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第15話。ゲーム知識で黒幕を見破って罠を仕掛け、ヴァレリアに感激される

「あ、あなた、またとんでもない無茶を……!」


 無理をした甲斐があってヴァレリアは、無事だった。

 俺は彼女への被弾を一発も許してはいない。


 ヴァレリアは、これまでずっと辛い思いをしてきた。だから、もう辛い思いをして欲しくなかった。


「大丈夫だ。ヴァレリアのおかげで、今の俺はすこぶる元気だからな!」


 心配するヴァレリアを安心させるべく、俺はことさら大声で叫んだ。


「ヴァレリアは俺が守ってみせる!」

「貴様……!?」


 ソールイーターが怯んだように後退した。

 傍目には俺が、完全回復したように見えただろう。


「何発でも撃ってこい。お前の攻撃なんざ、一瞬でチャラだ!」


 実は、貧血による軽い目まいを感じていたのだが、そんな弱味は決して見せない。

 どうやらヒールでも、失った血液までは瞬時に回復できないようだな。


 となると、奴に追尾性のある【冥火連弾】(ヘルファイア)を連発されると、厄介だ。


「ちょ、調子に乗るな。1人ではまともに魔法も使えぬ半人前が!」

 

 ソールイーターが再度、大鎌を振り下ろしてきた。


 大量のMPを消耗する【冥火連弾】(ヘルファイア)ではなく、通常攻撃で俺のスキル能力の探りを入れてきたようだ。


 俺は健在さをアピールするため、渾身の力で大鎌を弾き返す。


「貴様、本当に人間か!?」


 奴は、俺にパワー負けしたのが、余程、意外だったようだ。

 全身穴だらけ状態から復活したおかげで、俺の肉体は、より強靭なモノに作り替えられていた。


「……お前に聞きたいことがある」


 俺は質問には答えずに、尋ね返した。

 

 こいつを倒す前に、どうしても確認しておきたい事、こいつの主人に伝えておきたい事があった。


 人間にスキル能力で使役されている魔物は、主人と精神の一部が繋がっており、見聞きした情報を主人と共有することができる。

 これを利用して、ソウルイーターをメッセンジャー役に使うことにしたのだ。


「ヴァレリアを殺すように命令した黒幕は、聖教会だな!?」

「……なのことだ?」


 ソールイーターの身が動揺にわずかに揺れ、攻撃の手が止まった。

 この反応からして、やはり当たりか。


「聖教会が黒幕ですって?」

「そうだ。聖女アリシアには、顔を覆面で隠した集団が付き従っていたんだろう?」

「そうよ。だから、大きな組織が背後にいるのは、間違いないでしょうけど……」


 ヴァレリアは訝しんだ。


「ヴァレリアを排除して一番得をする組織は、聖女アリシアの出身である孤児院を運営する聖教会だ。その証拠に、ヴァレリアを追放した後、王太子はアリシアの勧めで、孤児院に多額の寄付を行った」

「あっ……」


 ヴァレリアは心当たりがあったようで、声を上げた。

 元々、アリシアは孤児院への支援を、再三、王太子に要求していたからな。しかも、その金額はかなりのものだった。


「今後の展開を言い当ててやろうか? これがきっかけで、聖教会は王家公認となり、今後、王国内での勢力を大きく増すことになる」

「……でも、それだけで聖教会を黒幕と断定するのは」

 

 ヴァレリアは信じられない様子だった。

 聖教会はこの世界で覇権を握りつつある新興の宗教だ。

 奴らは表向きは、孤児院運営といった慈善事業を行っているからな。


 もっとも、それは孤児たちを教育して、適正があると判断した者は、暗殺者や工作員、聖堂騎士といった手駒にするのが目的だった。


「聖教会には都合の悪い人間を消すための暗殺部隊がある。そこにはSランクアンデッドを従えた凄腕の【死霊使い】(ネクロマンサー)がいるんだ」

「えっ?」

「なに……?」


 聖教会はゲーム本編の黒幕で、陰からこの世界を支配しようと企み、聖女アリシアと対立して、その野望を挫かれる。


 だけど、聖女アリシアがヴァレリアの言う通り、野心に満ちた腹黒い人物だとしたら?


 ゲーム終盤で、王太子と婚約することに成功したアリシアは、利用価値が無くなった聖教会を切り捨てたのかも知れない。


 権力志向の人間は、支配され命令されることを嫌うものだ。

 おそらくこれが、ゲームでは描かれることのなかった真実……


 聖女アリシアのファンだった俺にとって受け入れ難いことではあるが、そう考えると筋が通る。


 アリシアにとって都合の良いイベントばかり起きていたのは、主人公補正でなく、聖教会の暗躍という現実的な理由があった訳だ。

 

「な、なぜ、あなたはそんなことを知っているの?」


 ヴァレリアの疑問は当然だが、俺は無視して話を続けた。

 ソールイーターも俺が何をどこまで掴んでるのか、興味が有るようで、黙って聞いている。


「聖教会が【死霊使い】(ネクロマンサー)を使って王太子の暗殺未遂事件を起こし、ヴァレリアに罪を被せた。そして、自分たちの息のかかった聖女アリシアを王妃にしようと画策し、ヴァレリアを殺そうとした。それが真相だ!」


 俺はソールイーターの主人を挑発するべく、剣を突きつけた。


「なら話は簡単だ。お前の主人や、この事件に関わった聖教会の関係者を捕らえて口を割らせれば、芋づる式で、聖女アリシアと聖教会を断罪できる! 国家反逆罪は重いぞ?」

「ほう……? 妄想にしてはおもしろいが、どうやって? 貴様にそんなマネができる筈がなかろう」


 よし、ソールイーターの主人が食いついてきたな。

 次の言葉が本命。これを聞かせておけば、こいつの主人を罠にかけられる筈だ。


「アスフォデル公爵に手紙を送って、協力を頼む。俺はお前の主人の名前と、その居場所に心当たりがあるからな。1ヶ月もしないうちに牢獄にぶち込めるぞ」

「な、なんだと……?」


 ソウルイーターは驚愕した。


「……そ、それが実現できれば汚名返上が叶う。お父様にお喜びいただけるわ!」


 俺の腕の中で、ヴァレリアが喜びに打ち震えた。


「ああっ、父上専属の通信魔導師を使わせてもらえれば、もっと早く片付くんだが……今は戦時中だからな」

「ありがとうゼノン、十分よ。私は、この地にやってこれて、あなたに出会えて本当に良かった」


 その一言に、俺の全身がカッと熱くなった。

 えっ、何これ。さっきもだけど、愛の告白みたいなこと、言われちゃっている? 


 思わず浮かれかけたが、命のやり取りをしている最中だったので、慌てて気を引き締め直す。


「こいつがヴァレリアを取り殺そうとしていたのが、俺の主張の根拠となる。少なくともアンデッドを使って王太子を殺そうとした別の容疑者がいたことが立証されて、ヴァレリアは無罪になる筈だ!」


 さらにヴァレリアと二人で帝国軍を撃退できれば最高だ。

 そうなれば、国王も王太子も俺たちの主張に耳を傾けざるを得ないからな。


「俺が、もう誰にも、ヴァレリアを悪女扱いさせはしないぞ!」

「おっ、おのれ……!」


 ソールイーターは身を震わせて、憎々しげに大鎌を構えた。


「ゼノン、あなたは辺境に居ながら、とんでもない情報網を持っているのね? すごいわ!」

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