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第17話。スキルレベルが上がり、ヴァレリアから人類史上最強と認定される

「お、おのれ! 我を倒しても終わりではないぞ! ヴァレリア、貴様の死こそ、あのお方の──聖女アリシア様の望みなのだ!」


 ソールイーターは、最期に捨て台詞を吐いた。


「お前らの思い通りになんて、させるか。今日からヴァレリアが、俺の最推しヒロインだ」


 昨日までは、聖女アリシアが最推しだったが、もう完全にやめることにする。


 悪女として断罪されたヴァレリアこそ、真にこの国を救おうとしていたんだ。彼女こそ、物語の本当のヒロインと呼ぶにふさわしい。


 その時、軽快なファンファーレと共に、俺の頭の中にシステムボイスが鳴り響いた。


『おめでとうございます。

 Sランクモンスター、ソールイーターを倒しました!


 スキル【超回復】(オーバーヒール)がレベル2にランクアップしました!


 新たな魔法【過剰回復】(エクセシブ・ヒール)が使えるようになりました。


 触れた相手を過剰回復し、崩壊させる攻撃魔法です。消費MP10〜無限。消費するMPが大きければ大きいほど、威力を発揮します』


「……やった!」


 喜びが電流のように全身を駆け巡った。


 このゲームでは、スキルを使えば使うほど、スキルランクが上がり、より強力なスキルに進化していくのだ。

 血反吐を吐いて、スキル魔法を使い続けた甲斐があった。


 これで、破滅を回避できる可能性が、かなり上がったぞ。


 もちろん、この短期間でスキルレベルをアップできたのは、ヴァレリアの協力があってこそだ。


 魔法系スキルは、スキル魔法を使って強力なモンスターを倒すと、スキル熟練度が大量に手に入った。

 俺一人じゃ、とてもソールイーターには勝てなかった。


 トドメのヒールもそうだが、ヴァレリアが俺の身を案じ、一晩中、手を握ってくれていたから、俺は不調を脱して力を発揮できたんだ。

 ヴァレリアは、俺にとって幸運の女神なのかも知れない。


 それにしても、【過剰回復】(エクセシブ・ヒール)とは、初めて聞く魔法だ。しかも、攻撃魔法だって?


 もしかして【超回復】(オーバーヒール)は、【聖女】とは別系統の魔法が使えるようになる魔法系スキルなのか?


 この謎のスキルには、まだまだ未知の力が秘められているのかも知れない。

 思わず考え込んでしまう。


「……ゼノン、そろそろ、下ろして欲しいのだけど?」

「あっ、悪い」


 ジト目のヴァレリアに言われて、俺は彼女を片手で抱いたままであることに気付いた。

 慌てて、ヴァレリアを床に降ろす。


「あなたのおかげで、九死に一生を得たわゼノン」


 すると、ヴァレリアは俺に対して、優雅にお辞儀──カーテシーをした。


「深き感謝を。この私、ヴァレリア・アスフォデルはあなたの婚約者となれることを心から誇りに思います」

「……俺のことを婚約者だと認めてくれるのか?」


 カーテシーは、女性が目上の人物に対して敬意を示すために行うお辞儀だ。公爵令嬢のヴァレリアがこれを行うということは、俺を同格以上の人物として正式に認めたということだった。


「ええっ、あなたは、誰よりも勇敢で誇り高い殿方ですもの。アスフォデルの黒き薔薇をまとうのに、ふさわしいわ」


 ガウェインたちシュヴァルツ・リッターも、主人に賛同するように頷いた。


「そんな風に言われると、照れるな」


 俺は自分の破滅の運命を覆したかっただけ、ヴァレリアを姉と同じ末路にはしたくなかっただけだ。


 俺は少しも誇り高くなどない。

 真に誇り高いのはヴァレリアだ。


 俺はこの態度は高飛車でも、根はいいヤツである公爵令嬢を改めて守ってやりたいと思った。

 ヴァレリアが濡れ衣を着せられて殺されるシナリオなんて、糞すぎるだろう?


「でも、ちょっと危なかっしいから、これからは私が支えてあげるわね」

「いや、危なかっしいのは、ヴァレリアの方じゃないか……?」

「えっ?」


 ヴァレリアは目を瞬く。


「だって、そうだろ。自分が死にそうなのに、一晩中、魔力を俺に与え続けるなんて」

「そ、それは、あなたこそ、この世界に必要な人だからよ……私の味方になってくれたし。そ、そもそも魔力欠乏症なのに、魔法を使おうなんていう、あなたに言われたくないわ!」


 ヴァレリアはむきになったように言って、ソッポを向く。


「いや、まぁ、そうかもだけど。とにかく、俺の言いたいことは一つ……ヴァレリアは、もっと自分を大切にしろ!」

「ゼノンはもっと自分を大切にしなさい!」


 最後の一言が、完全に被ってしまった。

 俺たちはキョトンとしてお互いを見つめ合った。そして、ぷっと吹き出す。


「ふふっ、それじゃあこれから、家族としてよろしくねゼノン」

「うん、ああっ。よろしくなヴァレリア」


 ヴァレリアが笑顔で差し出した右手を、俺は照れながら掴む。

 人格破綻者だと思い込んでいた悪役令嬢は、俺にはもったいないくらいの最高に良くできた嫁だった。


「ところで、ソールイーターにもひけを取らないあなたの身体能力には、本当に驚いたわ。それ程の力があるのに、どうして剣聖バルド様は、あなたを落ちこぼれ扱いしたのかしら?」


 ヴァレリアが小首を傾げた。


「あっ、まだちゃんと説明していなかったな。俺の【超回復】(オーバーヒール)は、『怪我をした身体を強く作り変える』スキルでもあるんだ」

「……はっ?」


 ヴァレリアは時が止まったように硬直した。


「ガウェインに斬られたり、内傷を負ったりしたおかげで、俺は急激に強くなれたんだ。今回も全身傷だらけにされたおかげで、戦闘中にパワーアップできた。最後に脚力が上がってくれたのは、特に大きかったな」

「……そ、それじゃ、あなたは【癒しの奇跡】、再生能力に加えて、肉体強化までできると? しかも、その強化率はSランクモンスターに匹敵するレベル!? 戦って傷を負うごとに、際限なく強くなる!?」


 大興奮したヴァレリアが、ずいずいと身を乗り出してきた。

 かわいい顔がドアップで迫ってきて、思わずドキリとしてしまう。


「……あ、いや。それと、今回スキルレベルが上がって【過剰回復】(エクセシブ・ヒール)っていう攻撃魔法も、新たに使えるようになったんだが」


 俺は仰け反りながら、追加で説明する。


「ええっ!? 【聖女】スキルを授かった者は攻撃魔法が使えなくなるのに!? そ、それじゃ、ゼノンは紛れもなく……」


 ヴァレリアはそこで、言葉を区切って俺をマジマジと見つめた。


「聖女をはるかに超える、この世界、いえ……人類至上、最強の存在だわ!」

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