城を陥落させたゼノン・グレイヴァン!?」

「ボルド将軍に一騎討ちで勝っただと……!?」

「嘘だぁ!? ボルド将軍が、あんな小僧に敗れ去るなど!?」

「い、いや、しかし、この強さは本物……! 何が外れスキル所持者だ! 剣聖並の武人ではないか!?」

「あのデミリッチ部隊は、なんだ!? あれ程の【死霊使い】(ネクロマンサー)が敵にいるのか!?」


 帝国軍は狼狽し、士気がガタ落ちとなった。


「ゼノン様に、続けぇええッ!」

「なんと若様は、実力を隠しておられたのか!?」

「奥方様の魔法の力も、桁違いではないか!?」

「ゼノン様と奥方様がおられれば、我らは無敵だぞ!」


 逆に辺境伯軍の士気は、うなぎ上りとなる。


「……奥方様って結婚式はまだなのに、みんな気が早いわね」


 ヴァレリアが顔をぽっと赤らめた。


「確かに婚約したばかりで、もう夫婦扱いなんて、ちょっと照れるな」


 俺たちの活躍により、戦場の空気は辺境伯軍が圧倒的優勢となった。

 だが……


「ぬぉッ!? 敵の射撃か!」


 ゴーレム兵団が淡々と、辺境伯軍に攻撃を仕掛けてくる。奴らが連射する大型弓バリスタによって、味方部隊が壊滅的な被害を受けた。


 魔法ロボットであるゴーレムは、恐れも高揚も感じず、士気にパフォーマンスを左右されない。


 6000体近くのゴーレム兵団は、未だに大きな脅威だった。


 そんな奴らに対抗するため、今こそ、スキル【超回復】(オーバーヒール)の力の見せ所だ。


 俺はヴァレリアを抱えながら、壊滅的被害を受けた味方の間を駆け抜け、彼らにヒールをかけまくった。

 ヴァレリアが魔力を供給してくれる限り、俺はいくらでもヒールが放てるんだ。


「立て! これでまだ戦えるぞ!」


 俺の手から溢れ出した癒しの光が、瀕死の兵士たちを次々に包み込む。


 彼らの千切れた手足が再生し、抉られた脇腹が瞬時に塞がった。

 それだけではない。回復した彼らの肉体は、以前よりもはるかに強く作り変えられる。


「……こ、これは?」

「傷が消えた……い、いや、力が湧いてくるぞッ!?」


 復活した兵らは最初は何が起こったのかわからず、戸惑っていた。


「ゼノンの【癒しの奇跡】よ! どんな傷でも、たちどころに治るわ!」


 ヴァレリアがあらん限りの声で叫ぶ。

 俺はその間にも、味方の負傷兵にヒールを浴びせまくった。


「しかも、回復した肉体は、以前より大幅に強化されるのよ!」

「そ、そんなことが……!?」


 ヒールを受けた部隊長が剣を振るうと、彼に殴りかかってきたゴーレム兵に、深い亀裂が入った。


「し、信じられない!」

「奴らにダメージが通る!?」

「これが、俺の力なのか……!?」

「……す、素晴らしいぞ!」


 やがて味方から、天を揺るがすほどの喜びの声が上がった。


「俺たちは死なない! ゼノン様がおられる限り、俺たちは不死身だ!」

「ゼノン・グレイヴァン様、万歳!」

「英雄ボルド将軍にも勝った男!」

「我らが軍神ゼノン! 最強のスキル所持者だ!」


 復活した兵士によって、強固な物理耐性を持つゴーレム兵が、次々に撃破されていく。

 その光景は、帝国軍にとってはまさに悪夢に違いなかった。


「そ、そんな、我らのゴーレム兵が……!」

「皇女殿下の開発された帝国の切り札が!?」

「聖女を上回る【癒しの奇跡】の使い手だと!? こ、こんなことが……!」

「しかも、ボルド将軍閣下は、もうおられぬだと!?」


 帝国軍は愕然と声を震わせた。


「みんな、ここが正念場よ! 力を振り絞って戦いなさい!」

「そうだ。俺がどんな怪我でも治す!」


 俺とヴァレリアの檄に、辺境伯軍は猛然と帝国軍を打ち倒していく。

 その最中も、俺は次々に瀕死の負傷兵を回復、強化していった。


「バカな! 我ら栄光あるバルザーク帝国軍が……!」

「退け、退け! 退却だ!」


 帝国軍の指揮官が、震えながら退却を指示する。


 よし、趨勢は決した。

 ここまでやれば、俺たちがこの戦場を抜けても、味方が帝国軍に遅れを取ることは無いだろう。


 混戦となった段階で、ゴーレム兵を前衛の盾として使う帝国軍の基本戦術は、崩れ去っているしな。


「ヴァレリア。索敵魔法でレティシア皇女の居場所を探ってくれ!」

「もう魔法部隊に割り出させたわ。あっちよ! 剣聖バルド様が、少数の手勢と共に敵本陣に突入しているわ!」


 ヴァレリアが戦場の一角を指し示す。

 そこには、まとまって退却中の一軍がいた。


 少数で敵本陣に突っ込むなんて、まったく父上はなんという無茶を。

 まっ、俺も他人のことを言えた義理じゃないがな。


「ヴァレリア、父上の元に行くぞ! 俺たちの手で、レティシア皇女を討つんだ!」

「ええっ! シュヴァルツ・リッター、全員突撃! ゼノンの道を切り開きなさい!」


 ヴァレリアが、シュヴァルツ・リッターたちを敵本陣に突撃させ、敵兵を蹴散らす。

 本当に頼りになる婚約者だ。


「ご武運を、ゼノン様!」

「ゼノン様なら、きっとレティシア皇女にも勝てます!」

「我らに勝利を! 我らの悲願を果たしてくだされ!」


 味方の将兵らが、俺たちを激励と共に送り出してくれた。


「任せておけ!」


 俺は返答と同時に、ヴァレリアと敵本陣に突入する。

 さあ、いよいよ、決戦だ。この手で破滅の運命を変えるぞ。

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